はじめの一言
秋の日本について
「山腹はどこでも、草木の葉が見事な色合いでもつれる。柿の木は大きな金色の実をぎっしりと付け、うなだれる。海と空はあくまでも青く、富士山の魅力ある姿が西の空を背に光り輝く。
(シドモア 明治時代)」
「日本絶賛語録 小学館」

今回の内容
・フランスとイギリスも仲悪し
・「カエル野郎!」「何だと、このローストビーフ!」
・「隣国」のアルゼンチンやスコットランドとの関係は?
・フランスとイギリスも仲悪し
前回、マレーシアとオーストラリアでの「日韓戦」について書いた。
「日本と韓国の関係はね~、あんまりうまくいってないんだよ」とボクがこぼすと、知人のイギリス人女性がこんなことを言う。
「まあ、イギリスとフランスも仲は悪いけどね」
それで話してくれたのは、「イギリス海峡」の呼び方が英仏で違うということ。
イギリス人は「イギリス海峡」と呼んでいるけど、フランス人は「フランス海峡」と呼んでいるという。ウィキペディアでみると、フランスでの呼び方は「ラ・マンシュ海峡」だ。
とにかく同じ海峡だけど、英仏ではそれぞれの呼び方がある。
また、イギリス人が「ドーバー海峡」と呼ぶところを、フランス人は「カレー海峡」と呼んでいる。
これは日本と韓国に似ている。
日本人が「日本海」と呼ぶ海を韓国人は「東海」と呼ぶ。
呼称をどちらかに合わせる、ということはない。
「隣り合う国だから、お互いを意識するのは仕方ないでしょ」
とイギリス人は言う。

エッフェル塔
・「カエル野郎!」「何だと、このローストビーフ!」
フランスに行くと英語が通じなくなるという話を、まえに何かの本で読んだことがある。
フランス人はイギリスを良く思っていないから、英語を話したがらないらしい。
イギリス人の女の子もフランスに行ったとき、「ここはフランスだから、英語ではなくてフランス語をつかえ!」という空気を肌で感じている。
でも、フランスの観光地ではそんな雰囲気がなかったという。
またイギリス人とフランス人は、何かあると互いにバカにすることがあるらしい。
イギリス人とフランス人はなにかといえば互いに揶揄しあうが、このウスター・ソースも格好のネタだ。無数のソースを誇るフランス人に言わせると、「イギリス人には百の宗教があるが一つのソースしかないということになる」
「食の世界地図 (文春新書)」
「食べ物がちがう」ということも、相手をバカにするネタになる。
フランスといえば、エスカルゴ(カタツムリ)やカエル料理で世界的に有名だ。
イギリス人は「カエルを食う奴ら」という軽蔑を込めて、フランス人を「フロッギー(カエル野郎)」とか「ジョニー・クラボー(クラボーはフランス語でカエル)」とよぶが、このように食文化の違いは、えてして直接的な嫌悪につながりやすい「常識の世界地図 (文春新書)」
イギリス人はフランス人を「カエル野郎!」と呼ぶ。
一方で、イギリス人から聞いた話では、フランス人はイギリス人を「ローストビーフ!」と呼ぶらしい。
どちらかと言えば、「このローストビーフ野郎!」の方がいい。

でも、「英仏は仲が悪い」といっても、実際は大したことはない。
他に友人が言っていたのは、「フランスはユーロビジョンで、絶対にイギリスを支持しない」ということ。
ユーロビジョン(ソング・コンテスト)とは、視聴者数が1億人~6億人という世界最大(か最大級)の歌の祭典だ。
大会では、各国代表のアーティストはそれぞれ生放送で自らの楽曲を披露し、引き続いてそれぞれの参加国が他国に投票して大会の優勝者を決定する。
このコンテストで、フランスはイギリス代表のアーティストに投票をしないという。
でも、このぐらいなら大したことはない。
英仏に、日本と韓国の慰安婦問題や日本海呼称問題のような重い問題があるとは思えない。
兄弟げんかのようなもんだ。
ところで、このユーロビジョンにはオーストラリアが参加しているらしい。
サッカーではアジア枠なのに。

