日本はどんな国?在日外国人(インド人)から見た違いや特徴

 

はじめの一言

「日本人の天才的資質は、小さな物において完全の域に達する。茶碗、御分、湯わかしをも美術品に作りあげる方法、(中略)一瞬の間に浮かんでは消える思想を表現する方法―これらを日本人の半分もよく知っている国民はいない
(チェンバレン 明治時代)」

「日本絶賛語録 小学館」

 

今回の内容

・「どこでも同じ!」の日本
・「違いが当たり前」のインド
・1枚のお札に17の言葉
・日本人が英語を話せない理由

 

日本に住んでいる外国人と話をしていると、こんな質問をされることがある。

「なあ、日本ってどんな国だと思う?」

日本にはどんな特徴とくちょうがあるのか?

そんなときは「日本は平和な国です」と答えていた。
日本は治安が良いから、女性が夜一人で出歩くことができる。
日本は70年間、外国と戦争も武力衝突もしていない。
こんな国は世界にほとんどない。

 

でもボクからしたら逆に、「外国人が日本をどんな国だと思っているのか?」ということに興味がある。
前にタージマハルの入場料についてインド人に話を聞いたときに、日本の印象も聞いてみた。
今回はそのインド人の目から見た日本の特徴について書いていきたい。

 

 

・「どこでも同じ!」の日本

彼はインドの南部出身で、日本でエンジニアをしている。

日本に1年ほど住んでいるそのインド人は、日本とインドの違いについてこう話していた。

「インドと日本の特徴は、インドは『多様性がある国』で日本は『同一性の高い国』ということですね」

彼が言う「同一性が高い」というのは、「日本は、どこに行っても同じ。違いがない」ということ。

 

これと同じことをニュージーランド人からも聞いたことがある。
彼も日本の同質性の高さに驚いていた。

「今日、浜松から名古屋まで遊びに行ったんだ。そうしたら、浜松でも名古屋でも日本人しか見なかった。ニュージーランドだったら、こんなことはないね。ニュージーランドの都市なら、いろんな種類の人間が歩いているから。白人、黒人、アジア人、現地の人(マオリ)とかね」

 

これは今から15年くらい前の話。

このときに比べたら、今は日本にいる外国人の数はかなり多くなっている。
でも日本国内では、今でも髪と目が黒くて同じ色の肌をした日本人が圧倒的に多い。
日本語は日本のどこでも通じる。
外国と比べたら、この同質性の高さはたしかに日本の特徴になっている。

 

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・「違いが当たり前」のインド

外国の多様性とはどんな状態をいうのか?

多様性とは、簡単に言ってしまえば「1つの国にいろいろな種類の人たちがいる状態」でいいと思う。
同じ国のなかに、さまざまな人種・宗教・民族がある。
そんな国が「多様性のある国」ということ。

たとえばアメリカ・インドネシア・シンガポールなどがそう。
インドの「多様性」とはこんな感じ。

インドを一言で表現する言葉としてよく使われるのが、『多様性』という言葉である。
まことにインドを表す言葉としてこれ以上の言葉はない。
人種、宗教、言語、文化、文明等、あらゆる分野で多様性という言葉が適用される

(インド人とのつきあい方 清好延)

 

インドは本当に広い。

日本ではどこでも日本語が通じるけど、インドはそうではない。
インドでは場所によって話す言葉がちがう。

大まかにいって、同じ言葉を話す人々の集まりを「一つの民族」といっていいと思う。
インドにはいろいろな民族がいる。

インドを旅する前はこんなことを思っていた。

「インドの国語はヒンドゥー語だから、インド人はみんなヒンドゥー語が話すことができるだろう」

でもインドに行ったら、全然違うことに気づく。
ムンバイ(旧名ボンベイ)では、デリー出身のインド人からこんな話を聞いた。

彼は料理人で、デリーでもレストランでコックをしていた。
個人的な事情でムンバイに引っ越すことになって、ムンバイのレストランで働くことになる。

彼がムンバイで困ったことは、「言葉が通じないこと」だった。
同じインド人が働いているレストランの中でも言葉が違う。
でも、料理の作り方はデリーと大体同じだから仕事はできるという。

 

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同質性の高い日本だったら、こんなことはあり得ない。

別の地方に行っても方言の違いがあるぐらいで、話す言語そのものが違うことはない。

ある人が関西に行ったとき、関西人から「それ、ほかしといて」と言われたという。
その人は「ほかす」の意味が分からず、「保管する」と思ったらしい。
でも、関西弁で「ほかす」は「捨てる」という意味だから、保管するとは正反対の言葉になる。

これくらいの違いなら、笑ってすませられる。
「引っ越しをしたら、言葉が違って聞き取れない!」なんてことは、日本では考えられないけど、多様性のあるインドではそんな問題がある。

 

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・1枚のお札に17の言葉

インドの言語事情は本当に複雑。

インドの南部出身の彼は、ヒンドゥー語が分からないらしい。
だから、北部のインド人と話すときは英語を使っていた。
そのインド北部のインド人は、同じパンジャーブ州出身のインド人と話すときは、英語もヒンドィー語でもなくて、パンジャーブ語を使っていた。

インドでは、相手によって言葉を使い分けることは当たり前。
インドのお札を見れば、そんなインドの多様性が分かる。

 

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インドのお札には15の文字がある。
この100ルピー札には、ベンガル語やパンジャーブ語など15の文字で「100ルピー」と書いてある。

この他に英語とヒンディー語の表記もあるのだから、一枚のお札には17の文字があることになる。

日本人からしたら、1枚のお札に17種類の文字を必要とするというのが理解しにくいと思う。
日本なら日本語と英語だけでじゅうぶん。

 

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・日本人が英語を話せない理由

友人のインド人が日本で驚いたことに、「日本人は英語が話すことができる人が少ない!」ということがある。

彼は日本に出張でやって来ていて、日本人と仕事をしている。

インドでは、外国人と仕事をするような人が英語を話すことは常識になっている。
でもこのインドの常識が日本の会社では通じない。

「インドには英語を話すことができる人が多い」という理由の一つには、インド国内にはヒンディー語が通じない地域があるから、共通語として英語を使うしかないという事情もある。

友人の大学では英語で授業をしていた。
英語以外の言葉では授業ができないという。

 

日本人の場合、「英語を話す能力がない」というより英語を使わなくても生活で困ることがない。
だから、インドに比べたら英語を使う必要性がない。
「日本人は英語を話せない!」の理由の一つにこれがある。
同質性の高い日本ではどこでも日本語が通用するから、「英語を話せなくても困らない」ということがある。

 

 

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外国人から見た日本と日本人 日本を知る15の言葉

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@amamatsushizuo3

 

2 件のコメント

  • ポイントをついていますね。相当見識の高い方とお見受けします。

  • 重ね重ね、ありがとうございます。
    いやいや、もったいお言葉を。
    そんなじゃないですよ。
    ただ、日本人に日本のことを、もっともっと知ってもらいたいなあ、と思って書いてます。
    これからも、よろしくお願いします。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。