アメリカ人・イギリス人・日本人のチップや金銭感覚の違い

 

中国メディアの今日頭条が、「外国人が我慢ならないという日本の変な文化」を紹介している。

それを箇条書きで抜き出してみよう。

・公共の場所では鼻をかんではならないこと
・チップを支払わないこと
・満員電車の押し屋
・水や酒を飲むときに、先に相手に注ぐこと

それぞれのくわしい説明は、レコードチャイナの記事を見てください。
こいつ↓

外国人が我慢ならない日本の変な文化=中国ネット「すべて日本の良いところじゃないか」

この記事では「チップ」について書いていきやす。

 

たしかに日本にはチップを渡す習慣はない。

でもそれが、「外国人が我慢ならないという日本の変な文化」というほどのものかは疑問。

レコードチャイナの記事には、日本にチップの習慣がないことを「西洋人からするとおかしな感じがする」と書いてある。
それはそうかもしれないけれど、「西洋人」といってもアメリカ人とヨーロッパ人ではチップに対する考え方は違う。

この記事ではアメリカ人とイギリス人を取り上げたようと思う。

アメリカとイギリスには共通点が多い。
両国とも英語の国だ。
価値観や考え方、文化の土台にはキリスト教がある。

 

でもチップの考え方はチョイと違う。
アメリカ人やイギリス人から話を聞いた限りでは、イギリス人よりアメリカ人のほうがチップをよくする。
ボクの感覚だけど、チップの習慣の有無を順番であらわすと「アメリカ>イギリス>>>日本」という感じ。

 

世界でもっとも人気のある日本のガイドブック「ロンリープラネット・ジャパン」

 

この中にチップの説明がある。

日本ではチップの習慣はほとんどない。
感謝の気持ち(gratitude)を伝えたいなら、現金よりもgift(小物)を渡したほうがいい。
旅館では現金を封筒に入れて置いておけ、と本当に細かいことまで書いてある。

 

友人のアメリカ人の言葉を思い出した。

「日本人はお金を渡すとき、なんで封筒に入れるの?その理由が分からない」

日本人の場合、むき出しの現金を渡すことに抵抗がある。
アメリカ人にこの感覚は理解できないと思う。

 

 

アメリカ人にとってチップをするというのはもう常識。
一般的に広くおこなわれている。

カルフォルニア出身のアメリカ人で、ラーメン好きなヤツがいた。
「アメリカでラーメン一杯いくらするの?」と聞くと、「1300円でチップが200円ぐらいかな」と答える。

アメリカでは、食事のときにチップを渡す習慣があることは知っていた。
でも日本人のボクからすると、「ラーメンにもチップ」ということには違和感しかない。

 

彼は1300円だと言っていたけど、ニューヨークにいるアメリカ人が一蘭に行った時は、一杯2000円ほどだったという。
でも日本式で、一蘭ではチップはいらない。
ラーメンにも日本とアメリカのチップ文化の違いがあらわれている。

 

ニューヨークの一蘭
これに2000円か・・・。

 

これはイギリス人から聞いた話。
イギリスでは、アメリカのように「食事をしたら、チップをわたすのが当たり前」という感覚はないらしい。
チップを渡すかどうかは、完全にその人の気持ち次第。

気持ちのいいサービスを受けたり気に入った店員がいたりしたら、感謝や応援の気持ちでチップを渡すことが多いとか。

金銭感覚もアメリカ人とイギリス人では違う。
アメリカ人は気前が良くて金払いもいい。
だから貯金は苦手。

イギリス人も日本人に比べたら貯金をしないほうだけど、アメリカ人よりはマシらしい。
貯金の習慣の有無を順番であらわすと、きっとこんな感じだ。

「日本>イギリス>>>アメリカ」

 

アメリカ人の金銭感覚やお金の扱い方はちょっとおかしい。
だから、サブプライム問題なんてものが起こるんですよ。

 

去年、アメリカ人女性からこんな頼まれごとをされた。

「アメリカから両親が来るから、浜松を案内してほしいだけど」

問題ない。
それで、車でご両親を浜松城やお寺なんかに案内する。
そしてその子もふくめて、晩ご飯を食べに行った。

その食事の支払いはすべてその親。
ボクもおごってもらったけれど、まあ、そのぐらいはいいだろうと。

 

それで両親をホテルまで連れ行れて行くと、別れ際、父親が財布から1000円札を取り出す。
そして笑顔でこう言う。

「今日はありがとう。君のおかげで楽しい一日だったよ」

ボクにその1000円札を渡そうとする。
お父さんはニコニコしているけど、いや、ちょっと待ってほしい。

「夕食をおごってもらったから、それは受け取れない」と言おうと思ったら、アメリカ人の女の子が口をはさむ。
「ここは遠慮しないで、そのお金を受けとって。これがアメリカ人の感覚だから」

断るほうが失礼か、ガス代としてお金を受け取った。
アメリカ人がチップを渡す感覚ってのは、こんなものなんだろう。

 

イギリス人の場合は違った。
イギリス人のカップルを案内したときは、「今日はありがとう!イギリスに来たら、今度はボクたちが君を案内するよ」で握手して終わり。

 

先ほどラーメンの話をしたアメリカ人の話。
彼の親が日本に来たとき、一緒にデニーズに行った。

そこで父親がウェイトレスにチップを渡そうとすると、そのウェイトレスがビックリした顔をする。
「あ、そういうのはいいですから」と断ろうとした。

友人のアメリカ人は日本にいるから、日本の事情をよく知っている。
日本にはチップの習慣はないし、ファミレスの従業員に現金を渡すことはよくないということもわかっていた。

それでこう言う。

「父さん、日本でチップはいらないんだよ。『ありがとう』って言うだけでいいんだ」

でも父親は納得しない。

「おまえなあ、お金をもらってうれしくない人間がいるわけないだろう。早く受け取るように伝えろよ」

 

このことをふり返って、彼はこんなことを言っていた。

「な、アメリカ人ってバカだろ?『お金をあげることは良いことだ』って頭から思ってんだぜ?」

彼に言わせると、これがアメリカ人の考え方らしい。
「この世の中に、お金をもらって困る人間はいない」と信じているから、チップを受けとらない理由がよく分からない。

アメリカ人の考え方としては、感謝の気持ちを現金であらわすことは当たり前のこと。
だから、お金を渡すことに何のためらいも後ろめたさも感じない。

「日本人が現金を封筒に入れて渡す理由がわからない」と言っていたのも、このあたりに原因があると思う。

 

結局この時は、デニーズの店長が出てきて「お気持ちはありがたいのですが、食事代以外のお金を受け取ることはできません」と言われて、父親もチップを渡すことをあきらめた。

アメリカ人にとってチップとは、あいさつのような手軽なものなんだろう。
でも日本人の場合、食事とは別で現金をもらうということには抵抗がある。
その場にたくさんのお客さんがいたら、余計もらいずらい。

 

それにチェーン店の場合、チップを受け取るとその後の処理が面倒くさそうだ。
その現金は、従業員や店長のサイフに入れていいのか?
店の売り上げに計上するべきか?
もし従業員で分けるとしたら、その日に出勤してない従業員の分はどうするのか?

デニーズを出た後も、父親は納得がいかなかった。

「なんで彼らはお金を受け取らないんだ?何が困るんだ?」と彼にしつこく質問する。

「アイツ超うざかった」らしい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。