「おい、カエル野郎!」
「なんだと、このローストビーフがっ!」
・「隣国」のアルゼンチンやスコットランドとの関係は?
イギリス人の知人がこんな質問をする。
「そういえば日本と韓国で、島をめぐって争っているんじゃないの?あれはかなり深刻な問題なんでしょ?」
竹島問題のことか。
「ユーロビジョン・コンテストで票を入れてくれない」ということに比べれば、たしかに重い問題だ。
外務省のHPにはこう書いてある。
竹島は,歴史的事実に照らしても,かつ国際法上も明らかに日本固有の領土です。
韓国による竹島の占拠は,国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠であり,韓国がこのような不法占拠に基づいて竹島に対して行ういかなる措置も法的な正当性を有するものではありません。
イギリス人に竹島問題について話すと、英仏にはこんな重大な領土問題はないという。

画像は外務省のHPから
イギリスの場合、関係が悪いのはフランスよりも、遠く離れた「隣国」のアルゼンチンだろう。
イギリスとアルゼンチンは、大西洋のフォークランド諸島(アルゼンチン名はマルビナス諸島)をめぐり、1982年に戦争(フォークランド紛争)を行い、多数の死傷者を出している。
まあ、アルゼンチンとイギリスの隣国というのも変な感じだが。

赤い丸に囲まれた部分がフォークランド諸島
1990年に戦闘は終わったが、現在でもアルゼンチンは領有権を主張している。
だから、アルゼンチンとの争いになると彼女の口は重くなる。
「ああ、あれね。そう、アルゼンチンとの関係はフランスよりずっと仲が悪い。シャレになってないかも」
日韓の関係は、英仏よりもイギリスとアルゼンチンの関係に近いと思う。

それと、イングランドの「隣国」といえばスコットランドがある。
イングランドとスコットランドの仲も悪い。
というか、スコットランド人がイングランドを嫌っている。
2014年には「スコットランドは、イギリスから出て行くべきか?」を問う国民投票がおこなわれた。
2014年9月18日(木曜日)に実施された、イギリスからのスコットランド独立の是非を問う住民投票である。
このときは「44.7%対55.3%」というわずかの差で、スコットランド独立は否決された。
でも、約5割のスコットランド人は、イギリスから独立したいと考えている。
「スコットランド人は自分のことを『イングリッシュ(イギリス人)』って言わないから」
とイギリス人の友人が言う。
イギリスの場合、日韓とはちがって、国内でこんな争いがある。
次回、日本と韓国の関係について、さらに書いていきます。

おまけ
2017年5月、イギリスでテロ事件が起きて、8歳の少女をふくむ22人が亡くなった。
そのすぐ後に、イギリス(イングランド)とフランスがサッカーの試合をおこなっている。
試合前、フランス人サポーターもイギリスの国歌を歌ったことが世界的な話題になった。
サッカーメディア「フットボールチャンネル」の記事(2017年6月14日)のから。
イングランドが国歌を歌う際にフランスのサポーターも混ざり、スタジアム全体でイングランド国歌「ゴッド・セイヴ・ザ・クィーン」を大合唱した。14日に英メディア『ESPN FC』が報じている。
国を超えた絆…仏ファンが異例の対応。試合前に起きた感動的なエピソードとは?
こんなことが日本と韓国で起こるだろうか?
最近(2018年6月)フランス人から聞いたな話では、いまのフランス人はイギリス人について特に悪く思っていない。
フランスでは現在、中東からの移民が大問題になっている。
フランス人の関心ごとは、イギリスよりもこっちだ。
こちらの記事もいかがですか?
イギリスの階級のせい? オーストラリア英語のなまり(発音)の理由
私とゆかしき世界の仲くらい悪いようですね。
↑
比喩か隠喩か暗喩か
はたまた嫌味か
深い意味のあるジョークか
逆説的に仲が良いということか
私にははかりかねる
これまた面白い
私にも意図がよくわかりません。笑。
いいことねーしなー
好きになる人の気が知れません。