中国の”クリスマス禁止令”。中国共産党が宗教を嫌う理由とは?

 

「中国でクリスマスが禁止された!」ということが、話題になっている。

きっかけは、時事通信のこの記事(2017/12/22)だ。

「クリスマス禁止」の指示は大学などでも出ているという。共産党は党員が宗教を信仰することを認めていない。特にキリスト教は西側の価値観を代表するものとして警戒を強めている。

クリスマス行事禁止の動き=「文化侵略」めぐり論争―中国

でも「クリスマス禁止令」は、すべての中国人を対象にしているわけではない。
中国共産党の党員や公務員などに対して、クリスマス行事には参加させない動きが広がっている。

理由は記事にあるように、クリスマスを祝うことは西洋による「文化侵略」であるから、それに対抗するためだ。

 

中国の「クリスマス禁止令」には、日本のネット上で共感が広がっている。

・やっぱクリスマスは中止だよな
・クリスマスなんて大嫌いさ
・お前ら「そうだ中国行こう」
・クリスマス中止のお知らせがリアルになるとは。さすが中国wwww
・日本もそろそろクリスマス祝うのやめて4月8日の仏陀祝おうぜ
・お前らの望む社会が中国にあったとはな
・クリぼっちに配慮したんだな。 いいことだ
・日本も見習うべきやろ
・キリスト教国家じゃないのにクリスマスやバレンタインだのを祝うのはおかしいわ

 

「共産党は党員が宗教を信仰することを認めていない」とあったように、共産主義の考え方に宗教は合わない。
というか、人民が信じるのは共産党だけでよく、宗教は必要ない。

共産主義を唱えたカール・マルクスは、「宗教はアヘンである」と言って批判した。

日本共産党の機関紙「赤旗」にはこう書いてある。

アヘンという言葉には、宗教に対するマルクスの批判もこめられています。宗教は民衆にあきらめとなぐさめを説き、現実の不幸を改革するために立ち上がるのを妨げている、という意味です。

マルクスが言った「宗教はアヘン」とは?

でも、中国共産党が宗教を認めない理由を中国人のガイドや留学生に聞いたところ、「共産主義の考え方に合わないから」ということだけではなかった。

 

 

今の中国共産党にとって、もっともコワいことはクーデターや革命が起きて、共産党が倒されてしまうこと。
中国の歴史を見ると、宗教で結ばれた人たちが王朝を倒してしまうことがよくある。

例えば14世紀、元は紅巾の乱によって倒されている。
紅巾の乱は、白蓮教という宗教の信徒が中心になって組織されていた。
それで、「白蓮教徒の乱」ともよばれる。

三国志の時代には、黄巾の乱という農民反乱が起きた。
これは、「太平道(たいへいどう)」という宗教団体によるものだ。

19世紀の「太平天国の乱」は、キリスト教の信仰によって結びついた団体によって起こされている。

たいへい‐てんごく【太平天国】

キリスト教思想のもとに、清朝打倒・土地私有反対・経済的平等をうたった

「デジタル大辞泉の解説」

こうした中国の歴史から、今の中国共産党は宗教を危険視するようになった。

日本の歴史でいえば、島原の乱が起きたことで、江戸幕府がキリスト教を徹底的に禁止したことに通じる。

だから、中国共産党が宗教を嫌う理由は、「共産主義の考え方に合わないから」ということだけではなくて、中国の歴史から生まれた伝統的な考え方でもあるという。

 

おまけ

中国で「クリスマス禁止」の動きが広がっているけれど、アメリカでは「メリークリスマス」を禁止する動きが広がっている。

最近のアメリカでは、「メリー・クリスマス」と言わずに「ハッピー・ホリデーズ」と言うことが増えている。

「メリークリスマス」はキリスト教の言葉だから、イスラム教徒やユダヤ教徒には関係がない。
いろいろな宗教の人たちが住んでいるアメリカでは、それぞれの宗教を尊重しないといけない。
そうなると、「メリークリスマス」をテレビやラジオといった公の場で使うことはマズイらしい。

 

そのことをニューヨークにいるアメリカ人にメールで聞いてみた。
するとこんな返事が来る。

Its strict for businesses.
But it is considerate to say happy holidays if you think they might not celebrate christmas. Here we have Christmas, Hanukkah, Kwanzaa, and Ramadan.

(意訳)

仕事の場面では厳しい。
でも、クリスマスを祝わない人もいるかもしれないから、「ハッピーホリデーズ」と言った方が思いやりがある。
ここには、クリスマス、ハヌカ、クワンザにラマダンがあるのだから。

 

このメールを読んだだけで、「宗教や人種がごちゃ混ぜ」というアメリカの多文化社会が見えてくる。

ここにで出てくるHanukkahハヌカとはユダヤ教の祭りのこと。

Ramadanラマダーンはイスラーム教徒にとって神聖な月で、ラマダーンが終わると盛大な祭りがおこなわれる。
ちなみに、イスラーム教徒はラマダーン期間中に断食をするけど、「ラマダーン=断食」というわけではない。

ラマダーンの期間中は、رمضان كريم(Ramadan Kareem、ラマダーン・カリーム。「恵み多い月ラマダーンおめでとう」)という挨拶が使われる。

(ウィキペディア)

Kwanzaa(クワンザ)とは、アメリカの黒人(アフリカ系アメリカ人)の祭りのことらしい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。