はい!今回はクイズから始めます。
人類で初めて世界一周をした人はだれでしょう?
ヒント
その人は「パタゴニア」という地名をつけた人の関係者。
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答えは、「マゼラン」でした。
![](https://i0.wp.com/yukashikisekai.com/wp-content/uploads/2017/02/180px-Ferdinand_Magellan.jpg?resize=180%2C223)
大後悔時代の、ではなくて、大航海時代に彼は船で世界一周している。
‥とボクはむかし習ったんだ、今ではそうではないようだ。
マゼランは航海の途中、フィリピンでラプラプという人に殺されてしまったから、世界一周をしたのは彼ではなく、その部下ということになっている。
それで現在の高校生開始ではこう習う。
部下による世界周航を成功させたポルトガルの航海者。
(中略)
21年フィリピン諸島のセブ島に到達したが、現地での抗争でマクタン島首長のラプラプに殺され、22年世界周航を達成したのは、彼の部下18名であった。「世界史用語集 山川出版」
さて、さっきの巨人の絵について。
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南米にある「パタゴニア」という地名はマゼランが名づけたものだ。
マゼランは、グァナコの皮で作った大きなはきものをはいたパタゴニア人の足あとを見て、巨人がいると考え、その土地をパタゴニアン(大足)の国、すなわちパタゴニアと名づけた。
「大航海時代 増田義郎 講談社」
アウトドア用品の「パタゴニア」も、もとをたどればマゼランが命名したことになる。
会社としてはこんなイメージがあるみたい。
「地図には載っていないような遠隔地」「氷河に覆われた山岳、ガウチョ、コンドルが飛び交う幻想的な風景」というイメージと、各国語で発音がしやすいことが採用の理由であった。
(ウィキペディア)
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パタゴニアといえば、氷河が有名。
ウィキペディアから。
パタゴニアのほかマゼランは「太平洋」も命名した。
1519年セビリャの港を出発、アメリカ大陸を南下して海峡を通過し、「おだやかな海」(太平洋と命名)に抜けた。
「世界史用語集 山川出版」
「おだやかな海」と書いてあるけど、この太平洋を横断するためにはとんでもない困難があった。
このときの船上での生活は悲惨そのもの。
船員の日記にはこう書いてある。
三ヵ月と二〇日の間、新鮮な食べものはなにひとつ口にしなかった。ビスケットを食べていたが、それは粉くずといった方がよく、虫がウジャウジャわいていて、鼠の小便のにおいがムッと鼻についた。古くなりすぎて黄色く腐った水を飲んだ。また帆桁に張りつけてあった牛の皮さえ食べた。
「大航海時代 増田義郎 講談社」
鼠(ねずみ)もお金を出して買っていたそうだ。
マゼランたちは1519年にスペインを出発した。
1521年にマゼランをなくしたものの、その部下たちは1522年にスペインに戻ってきている。
だから、このときの世界一周におよそ3年もかかったことになる。
マゼランたちはとっても勇気があった。
なぜなら、当時のヨーロッパ人の頭のなかはこんな感じだったから。
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これは14世紀の絵(ヨーロッパの歴史 東京書籍)。
ヨーロッパ人は、世界にはこんな怪物がいると本当に信じていた。
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これは1603年の銅版画(大航海時代 増田義郎 講談社)。
ヨーロッパ人が想像したニューギニア人。
これはもう、コロンブスがアメリカ大陸を「発見」してマゼランの部下が世界一周を終えたあとに描いたもの。
それでも、ヨーロッパ人は地球上にこんな生き物がいると考えていた。
マゼランたちも世界のどこかで、こうした化け物と遭遇(そうぐう)する覚悟で旅立ったはず。
未知の世界に出発するためには、こうした想像上の怪物を克服(こくふく)するという困難もあった。
その勇気は本当にすごい。
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マゼランの太平洋進出(ヨーロッパの歴史 東京書籍)。
ブライが描いた銅版画。
風の神アポロンが船を導いている。頭が太陽っぽい裸の神様。
左上は怪鳥ガルーダが飛んでいる。
左下にはフェゴ島(マゼラン海峡の南にある島)の炎が見える。
もう、映画「パイレーツオブカリビアン」やアニメ「ワンピース」の世界。
彼らが人類で初めて世界一周をした。
地球の広さを実感し、それを人びとに伝えたのは彼らだろう。
地球の大きさを直接に認識(間接的にはエラトステネス以来の測定があった)し世界に指し示したことだと考えられている
(ウィキペディア)
![](https://i0.wp.com/yukashikisekai.com/wp-content/uploads/2016/08/001073-300x212.jpg?resize=300%2C212)
中世のヨーロッパ人は、まだ見ぬ世界には怪物がいると想像して怖がっていた。
でも、これは今でも同じだと思う。
現代に生きている人間でも、初めて海外に行くときはいろいろなイヤなことや恐怖を想像して怖気(おじけ)づいてしまう。
自分が頭のなかで怪物を生み出して、それに怖がっているようなことがあると思う。
海外旅行だけではなくて、初めてやることは見通しがつかないからイヤなことや悪いが頭に浮かんでしまいがちになる。
でも、自分がつくり出した想像上の怪物を怖がってしまって、新しいことをするのをあきらめてしまったら、人生が本当にもったいなくなる。
おまけ
この記事でマゼランはフィリピンでラプラプによって殺されたと書いた。
![](https://i0.wp.com/yukashikisekai.com/wp-content/uploads/2017/02/IMG_88821-700x525-1-700x525.jpg?resize=392%2C294)
この戦いでマゼランは命を落とした(大航海時代 増田義郎 講談社)
でも、マゼランを殺したラプラプは侵略者を倒したということでフィリピンでは英雄になっている。
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ラプラプ(ウィキペディア)
でも、フィリピンの第一の英雄はホセ・リサールだろう。
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