はじめの一言
幕末の日本へやって来たイギリスの外交官、オールコックは日本人についてこう記した。
「日本人は(多くの点から見て根本的に異なっている)近隣の国民から、征服による圧迫もないのに、その全道徳・倫理体系ととも、国語と文学を、かれらじしんのものとして採用した。
ソース:「日本絶賛語録 (小学館) 村岡 正明 」
オールコックは知らなかったが、その約50年後、日本は朝鮮半島を統治することになる。今も日韓には、特に政治面でそのインパクトが残っている。

インドのコルカタ(旧カルカッタ)にあるパラゴンは、バックパッカーの間では「伝説の宿」として有名だ。
パラゴンは汚い、臭い、南京虫がいる、インドの長期旅行者が面倒くさい…といったデメリットがあったが、それを上回る安さが魅力で、世界中から貧乏旅行者が集まっていた。
ただし、ボクが知っているパラゴンは10年以上前のことだから、現在、どうなっているのかは分からない。SNSでドミトリーがなくなったという情報を見て驚いたことがある。

パラゴンホテルのドミトリー
15年ほど前、この宿のインド人スタッフと話をしていると、彼から「日本人と韓国人の違い」について聞いた。彼の目に、韓国の人たちはこんなふうに映った。
「日本人と韓国人を見分けることは不可能だ。でも、質問する内容から、考え方や価値観の違い見えてくる。韓国人はキリスト教徒が多くて、マザーテレサの施設のことをよく聞いてくるんだ。そこでボランティア活動をする韓国人が多いからね。でも、日本人が質問するのは、鉄道チケットや安くておいしいレストランの情報とか旅行のことがほとんどだ。」
彼が指摘したように、日本人と韓国人の大きな違いに宗教がある。日本では無宗教を自認する人が多く、キリスト教徒は人口の1%以下しかいない。
それに対し、韓国では半数以上の人(53・1%)が宗教を信じている。その内訳を見ると、仏教の信者が42・9%ともっとも多く、プロテスタント(33・5%)、カトリック(20・6%)とつづく。
プロテスタントとカトリックの2つを合わせると、キリスト教徒がいちばん多いことなる。
ただし、社会や文化的には儒教の影響を強く受けていている。
ソース:外務省HP「大韓民国(Republic of Korea) 基礎データ」
今では考えられないが、北朝鮮の首都ピョンヤンは「東洋のエルサレム」と呼ばれるほどキリスト教の信仰が盛んだった。北朝鮮が共産主義の国になったときに、多くのキリスト教徒が韓国に逃げてきたという。

路上で体を洗う光景は日韓では見られない。
インド人スタッフの「日韓比較」はつづく。
「韓国人は本当に酒が好きだだから、ビールを買える場所をよく聞かれる。外で飲んで、顔を赤くした韓国人がロビーを通るのをよく見かける。日本人も酒を飲むけど、韓国人とは比べられないね。」
韓国人の酒好きはボクから見ても、控えめに言って異常なレベル。
知人の韓国人と話をしていたら、彼は大学生のころキャンパスの中で酒を飲んでいたと言って、「あれ? 日本では、大学の中で飲まないんですか?」と驚いていた。こっちは、そこに驚く彼にビックリした。
大学内で酒を飲んでいても、授業で名前を呼ばれたときに返事ができたら「セーフ」。返事ができないくらい酔っぱらっていたらアウトで、教室から退出させられるらしい。
これは彼の体験で、どこまで韓国社会で一般化できるかは知らない。
ちなみに、「韓国人の大酒飲み」については、1890年代の朝鮮を旅行したイギリス人女性の紀行文にも書いてある。
酔っぱらいは朝鮮の大きな特徴であるといわざるをえない。そしてまた、酔っぱらっても恥ではない。正気を失うまで酒を飲んだとしても、粗野だとは見なされない
「朝鮮紀行 イザベラバード (講談社学術文庫)」
ということで、今回のインド人が日韓のイメージはこんな感じだ。
韓国人:熱心なキリスト教徒が多く、昼はマザーテレサの施設で奉仕活動をする。アルコールが大好きだから、夜は酒を飲んで酔っぱらっている。
コルカタではヒンドゥー教やイスラム教の影響が強く、飲酒は良く思われていない。だからこのインド人からすると、韓国人は「昼は素晴らしいけど、夜はだらしない」ということになる。
日本人:宗教への関心は薄く、グルメや観光への興味や関心が高い。韓国人の客に比べて、日本人は声が小さくて礼儀正しい。部屋をきれいに使ってくれるから、それはとても助かる。印象としては「健全な旅行者」だが、韓国人よりも英語ができない。
もちろん、日本人でもマザーテレサの施設でボランティア活動をしていた人はいる。これは、インド人の個人的な経験から導き出された1つの意見だ。

