第一次世界大戦はどんな戦争なの?新兵器と総力戦とは?

 

前回、11月11日の記念日について書いた。

この日は、もちろんポッキーの日。
というのは日本での話。
世界的に見ると、この日は第一次世界大戦が終わった記念日として知られている。

そのことはこの記事を↓

日本よ、これが世界だ!ポッキーの日は第一次世界大戦の休戦記念日。

 

第一次世界大戦とは、1914年から1918年の間におこなわれていた戦争のこと。

協商国27カ国と同盟国4カ国のあいだでたたかわれた史上初の世界戦争。

(世界史用語集 山川出版)

協商国:イギリス、フランス、ロシアを中心にアメリカ、中国、日本などがいた。
同盟国:ドイツ、オーストリア、オスマン帝国など。

 

第一次世界大戦はそれまでの戦争とはまったく違っていて、それまでの人類にはなかった新兵器がつぎつぎ登場したことで、戦争の被害は空前絶後のレベルにまで達した。
今回は、第一次世界大戦のときに登場した新兵器と戦いの様子について書いていきたい。

 

ここでクエスチョン。

第1次世界大戦から使われるようになった新兵器は何か?
さあ、考えてみてください。

 

 

答えは航空機、毒ガス、戦車、機関銃、潜水艦。

他にもあるかもしれない。
ここでは、「世界史用語集 山川出版」にのっている新兵器を取り上げる。
世界史で学ぶのはこれだから。

ただ潜水艦は、「第一次世界大戦では敵の商船を攻撃することが主な任務であった(世界史用語集 山川出版)」というものだった。

 

機関銃が登場したことによって、兵士たちは射撃をしながら前進することができるようになる。

そして機関銃での戦いによって、塹壕ざんごうがつくられた。

塹壕(ざんごう、英: trench)は、戦争で歩兵が砲撃や銃撃から身を守るために使う穴または溝である。

(ウィキペディア)

 

ちなみに、洋服のトレンチ・コートの「トレンチ(trench)」とはこの塹壕のことで、このコートも第一次世界大戦で生まれたアイテムだ。

 

第一次世界大戦時のトレンチ・コート

以下、塹壕の様子

 

 

この塹壕ざんごうに潜む敵を攻撃するために戦車が作られる。

塹壕戦による膠着状態打破のために開発された武器。1916年9月、ソンムの戦いにイギリス軍が投入した。

(世界史用語集 山川出版)

*膠着は「こうちゃく」

 

塹壕戦では戦車のほかに軽機関銃も開発された。
三脚などに乗せてその場に固定して使うそれまでの機関銃が重機関銃で、一人で持ち歩きできるような軽量化された機関銃が軽機関銃。
第一次世界大戦ではこれを歩兵部隊に装備し、突撃する戦闘が行われるようになる。
敵も味方もこの悪魔のような兵器を使用したことで、イギリスの首相・ロイド・ジョージは第一次世界大戦の死傷者のほぼ80パーセントが機関銃の犠牲者だったと言う。

 

イギリス軍が開発したルイス機関銃
出典:OlliFoolish

 

航空機については、「初めは偵察・爆撃にもちいられ、大戦中に戦闘機も作られた。(世界史用語集 山川出版)」という。
この航空機の登場により、第一次世界大戦では初めて航空戦(空中戦)が行われてこんな「空の英雄」も生まれた。

 

それがこのドイツ陸軍のパイロット。

名前をマンフレート・フォン・リヒトホーフェンという。
「陸軍のパイロット?」と思うかもしれないけど、この時代にはまだ空軍はなかった。
ヨーロッパの人たちは彼を「撃墜王げきついおう」と呼んだ。

 

撃墜王リヒトホーフェンは、自分が乗る機体を赤くぬっていた。
そのことから、彼は「レッド・バロン(赤い男爵)」と呼ばれるようになる。

 

「NHK 映像の世紀 1集」のキャプチャー

 

バイクショップのレッドバロンは、この撃墜王リヒトホーフェンのこと。

 

毒ガスについて。

毒ガスは1915年にドイツがフランスに対して使っている。
戦場で毒ガスが使われたのは、このときが初めて。

敵が毒ガスを使ったことが分かったら、身を守るためにすぐにガスマスクをつけなければならない。
これが恐怖の瞬間だったらしい。

第1次世界大戦に従軍していたドイツのレマルクという作家がこう書いている。

ガスマスクをつけた、この最初のニ三分は、生と死との境目なのだ。そのマスクにガスが通りやしないか、どうか、という問題だ。僕は野戦病院で恐ろしい有様を見て知っている。
それは毒ガスに犯された兵士が、朝から晩まで絞め殺されるような苦しみをしながら、焼けただれだ肺が、少しずつ崩れてゆく有様だ。

「西部戦線異常なし レマルク(新潮文庫)」

この「西部戦線異状なし」は反戦文学の傑作と言われ、アメリカで映画化もされている。
本でも映画でも見る価値はある。
とか言いつつ、ボクは映画は見てないけどね。

 

毒ガスの登場によって、地上での戦いを避けるようになる。
そして地下ごうがつくられるようになった。
戦いは地上だけではなく、地下でもおこなわれた。

そのときの地下壕がまだフランスに残っている。
そこでは、そのときの兵士が書いたメッセージを見ることができる。

 

下の画像は「NHK映像の世紀 1集」のキャプチャー。

神様、御慈悲を

 

地獄

 

これはベトナム戦争で使われた地下壕「クチトンネル」

 

クチトンネルにある地下室

 

ネットで見ると「スポーツ愛知 総力戦リーグ」とか「【千年戦争アイギス】 竜の島の総力戦」というように、いまの日本社会で「総力戦」という言葉は一般的に使われている。
この言葉が生まれたのも第一次世界大戦のときで、国家の持つすべての力を戦争に使っていたから総力戦となった。

総力戦

軍事力だけではなく、経済力、政治力や国民動員力など、国家の総力をあげてたたかう戦争。
第一次世界大戦ではじめて使われたことば。

(世界史用語集 山川出版)

「NHK映像の世紀 1集」のキャプチャー。

戦争は軍人(男)だけがするものではなくなった。
女性も武器づくりに追われることになる。
上の画像は第一次世界大戦時のイギリス。

 

第一次世界大戦では、航空機・毒ガス・戦車・機関銃(軽機関銃)・潜水艦という新兵器が登場する。
国の経済・政治・国民のすべての力を使って戦っていた。
地上・地下・空のあらゆる場所で戦闘がおこなわれた。

こうした結果、第一次世界大戦は、死者1700万人、負傷者2000万人というそれまでの人類が経験したことのない大惨事となる。

 

今回の復習

〇1914年から始まった史上初の世界戦争はなに?

第一次世界大戦

〇その戦争の協商国ってどこの国?

・イギリス、フランス、ロシアを中心にアメリカ、中国、日本などがいた。

〇その戦争の同盟国ってどこの国?

・ドイツ、オーストリア、オスマン帝国など。

〇第一次世界大戦で登場した新兵器は?

・航空機、毒ガス、戦車、機関銃、潜水艦。

〇軍事力、経済力、政治力や国民動員力など国家の総力をあげてたたかう戦争のことをなんという?

・総力戦

 

ヨーロッパで第一次世界大戦が行われていたころの日本の様子。
ちょう平和。

 

 

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2 件のコメント

  • 世界史の学習において機関銃は第一次大戦で初めて使用された、という記述はないですよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。