2016年、旅行で日本へ来た外国人の数が2000万人を超えた!
これは縄文時代をふくむ日本の歴史上、初めてのこと(やや大げさ)。
2002年の訪日外国人観光客の数は520万人。
15年で約4倍に増えている。
今の日本政府はかなり強気だ。
2020年の訪日外国人観光客の目標数を、4000万人に設定している。
この目標が達成されるのかどうかは別として、これから日本に来る外国人はますます増えることは間違いない。
今まで外国人とは縁のなかった日本人が外国人と話す機会はきっと増える。
個人的にもそれを肌で感じている。
東京に行った時には、ゲストハウスで出会ったケニア人と飲みに行った。
浜松で歩いていると、中国人観光客に呼び止められて、ホテルまでの道をたずねられたこともある。
これから日本の国際化は待ったなし。
それを見すえて、日本の人も社会も動き出している。
英語を学ぶ大人は増えているし、学校教育も大きく変わっている。
2020年からは、小学校の5、6年生で英語が教科になる。
中学校では、英語で授業がおこなわれる予定だ。
これからの英語学習で特に重視されるのは、聞く・話すといった英会話の能力。
もちろんこれは、外国人とのコミュニケーションを念頭に置いてのこと。
でも外国人とつき合うなら、英語教育も大切だけど、宗教に対する理解を深めることも重要だ。
友人のイギリス人は、小学生のときに宗教を学ぶ授業があったと話していた。
キリスト教・イスラーム教・仏教・ユダヤ教について学んだという。
外国人とコミュニケーションをするなら、相手の宗教に由来する価値観や考え方を知っておくと役立つ。
実際、言葉がわからなくても大したことはない。
自分が恥をかいたり、相手が少し困ったりするぐらいだ。
それに今は、すぐれたアプリもある。
日本の国際化で問題となるのは、日本人の英語力だけではなくて宗教への理解もある。
そう感じさせることが去年あった。
2017年の5月、東京駅にイスラーム教徒用のお祈りスペースができた。
JRの駅でイスラーム教徒のための祈祷室ができたのは、東京駅が日本で初めて。
くわしくはこの記事を↓
東京駅にイスラム教徒の祈祷室(祈りの部屋)が。注目点はここ。
これから大阪や名古屋の駅にも、イスラーム教徒の礼拝施設ができると思う。
クリスマス・シーズンになると、日本では「メリー・クリスマス!」と言うけれど、最近のアメリカではそうでもない。
「メリー・クリスマス」とは言わずに、「ハッピー・ホリデーズ」と言うことが増えている。
アメリカは移民の国で、世界中からいろいろな人間が集まっている。
キリスト教徒・イスラーム教徒・ヒンドゥー教徒・ユダヤ教徒といった様々な宗教の信者が住んでいる。
そんなアメリカで、「メリー・クリスマス」とキリスト教のあいさつをするのはマズイらしい。
そのことをニューヨークにいるアメリカ人にメールで聞いてみた。
するとこんな返事がきた。
Its strict for businesses.
But it is considerate to say happy holidays if you think they might not celebrate christmas. Here we have Christmas, Hanukkah, Kwanzaa, and Ramadan.
(意訳)
仕事の場面では厳しい。
でも、クリスマスを祝わない人がいるかもしれないから、「ハッピーホリデーズ」と言った方が思いやりがある。
ここ(アメリカ?ニューヨーク?)には、クリスマス・ハヌカ・クワンザにラマダンがあるのだから。
先ほどのイギリス人のように、学校の授業で世界の宗教について学んでいたら、ユダヤ教のハヌカやイスラーム教のラマダンのことはわかる。
ニューヨークに住んでいたら、これらのことは知っててあたりまえ。
アメリカ全体でも、これは常識だろう。
でも日本人の場合、クリスマスは知っていても、ハヌカやラマダンについてはよくわからない人が多いと思う。
「人口の95%以上が日本人」という日本の社会では、ハヌカやラマダンを知る必要性がほとんどない。
でも、国際化した社会ではそうもいかない。
このへんのことはこの記事をご覧ください。
「宗教について理解を深めることが大事ですよ」といっても、宗教の知識をつめ込むということではない。
キリスト教がいつ、どんな社会を背景にして生まれたのか?
キリスト教とはどんな教えなのか?
カトリック(旧教)とプロテスタント(新教)には、どんな違いがあるのか?
こうしたことは高校の世界史で覚えたらいい。
その前段階として「宗教というのは、信者にとってどれだけ大事なのか?」ということを、何となくでも知っておくことが大事。
日本には、無宗教で宗教に関心がない人がとても多い。
ボクも無宗教だけど。
宗教が原因となる争いが起こらないのはいいことだ。
でも外国人の宗教心を理解するうえでは、きっとマイナスになる。
2013年のアメリカでこんな出来事が起きた。
カリフォルニア州で、ある牧師が買い物でコストコを訪れた。
その牧師は本屋にあったキリスト教の聖書を見て驚がくする。
その聖書の値札に、「フィクション」と記載されていたから。
これを問題視した牧師は、写真を撮ってツイッターに投稿する。
すると、その投稿を見た多くのアメリカ人が怒り出す。
そしてコストコの不買運動を呼びかける事態にまで発展した。
結局、コストコは公式謝罪をすることになる。
「コストコが聖書をフィクションとして扱った」
このことを、ノースカロライナ州出身の20代のアメリカ人男性に話してみた。
彼はこう言う。
「それはどこの州だよ?アメリカ北部ならたぶん大丈夫だけど、南部の州でそれをやったら大問題だな」
ニューヨーク出身の20代のアメリカ人女性にも、同じことを聞いてみた。
「本当?バカじゃないの?そんなことをしたら、南部だけじゃなくて北部でも問題になるわよ!」
30代のイギリス人女性は?
「オ~!それはいけませんね。イギリスでそんなことがあったら?怒り出す人が出て、問題になるかもしれない。でも、その本屋の店員はキリスト教が嫌いで、わざとフィクションのラベルをはったんじゃないのですか?」
かもね。
日本で英語を教えている日本人の女性にも話してみた。
彼女はカナダとオーストラリアに留学したことがあって、ボクから見たらその英語力は完璧。
「へ~、コストコでそんなことがあったんだ。でも、それは何が問題なの?」
こんな彼女の言葉に驚いた。
アメリカ人やイギリス人は、事の重大さがすぐに分かった。
でも彼女はこの出来事で、何が問題なのかが分かっていなかったのだ。
そのことについてはこの記事を。
これは去年のこと。
彼女の英語力と宗教の理解との間にかなりのギャップがあって、この時のことは強く印象に残っている。
「語学教育も大事だけど、日本人には宗教の理解も大切だな」ということを強く感じた出来事でした。
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