インドのジョードプル
ワンピースのアラバスタ編の舞台になったという。

中国からの独立を記念して、今のソウルに建てられた「独立門」。
おまけ
この記事で紹介したイザベラバードの旅行記を読むと、19世紀の韓国(朝鮮)の様子がよく分かる。
下記の内容は、日本人なら中学校の歴史で習ったはずだ。
一八九五年一月八日、わたしは朝鮮の歴史に広く影響を及ぼしかねない、異例の式典を目撃した。
朝鮮に独立というプレゼントを贈った日本は、清への従属関係を正式かつ公に破棄せよと朝鮮国王に迫っていた
「朝鮮紀行 イザベラバード (講談社学術文庫)」
日本は中国(清)と戦争をして勝利し、1895年に講和条約である「下関条約」が結ばれたことで、朝鮮は中国から独立した。
それを100年以上前のイギリス人は「(日本が)朝鮮に独立というプレゼントを贈った」と表現したが、きっと現代の韓国人には受け入れられない。日本が同じことを言ったら、きっと韓国の人たちを怒らせる。
日韓は以前から、歴史認識の違いで対立してきた。第三者の外国人に聞くと、韓国人から歴史の話(ほとんど日本非難)を聞いたことがあるという人は多い。日本人は自分からそんな話をしないから、これも日韓の違いの1つになる。
パラゴンホテルのあるコルカタの様子
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コメント
コメント一覧 (10件)
残念なことにこのイザベラバードの本は韓国では読めないんですよねー。ぜひぜひ事実を受け止めて欲しいのですが(´・ω・`)
そうなんですか!
それは知りませんでした。
「見たくないものは見ない、見せない」ということをやっていると、困るのは自分なんですけどね。
一応韓国版があるらしいですが朝鮮を褒めたたえた内容で本家の英語版と全く違うそうです。
なるほど!
韓国らしいですね。笑。
ありがとうございます。
フリーブックスのグーテンベルグにあるバードの朝鮮手記の英語原文、読もうと思ったら、(一時的かもしれませんが)なくなっていたような…?
フリーブックスなんてのがあるんですね。初耳です。
私は日本語訳だけで、原文は読んだことがありません。
プロテスタント:34.5%,カトリック:20.6%
ほとんどの韓国人は朝鮮を独立国だと知っています。
ただ、中国の力を意識して、一団の権限、つまり王位継承の承認と同じ権利を与えたとばかり考えています。
しかし、一部の知識人を含め、約20%程度の国民は中国の属国であったことを認めています。
中国という当時の世界的な強大国の隣に位置していた朝鮮としては、国を保存するには、そういう低い姿勢を取るしかなかったと自慰します。しかし、朝鮮以前の朝鮮半島の国々の中で、一時的に必要に応じて中国に事大する真似をしたことはあるが、精神的に事大したり従属したりする国はなかったという点で、朝鮮王朝の519年は、韓民族としては恥ずかしい時期でした。
当時の中国は大国ですし、朝鮮が自主・独立性を守るためには冊封体制に入るのは現実的な選択でした。
実質的に中国の支配を受けませんでしたしね。
韓国人に仏教徒はいないわ。