最近、テレビ・ツイッター・フェイスブックなんかで、新学期がはじまった様子をよく目にする。桜の木の下で、子どもと写っている写真がとても多い。
桜が咲く4月は、日本人にとって始まりのとき。
たくさんの会社や学校がこの時期に、新しい人をむかえてスタートする。
でも、アメリカに戦争で負けた後、そんな日本の伝統的な始まりを4月から9月に変えられそうになったということを本で読んだことがある。
戦後の日本を占領していたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部:実質的にアメリカ)が日本に対し、「新学期を4月からアメリカと同じく9月から始めたほうがいい」というようなことを提案したという。
このとき、文部省の役人が「日本の学校の始まりは、桜が咲く4月以外にはない」と頑強(がんきょう)に抵抗したことで、それまでどおりに4月スタートが認められたという。
日本人は桜や花見がとても好き。
これは日本人だけではなくて、外国人も認める世界的な常識になりつつある。
でも日本人を代表するような日本人が、じつは花見を嫌いだった。
その日本人とはこの人のこと。
明治の日本を旅行したアメリカ人女性がこう書いている。
欧州の君主や権勢を誇る王族は、日本の統治者・天皇に比較すると成り上がり者にすぎません。皇室は紀元前六六0年に初代神武天皇が即位して以来とぎれることなき系統を保っています。後代へ下って、現在の天帝の子孫、睦仁(明治天皇)は歴代系図から一二二代目となります
「シドモア日本紀行 (講談社学術文庫)」
ということで、当時の「天帝の子孫、睦仁(明治天皇)」がその人。
徳川幕府の崩壊・王政復古の大号令・新政府の樹立・戊辰戦争・国会・憲法・日清日露戦争・・・。
明治天皇が生きていたときの日本は、日本史のなかでもこれ以上ないぐらいの激動の時代にあった。
日本を外国の植民地にはさせず、独立を守りとおして世界の大国にまで導いた。
この功績はボクなんかが評価できるところではない。
この時代に日本に明治天皇、タイにはラーマ5世が生まれたことは両国にとって本当に恵まれていた。
中国の西太后のような人物が国の中心にいたら、植民地になっていたと思う。
20歳のころの明治天皇
(「明治天皇を語る ドナルド・キーン」から)
前に明治天皇のことを記事でかいたときに、意外に思ったことがあった。
明治天皇は刺身と花見とお風呂が嫌いだった。
ドナルド・キーン氏の「明治天皇を語る」にそのことが書いてある。
食べ物に対する趣味のことですが、明治天皇はお刺身が大嫌いでした。絶対に食べなかった。川魚は好きでしたが、海魚は絶対に食べません。
花見も嫌いで、なるべく花見は行かないようにしていました。
風呂も嫌いでした。夏以外、風呂に入ることはまずありませんでした。
「明治天皇を語る (ドナルド・キーン)」
明治天皇は「刺身・花見・お風呂」が嫌い。
明治天皇ほど「日本人らしい日本人」という人は、なかなかいないだろう。
でもそんな人が、日本人が好きな「刺身・花見・お風呂」を嫌いだった。
このギャップがすごく印象に残っている。
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