ボクはまだ、直接会ったことはないのだけど、「ペッパー」というヒト型ロボットがある(いる)。
いろいろなお店や銀行で、販売や接客なんかをしているらしい。
画像はウィキペディアから。
そんな日本製ロボット・ペッパーのことで、残念なニュースが入ってきた。
イギリスのある店がペッパーを販売員として購入した。
でも、店で働き始めて、たった1週間でそのペッパーは仕事を失う。
理由は勤務態度。
そのペッパーは無断欠勤をくり返し、店の物を盗んで・・・ということではなくて、販売員としてダメダメだったから。
「スプートニク日本」にその記事(2018年01月23日)がある。
同店で使われたペッパー例えば「牛乳はどこで売っていますか」との問いに「乳製品売り場です」と答えるなど、顧客の要求の核心を捉えることができず、何の助けにもならない場面が続いていた。
ペッパーはポンコツすぎて、クビになってしまったらしい。
まさか1週間で戦力外通告を受けるとは。
これにはネット住民も苦笑い。
・高度な煽りテク
・塩対応
・うちのオヤジみたいで好感がもてる。
・使える使えない以前になんか怖いんだよこいつ
・これAIでもなんでもないだろ
・客「おめえだれだよ」
ペッパー「おまえこそだれだよ」
・なんだただのゆとりじゃないか
使えないわね。
ペッパーは去年、韓国に上陸している。
百貨店・スーパー・銀行・病院などで、試験的に導入されることになった。
今のところはまだ、無職にはなっていないらしい。
くわしいことは中央日報の記事(2017年09月29日)を読んでください。
人の表情などから感情を読み取りながら話して行動できるのが代表的な例だ。原理はクラウド方式の人工知能(AI)。従来のロボットのように内部にすべてのデータを保存するのではなく、外部のインターネットサーバーと通信しながらAIを通じて状況を判断する。
その結果、「牛乳はどこで売っていますか」という質問に「乳製品売り場です」と答えてクビになったんだけどね。
韓国はペッパーそのものより、サービスロボットの分野が日本より遅れていることを気にしている。
韓国はこれまで、すぐに結果が出ることを求めていたため、長期的な視野でこの分野を育ててこなかった。
それが日韓の差となってあらわれたという。
でもそれって、「韓国がノーベル賞を取れない理由」で韓国紙がよく指摘してることじゃん。
世界に通じる人型ロボットをつくるためには何が必要か?
費用・やる気・技術力なんてのは当たり前で、それ以外に「宗教」というハードルをクリアする必要がある。
例えば、ホンダがアシモを開発するときには、エンジニアをローマのヴァチカンに派遣して、聖職者に話を聞いている。
中央日報の記事(2018年01月22日)から。
法王庁教育担当大主教に人間型ロボットを開発しても大丈夫かと意見を求めた。大主教はシスティーナ礼拝堂にあるミケランジェロの天地創造の壁画を見せた。神がアダムに命を吹き込み判断力と想像力をともに与えたと話した。彼は有用な物を作る上で想像力を使うことはかまわないと答えた。
人型ロボットを開発するために、エンジニアがヴァチカンの大主教に話を聞きに行く。
これは、世界では常識的なこと。
世界の人たちに使ってもらう製品をつくるためには、宗教のタブーには絶対に触れてはいけない。
キリスト教やイスラーム教では、神が人をつくったことになっている。
だからホンダが人型ロボットを開発していたころ、「この行為がキリスト教のタブーに触れなていないか?」ということを心配していたという。
それでエンジニアをヴァチカンに派遣することにした。
そこでOKをもらったから、安心してロボット開発に打ちこむことができましたとさ。
キリスト教やイスラーム教の社会では、「神が人をつくった」という創造論がはるか昔からある。
創造論(そうぞうろん)とは、宇宙や生命などの起源を創世記に書かれた「創造主なる神」に求める考え方であり、「創造主なる神」によって天地万物の全てが創造されたとする様々な議論のことである。
「ウィキペディア」
でも日本では、この創造論という考え方が伝統的にない。
人は「つくられた」ではなくて、「生まれた」という天地開闢が日本の思想だから。
天地開闢
天地開闢(てんちかいびゃく)とは天地に代表される世界が初めて生まれたときのことを示す。
「ウィキペディア」
人型ロボットの開発でホンダが心配したのは、「これが創造論の考え方に矛盾しないかどうか?」ということ。
世界の人とつき合ったり世界を相手に何かをしたりするのなら、宗教の理解は欠かせませんね。
鎌倉時代に、北畠親房という人が「神皇正統記」という歴史書を書いた。
その中で、世界の始まり(天地の成り立ち)をこう書いている。
そもそも、天地がまだ分かれなかったとき、それは混沌として鶏卵のようにまるかった。うす暗くて、物のきざしはまだその中に含まれたままであった。
これは陰と陽の元素が未分化で、一つの気の状態にあったものである。その気がはじめて分かれて、清く明らかな部分はたなびいで天となり、重く濁った部分はつづいて地となった「神皇正統記 (慈円 北畠親房 日本の名著9 中央公論社)」
ここにも天地開闢の考え方があらわれている。
こうしてまず天と地ができて、その間の空間から神も人も天皇も生まれた、とされた。
日本の伝統思想に「創造神」という存在はない。
ちなみに、北畠親房は日本と外国(このときは中国とインド)の違いをこう指摘している。
わが国は天祖以来皇位の継承に乱れはなく皇統が一筋であって、この点は天竺とちがうところである。
125代目となる今の天皇も「皇統が一筋」で、これは鎌倉時代も平成もまったく変わらない。
日本や欧米で商売をするなら、天皇やキリスト教への理解が必要だ。
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