ブログを書くときの引用と盗用の違い。そのルールとは?

 

このニュースを知って驚いた人はたくさんいると思う。

京都大学の学長が入学式の式辞のなかで、ボブデュランの歌詞をとり上げた。
するとなんと、ジャスラック(日本音楽著作権協会)がその歌詞の使用料を請求したのだ。

そのことが5月19日付の京都新聞の記事にある。

京都新聞の取材に対しJASRACは「一般論として、ウェブ上にある音楽著作物には利用手続きが必要となる」と説明。
商用目的でなくても、歌詞を印刷できる仕様でウェブ上に掲載すると、1回の閲覧につき数十円が必要になる場合があるという。

「式辞に歌詞引用、著作権料を 京大HP掲載で」

「商用目的でないものも1PVで数十円」って、なかなかの商売だ。

こんなことになるとは京都大学も想像していなかったはず。
だから学長の式辞をそのままウェブにのせたのだろうし。

 

最近のジャスラックは他にも世間を騒がせていた。

ヤマハが音楽教室で音楽を演奏していることに対して、ジャスラックがその使用料を請求したのだ。
ヤマハはこれに反発して、ジャスラックを提訴している。

これは5月16日付の朝日新聞の記事。

ヤマハ、JASRACを提訴へ 教室演奏の著作権めぐり

音楽教室大手・ヤマハ音楽振興会(東京都目黒区)が7月にも、「教室での演奏には著作権は及ばない」として、JASRACへの支払い義務がないことの確認を求める訴訟を東京地裁に起こす方針を固めた。

 

こうしたジャスラックの動きを、どうみたらいいんだろう。

「今はこういう時代なんだぜ」と理解したらいいのか?
それとも「ジャスラックがいき過ぎてしまった」ととらえるべきか?

そのことは今後の裁判で明らかになるはず。

 

 

ブログを書いている人にとってもこれは他人事ではない。
記事に歌詞の一部をのせるなんてことはよくやる。
でも今では、それがOKなのかどうか事前に注意しないといけない。

そうでないといつの日か、ジャスラックから使用料の請求メールが来るかもしれない。
特にブログによって何らかの収入を得ている人は要注意。

それに今は小さなブログでも、これから先大きく育っていって社会的な影響力を持つブログになるかもしれない。
そうなったときに、昔の記事を再びチェックするのはかなり面倒くさい。
今から気をつけていれば、防ぐことができる問題もある。

ということで今回は、ブログ記事で引用するときに気をつけたいルールを書いていきます。

それにしても、そのうち鼻歌を歌っただけでジャスラックから使用料を請求される時代になったりして。

 

ブログの記事では、歌詞ではなくて他の人の文章を引用することはよくある。
そのほうが客観性や信頼性が高くなるから。

引用することは良い。
けど、それが盗用だとアウト。
でも引用と盗用の違いやさかいがよくわからない。

去年、「それはパクリ(盗用)だ!」と大手キュレーションメディアが指摘されて大問題になっている。

それで気になって引用のルールというものを調べてみた。
すると困ったことに、「引用の条件とはこれだ!」というのはハッキリ決まってないらしい。

最高裁の判断も揺らぎつつあり、引用の要件は一義的に決まっていません。さまざまな要素の総合考慮ともなります

キュレーションメディアの著作権問題、どこから権利侵害? 弁護士に聞く

 

でも引用のルールというか目安はある。
こんなもの。

自分の著作物と他人の著作物が明瞭に区別されていること(明瞭区別性)と、2)自分の著作物が主であり、引用する他人の著作物が従であること(主従関係)が重視されてきました。その他に、3)引用するための相当の理由があること(必然性)や、4)出所の明示を要件とする見解もあります。

キュレーションメディアの著作権問題、どこから権利侵害? 弁護士に聞く

 

そもそも「必然性」がなかったら、ふつうは記事にそれを引用することはない。
だから、大事なことは他の3点だろう。

「明瞭区別性」については、自分が書いた文と引用した文とがはっきり分かればいい。
ワードプレスにはそのための機能があるのだから、面倒くさがらないでそれを使えばいいだけのこと。

パクリはいけません!

 

「出所の明示を要件とする」というのは、「5月19日付の京都新聞の記事」みたいにどこからどの情報をもってきたのかをハッキリ示せばいい。
そのリンクをはっといてもいい。

 

「主従関係」というのがむずかしい。
本文と引用した文の割合はどのぐらいが適切なのか?
「本文よりも引用が多い」となると主従が逆転してしまうから、これは問題外。

では記事全体の何%までなら引用していいのか?

じつはこれもハッキリ決まっていない。
いろいろなサイトを見ていると、本文の15~20%以下にしていれば安全らしい。

 

 

この他にも、他人の文章をチョイと変えただけというものアウト。
接続しや語尾を少し変えただけとか。
やっぱり自分の文章を書かなきゃ。

引用ではなくて何かを参考したのあれば、その出典も明示しないといけない。

そして大事なことはこうした情報をアップデートしていくこと。
この記事に書いてあることは、あくまでも現時点での情報にすぎない。
これが半年後や1年後にどうなっているのかなんて分からない。

今は大学の式辞に対してジャスラックから請求書が来る時代なんだから。

だから「自分の知識が古くなっていないか?」「今でも通用するか?」ということを定期的にチェックして最新版のものにアップデートしていく作業も必要。

 

細かい手続きや作業はたしかに面倒くさい。
けれどこれをおこたっていると、後からもっと面倒くさいことになってしまうかも。
時代を変えられないのなら、時代とうまくつき合っていくしかない。

 

それにしても、外部から指摘されることを意識して、用心深く何かをするというのもシンドイ。

「1984年」という小説に出てくる社会みたい。
この小説を読まなくても、小説の考え方は知っておく価値はある。

1998年にランダム・ハウス、モダン・ライブラリーが選んだ「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」、2002年にノルウェー・ブック・クラブ発表の「史上最高の文学100」に選出されるなど、欧米での評価は高く、思想・文学・音楽など様々な分野に今なお多大な影響を与え続けている。

(ウィキペディア)

この引用は「明瞭区別性」はあるし出所を明示したから、たぶん大丈夫。

 

後日談

*大騒ぎになったせいか、結局ジャスラックは京大に請求しなかった。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。