はじめの一言
「日本の文化が世界のあらゆる民族に寄与したところのものに対して、多少なりとも心を動かされる人は、親しく伊勢に詣でねばならない。そこにはこの文化のあらゆる特質が一つに結晶しており、それゆえ国民的聖地より以上の何ものかが見出さるのである。(ブルーノ・タウト 昭和)」
「ニッポン 講談社学術文庫」
今回の内容
・「近ごろ、世界にはやるもの」
・世界最大規模の日本文化イベント「ジャパンエキスポ」
・「近ごろ、世界にはやるもの」
海外旅行を始めてはや20年。
外国で見かけることがずい分に減ったものに、日本の電機メーカーの広告がある。
20年前はタイの空港に降りると、パナソニックやソニーといった日本の電機メーカーの広告がすぐ目に飛びこんできた。
海外でも高い評価を受けている日本の高い技術力を誇らしく思いながら空港の入国審査に向かったものだった。
けれどそんなことは、もう遠い昔のことになった。
かつての日本の広告は、サムソンやLGといった韓国の電機メーカーに変ってしまっている。
日韓の電機メーカーの勢いが違うから仕方がない。
でも、まさかシャープが外国企業の傘下に入る日が来るとは思ってもみなかった。
ボクが初めて買ったパソコンは、メビウスだったのに。
でも、これとは対照的に、外国でよく見かけるようになったものもある。
*ちなみに、この章のタイトル「近ごろ、世界にはやるもの」は、二条河原の落書「此頃都ニハヤル物」のパクリね。
「日本で一番有名な落書き」といわれているもの。
鎌倉幕府滅亡後に後醍醐天皇により開始された建武の新政が開始されてから程なく、建武元年(1334年)8月に建武政権の政庁である二条富小路近くの二条河原(鴨川流域のうち、現在の京都市中京区二条大橋付近)に掲げられたとされる落書(政治や社会などを批判した文)で、写本として現代にも伝わる。
専門家の間でも最高傑作と評価される落書の一つである。
(ウィキペディア)
これはタイのバンコクで行われていた、日本のイベント。
ここ20年で、海外でよく見かけるようになったのが日本の文化。
特に、日本のアニメは大人気だ。
バングラデシュのホテルのテレビをつけたら、ドラえもんがヒンドィー語を話していた。
お菓子やジュースのデザインに、日本のアニメキャラが使われているのもよく見る。
イエメンのスナック菓子
友人のインド人が出張で日本に行くときには、子どもからこう言われた。
「え?パパ、日本に行くの?私も、ドラえもんの国に行きたい!」
とはいえ、宗教的な理由で日本のアニメが「不可!」という国もある。
イスラーム教の国のなかには、ピカチュウの進化やポケモンカードが「イスラーム教の教えに反する」と、ポケモンが禁止されているところがある。
中国のケンタッキー
・世界最大規模の日本文化イベント「ジャパンエキスポ」
日本文化の高い人気を背景に、フランスでは日本の文化を紹介するイベント「ジャパンエキスポ」が毎年開かれている。
これは、日本の文化イベントとして世界最大規模のもの。
主催者のホームページには、このような紹介がある。
Japan Expoとは?
Japan Expo には、日本と日本文化に恋する人たちが一同に集結します。マンガ、武道、ビデオゲーム、民芸、J-POPから伝統音楽までをカバーし、日本文化に関心を寄せる人にとっては見逃せない祭典、それがJapan Expoです。パリ市内から30分でニッポンを丸ごと満喫できます!
Japan Expo
世界最大規模の日本文化イベントが、フランスで行われるというのがいい。
フランスは、日本文化が世界に「デビュー」したところだから。
日本のことが世界に広く知られるようになったのは、何といっても1867年に開かれたパリ万博に参加したときだろう。
江戸時代の日本は、このときヨーロッパに衝撃を与えている。
日本は1867年のパリ万国博に初参加し、葛飾北斎の浮世絵などを出品。フランスでジャポニズムが起こる
(日本史用語集 山川出版)
このジャポニズムのはるか延長に、今の「クールジャパン」がある。
バンコク(タイ)のBTS(スカイトレイン)
ということで、フランスは日本文化を紹介する国として本当にふさわしい。
そして、この「ジャパンエキスポ」は本当に充実した内容で、ヨーロッパで大人気らしい。
日本人のボクでもぜひ行ってみたい。
もし自分が外国人に、日本の文化を伝えるとしたら、日本の何を紹介したらいいか?
このジャパンエキスポの内容を見れば、その答えが分かるはず。
これは外国人を対象としたイベントだから、その内容も外国人が興味ありそうな日本文化ばかり。
このイベントの内容を、「Japan Expo」のホームページから拾っていく。
・日本の音楽
J-ROCK 、 R&B、 J-POP、ハードロック、パンク、エレクトロ… さらにアニメやビデオゲームの音楽もカバー。
最新の日本の音楽だけではなくて、「三味線、琴、三線」といった日本の伝統音楽の演奏も行われる。
・アトリエ/ワークショップ/ゲーム
デッサン、模型製作、コスプレ衣装の制作から、生け花、折り紙、書道など、来場者はワークショップに参加することによって、「学び」と「発見」の喜びを味わえます。
外国人は、お茶や座禅といった体験ものが好き。
・伝統文化
Japan Expoは、日本の様々な側面を幅広く発信することを目指していますので、伝統的な文化の発信にも重きをおいています。日本の根源でもある古来から伝わる芸術に触れる機会を来場者に提供しています。
伝統音楽、伝承芸能、演劇、さらに生け花、茶道、書道、日本画、伝承遊び、料理のパフォーマンス、日本文化にまつわる講演などが催されるのは、多くの非営利団体のご参加、ご協力の賜物です。
・格闘技/スポーツ
忍術、剣道、柔道、合気道、空て、少林寺拳法、弓道などのデモンストレーションを観戦したり、イニシエーションに参加できます。選択肢が多すぎて迷ってしまうかも!
この他にも、日本の最新のビデオゲームを楽しむコーナーがある。
日本の最新のポップカルチャーが分かるように、ファッションショーやヨーロッパ最大のコスプレイベントも開かれている。
日本文化が一度で分かりそうな盛りだくさんの内容だ。
このイベントには日本政府も協力している。
日本政府のクールジャパン戦略に資するコンテンツのプロモーション活動費の半分を、映像産業振興機構ジャパン・コンテンツ海外展開事務局(J-LOP)を通じて経済産業省が補助している
(ウィキペディア)
世界に日本の文化が広まることは、日本人としてうれしい。
でも、こういう問題がなかったらもっとうれしかったのに。
日本国旗を掲げて韓国ショップが韓国グッズ販売 / パリで開催のジャパンエキスポで異常事態発生
日本の文化を紹介するイベントに、なんで韓国グッズの販売が?
このことは次回に書きたい。
今回の復習
・「此頃都ニハヤル物」で始まる、「日本でもっとも有名な落書き」と呼ばれるものはなに?
・1867年、日本が初めて参加した万博はなに?
・そのときに主にフランスで生まれた日本ブームをなんという?
答え
・二条河原の落書
・パリ万博
・ジャポニズム
おまけ
2016年10月に、フランスのパリで初となる「ジブリ・ショップ」がオープンして、大きな人気を集めたという。
同店によると『となりのトトロ』の人気はフランスでとても高く、今回も訪れる客の多くもトトロ関連のものを買い求めていくという。トトロ以外では『千と千尋』グッズが売れているそうだ。
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