始めの一言
「私が最初に京都を訪れたとき、この比類のない都市の魅力をなす美しい庭園の一つを散策しながら、倒れかけた大きな松の木が、恭しくあてがわれた一種の巨大な松葉杖によって支えられているのを見て、私の心はどんなに強く捉えられ動かされたか今でもなお思い出します(ポール・クローデル 大正時代)」
「日本絶賛語録 小学館」
今回の内容
・日本=ケンシロウ説
・ケンシロウの強さの秘密
・日本の強さの秘密
・日本=ケンシロウ説
以前の記事で、「サミエル・ハンチントン」という世界的な国際政治学者が、「日本は世界八大文明の一つで、他の文明圏にはない独特の点がある」と言っているのを紹介した。
世界のすべての主要な文明には、二カ国ないしそれ以上の国々が含まれている。日本がユニークなのは、日本国と日本文明が合致しているからである(文明の衝突 サミエル・ハンチントン)
なんで日本は、国自体が一つの文明だと考えられているのか?
この理由については、この本の中にはっきりとは書いていない。
けれど、日本が国を大きく発展させていったときにあらわれた「特徴(強み)」なら分かる。
今回の記事では、それを紹介したい。
題して、「日本=ケンシロウ説」。
・ケンシロウの強さの秘密
ケンシロウの強さの秘密には、「自分より強い者たちと戦ってきたから」というものがある。
これは「北斗の拳」のなかでも、最強ともいわれる「カイオウ」を倒すことができた理由でもある。
ケンシロウとカイオウとの違いは、ケンシロウには「自分より強い者たちと戦ってきた」という経験があったこと。
カイオウもそれを認め、自分は自分より強い人間と戦ったことはなく「井の中の蛙」だったと言っている。
自分より強い人間と戦うことで、自分も強くなる。
これは、ケンシロウの「学習能力」の高さを示している。
そのケンシロウの高い学習能力があらわれているのが、北斗神拳の奥義「水影心(すいえいしん)」。
一度戦った相手の拳を己の分身とし、自在に使うことができるという北斗神拳の奥義
要するに北斗神拳の奥義「水影心」とは、相手の技を自分のものとして使うという恐るべき「学習能力」のこと。
カイオウに勝った理由といいこの北斗神拳の奥義「水影心」といい、共通しているのは、ケンシロウのたぐいまれな学習能力の高さ。
これが、ケンシロウの強さの理由であることは間違いない。
中国のケンタッキー
・日本の強さの秘密
日本の強さの理由も、このケンシロウの強さの理由と同じで「相手の良さを身につけて、自分のものにする恐るべき学習能力」にある。
日本が大きく発展したのは、奈良・平安時代に中国に学んだときと幕末・明治時代にヨーロッパに学んだとき。
7~8世紀のころの中国(唐)は世界的な大帝国で、人口の多さはもちろん社会の発達段階や政治制度にしても、当時の日本のはるか先を進んでいた。
日本からしたら、「自分より強い者」であることは間違いない。
19世紀末のドイツやイギリス、フランスなどのヨーロッパ列強も、まさに「世界の中心」で軍事力では日本より強大だった。
これも、日本にとっては「自分より強い者」だったはず。
日本の場合はケンシロウとは違って、そうした強国と戦うのではなくて「追いつけ追い越せ」で必死に学んでその良さを自分のものにしていた。
ただその場合、まず「相手は自分より強いし、優れている」と自分と相手の力の差を正しく認めないといけない。
中国には、これができなかった。
19世紀になって、植民地支配を進めるヨーロッパの列強が現われたのは中国も日本も同じ。
けれど中国の場合、「中国はNO1」と考えていて外国から学ぼうという発想はなかった。
中国には、「中華思想」という考えがあったから。
中華思想
儒教的な王道政治を理想を実現した漢民族を誇り、中国が世界の中心であり、その文化・思想が最も価値のあるものであはると自負する考え方(大辞泉)
19世紀の中国人は、中国こそが世界の中心であり最高の文明をもった国だと考えていた。
「自分が最高」と思っていれば、他から学ぼうという気は起こらない。
ちなみに、この「中華思想」という言葉は日本人がつくったらしいけどね。
日本には、この中華思想がなかった。
日本は、相手が日本より優れていると気がつけばその国を「師(先生)」と認めて、積極的に学ぼうとした。
その結果、日本は唐には追いつかなかったけど、ヨーロッパには追いついている。
第一次世界大戦の後には、「英仏独伊」といった国々と一緒に国際連盟の常任理事国になった。
奈良・平安時代と幕末・明治時代の日本の発展は、「自分より優れた相手から、学び取る力」が大きな理由になる。
北斗神拳の奥義「水影心」のような、相手の良いところを自分のものにするという日本の学習能力が存分に発揮されていた。
こうしたことを考えると、「日本の強さとは、ケンシロウの強さと同じだ!」ということに気づいて、「日本=ケンシロウ説」を唱えてみた。
次回、具体的にその内容について書いていきます。
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