「日本の都道府県名で、もっともカッコいいのはどれか?」
gooランキングでそんな調査がおこなわれて、その結果が発表された。
トップ3はここ。
1位 神奈川県
2位 北海道
3位 京都府
神奈川が「日本で一番カッコいい県名」に選ばれたのは、オシャレな横浜・夏に若者が集まる湘南・古都鎌倉、温泉で有名な箱根があるかららしい。
*箱根を静岡県だと思っている人はいませんか?神奈川でっせ。
さらに「県名に“神”が入っていることもカッコ良いと思われているポイント。1位となりました」ということらしい。
北海道や京都の理由はこの記事を見てください↓
県名がカッコいい都道府県ランク 1位は「神」が入っている神奈川県
ちなみにこの3つを英語にするとこうなる。
God How?River
North Sea Road
Capital City
Capital Cityが一番カッコいいかな。
くわしくはこの記事を↓
英会話の話題・雑学に:あなたの都道府県を英語で言うとこうなる。
この記事を見た神奈川県民がこんなコメントをしている。
神奈川住みだけど一度もカッコいいと思ったこと無い
むしろダサいと思ってた
ただ通販なんかで住所入れるときのプルダウンメニュー?は
4文字になるから一つだけ飛び出てるの探せばいいから楽だと思う
ここにある「プルダウンメニュー」とは、こんなもの。
たしかにここで、「神奈川県」と4文字になっていると探しやすい。
これは、神奈川は漢字3文字だけど他の都道府県は漢字2文字だから。
都道府県だけではなくて、日本の地名には漢字2文字のところが多い。
これは自然にそうなったのではなくて、ちゃんとした理由がある。
それが「好字二字令」ってやつ。
「日本の地名は、ほとんどが漢字2文字だよね」ということは、友人のアメリカ人が気づいていた。
彼は日本語の勉強として、車のナンバープレートや地図を見てそう思ったらしい。
そのアメリカ人がこんな不満をもらす。
「日本の地図には、漢字2文字の地名が多いから分かりづらい。ボクは漢字を読めないから、全部同じように見えてしまうだよ」
イギリス人もこれと同じ不満を持っていた。
中国人なら問題ないけど、欧米人には分かりづらいかもしれない。
でも、その文句は奈良時代の朝廷に言うべき。
日本で漢字2文字の地名が多い理由は、奈良時代に朝廷がそういう命令を出したから。
713年に朝廷が「良い意味の二文字の漢字で、地名をつけなさい」と役人に言ったもので、「二字令(好字二字令)」と呼ばれている。
諸国郡郷名著好字令とは、全国の地名を漢字2文字で書きましょうという命令である。好字二字令、または単に好字令とも呼ばれる。
この命令が出されたのは奈良時代のとき。
平仮名がつくられたのは平安時代。
この時代の日本には、文字は漢字しかなかった。
「漢字二文字で地名をつけなさい!」という命名は、日本人の発想ではない。
唐(中国)がそうしていたから、日本もそれを取り入れただけ。
奈良時代の日本にとって唐は先生のような国。
朝廷は遣唐使を送って、唐のいろいろなものを日本に持って来させた。
律令制度(大宝律令)もその一つ。
好字二字令もこのときの唐にあった制度。
これが伝統的な地名の命名になったから、今の中国でも漢字2文字の地名がめちゃくちゃ多い。
唐がそうしているのを日本人が見て、「じゃあ、日本もそうしよう」と漢字2文字で地名を表記することになる。
それによって、それまで漢字3文字だった地名は2文字になった。
たとえば、静岡県の遠江(浜松)。
それまでの「遠淡海(とおつおうみ)」という地名が好字二字令によって、「遠江(とおとうみ)」になった。
他に滋賀の「近淡海」が「近江」になっている。
ちなみに、「淡海」とは湖のこと。
あわ‐うみ〔あは‐〕【淡海】
《淡水の海の意》湖。湖水。おうみ。潮海(しおうみ)に対していう。
デジタル大辞泉の解説
近淡海とは「京都に近い湖」で琵琶湖のこと。
遠淡海とは「京都から遠い湖」で浜名湖のこと。
この逆もある。
漢字1文字だった地名がもう一つ文字を加えて2文字になったというところ。
大阪の「泉」が「和泉」になったり、和歌山の「木」が「紀伊」になったり。
和泉(いずみ)は好字二字令によって、無理やり「和」をくっつけただけ。
だから、読み方は泉と変わらない。
遠淡海(浜名湖)
地名を漢字2文字であらわすのは韓国も同じ。
これも日本と同じ理由で、唐の制度を取り入れたから。
韓国では新羅( 4世紀中ごろ~935年)の景徳王(けいとくおう)のときに、この地名の命名法が採用された。
唐との間に活発な交渉をすすめ,757年以後,州郡県や官制の名称を中国式に改めて国制の再編成をはかる
世界大百科事典 第2版の解説
「中国式に改めて」というのが、唐にならって地名を漢字2文字にしたということ。
このときの韓国は日本と同じく、文字は漢字しかなかった。
韓国でハングル文字がつくられたのは1446年。
日本では足利義満が金閣寺を建てたころ。
ちなみに韓国旅行で定番となっている仏国寺と石窟庵(せっくつあん)は、景徳王の時代に建てられたといわれている。
石窟庵
仏国寺
おまけ
現代の日本では地名に「神」という好字が入っていることから、神奈川が「日本一カッコいい県名」に選ばれている。
でも、中国人からしたら「群馬」だろう。
中国人にとって馬は成功のシンボルだから。
中国のメディア「北京週報」には、中国文化と馬についてこう書いてある。
中国文化において、「馬」は祝福や願い、激励、成功などを象徴している。例えば、「何事もうまくいく」という意味の「馬到成功」は、人々が互いを祝福する言葉の代名詞になっている。
祝福や成功のシンボルである馬が「群れ」になっているのだから、中国人にとって「群馬」という文字はたまらないはず。
くわしくはこの記事を↓
中国にはこんな絵がよくある。
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