インドネシア人 世界でもっとも怠惰&怒らない人たち 

 

先日、花王が英国発の高級ブランド「Molton Brown(モルトンブラウン)」の旗艦店を、インドネシア第2の都市スラバヤで開業した。
「失われた30年」と呼ばれる低迷期を迎えている日本経済とは対照的に、インドネシアの経済成長はうらやましいほど順調で、2000年以降、成長率がマイナスになったことがない。だから、多くの日本企業がインドネシアに進出している。

 

さて、世界でもっとも「怠惰な国」はどこだろうか?
米スタンフォード大学が1日の歩数をもとに調査をおこない、2024年にその結果を発表した。それによると、みごと世界1位に輝いたのはインドネシアだった。インドネシア人は1日当たり、平均して3513歩しか歩いていない。
次いで2位はサウジアラビア人(3807歩)、3位はマレーシア人(3964歩)、4位はフィリピン人、5位は南アフリカ人と続く。

この結果に、該当国と思われる外国人が次のようにコメントをした。

「熱帯の国で歩くのはとても疲れるんだ!」
「このリストにある国のほとんどは、湿気の多い熱帯か、乾燥した砂漠地帯だ。」
「インドネシア人の私から言わせてもらうと、私たちは文化的に怠け者というより、都市が歩行者のために設計されていないことがその理由だ。私の街では歩行者が車と同じ道路を歩いているし、公共交通機関もひどい。」

2017年にも世界ランキング1位に輝いたのはインドネシアだった。逆に、もっとも歩数が多かったのは香港人(6880歩)で、中国人(6189歩)、ウクライナ人(6107歩)の後に日本人(6010歩)がランクイン。つまり、この調査によると、日本人は怠惰とは無縁で、世界で4番目に勤勉な民族だということになる。

 

「インドネシア人はナマケモノ」ということについては、15年ほど前のインドネシア旅行で思い当たることがある。
たとえば、宿で 50カ国以上を旅した日本人と知り合い、旅の話をしていると、インドネシア人の「あとでやる」は死亡フラグになるから、絶対に信用しない方がいいと注意された。
それは、彼自身の苦い経験による。
あるとき、彼は次の日の早朝に飛行機で移動することになっていたから、宿のフロントでタクシーを手配してもらうよう頼んだ。スタッフがその場で会社かドライバーに電話してもつながらず、「あとでやるから、おまえは観光をしてこい」と言われ、彼はその通りに観光に出かけた。宿に戻ってから確認すると、「もう手配したから大丈夫だ。おまえは明日の◯時にここに来ればいい」と言われた。

しかし、当日の早朝、そのことばはウソだったことが判明。約束の時間になってもタクシーは現れず、昨日とは別のスタッフに確認すると「そんな話は知らない」と言われ、「そうか、なら仕方ない」で済むはずもなく、彼は文句を言いまくって、最終的にはバイクで空港まで送ってもらうことになった。その日本人はそれまでの“インドネシア経験”から、あのフロントのスタッフは面倒に思って先延ばしにし、結局タクシーの手配をしなかった(もしくは忘れていた)と確信していた。
世界中を旅してきた彼によると、発展途上国には怠惰でいい加減な人が多いが、インドネシアはその中でも頭一つ抜けている。それ以来、インドネシア人の「後でする」や「大丈夫」は信用せず、必ず目の前で仕事をさせて、自己責任でしっかりと確認することを旅のルールにしたという。
これはゲストハウスでの話で、5つ星ホテルならキッチリ仕事をしてくれるはずだ。

 

いま日本に住んでいるインドネシア人との付き合いがあるが、ボクもこの日本人と同じで、彼らの「やります」をそのまま信用することはない。メールでそう言ったのに、なかなか相手から返信がこないから、確認するとまだ動いていなかったというオチが何度もあった。
彼らに悪意はないけれど、面倒くさがって「やるやる詐欺」になってしまうのだ。

それでも右肩上がりの経済成長をしているから、やる時はやる人たちなんだろう。
南国のインドネシアではフルーツが自然に育つし、島国だから魚もたくさん取れる。貧しくても飢えることがないため、昔から日本人のように一生懸命働かなくても生活できてきた。そのため、外国人から見るとリラックスしていて、「ナマケモノ」に見えることが多いらしい。
それでも、インドネシアは右肩上がりの経済成長を実現している。
その気になって本気を出せば、できる人たちだ。

 

 

「怠惰な国」ランキングで、東南アジアの国々が6割を占めたのは偶然とは思えない。
上の写真はタイで見かけた観光バスの運転手。客が博物館で降りると、彼は慣れた手つきでハンモックを取り出してバスと柱で吊るし、サンダルを脱いで携帯電話をいじり始めた。
10年以上前の東南アジアには、こんなユルい空気があった。

 

世界でもっとも“怠惰”なインドネシア人は、世界でもっとも心の広い人たちでもある。
2011年に放送されたテレビ番組『金ブラ!! ネプ&イモト 世界番付 2』で、世界一怒らない人たちとしてインドネシア人が紹介された。
その理由は、インドネシアの親が子どもに「小さなことで他人に怒るな、争いごとをするな」と教え込むことにある。子どもたちはその教えを守り、大らかな国民性が形成されていったという。

ただし、怒らない国だからこそ、国民は怒られることには慣れていない。ジャカルタで働いていた知人の日本人は、インドネシア人の部下に仕事でのミスを指摘する際、相手のプライドを傷つけないように配慮しなければならないと先輩の日本人からアドバイスを受けた。人前で怒鳴りつけることは絶対にNGで、インドネシア人がそれをされると、仕事を辞めるだけでなく、後で復讐される危険があるという。

世界でもっとも怠惰なことと怒らないことには共通点がある。インドネシア人は細かいことを気にしない(または気がつかない)で、ニッコリ笑ってやり過ごすことができる人たちだ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。