はじめの一言
秋の日本について
「山腹はどこでも、草木の葉が見事な色合いでもつれる。柿の木は大きな金色の実をぎっしりと付け、うなだれる。海と空はあくまでも青く、富士山の魅力ある姿が西の空を背に光り輝く。
(シドモア 明治時代)」
「日本絶賛語録 小学館」
「近くて遠い国」と呼ばれるのが日本と韓国。
日韓は地理的にはとっても近いけど、「日本海」について韓国の人たちは「東海」と呼ぶなど、政治的にはよく対立してうまくいかない。
知人のイギリス人女性にそんな話をすると、「まぁ、イギリスとフランスもそこまでかはしらないけど、仲は悪いけどね」と言う。
その一例が英仏を隔てる「イギリス海峡」の呼び方。
イギリス人が「イギリス海峡」と呼んでいる海域を、フランス人は「ラ・マンシュ(海峡)」と呼んでいる。
「隣り合う国はいつも良い関係ばかりじゃないから、お互いを意識するのは仕方ないでしょ」とそのイギリス人は言う。
フランス人は英語が嫌いで、外国人に対しても「フランスではフランス語を話すべき」と考えているーー。
そんなステレオタイプについてイギリス人に尋ねると、彼女もフランスに行ったときもそんな空気を感じたが、観光地ではそんな雰囲気は無く、フランス人もふつうに英語を使っていたという。
彼女はそんな経験から、フランス人は下手な英語を使うとバカにされると思うから話さないし、得意な人は抵抗なく話すのではないかと考えていた。
英仏の人たちはふだんは相手を意識していなくても、プライドが刺激されるようなことがあると対立し、そんなときは食文化を使って“攻撃”するらしい。
イギリス人とフランス人はなにかといえば互いに揶揄しあうが、このウスター・ソースも格好のネタだ。無数のソースを誇るフランス人に言わせると、「イギリス人には百の宗教があるが一つのソースしかないということになる」
「食の世界地図 (文春新書) 21世紀研究会 」
フランスといえば、エスカルゴ(カタツムリ)やカエル料理で世界的に有名だ。
イギリス人は「カエルを食う奴ら」という軽蔑を込めて、フランス人を「フロッギー(カエル野郎)」とか「ジョニー・クラボー(クラボーはフランス語でカエル)」とよぶが、このように食文化の違いは、えてして直接的な嫌悪につながりやすい(同書)
一方、先ほどのイギリス人から聞いた話では、フランス人がイギリス人を馬鹿にするときは「ローストビーフ(野郎)!」と呼ぶ。
英仏の仲が悪い例として、彼女が指摘したことにはほかにも、「フランスはユーロビジョンでイギリスを支持しない」ということがある。
ユーロビジョン(ソング・コンテスト)とは、視聴者数が1億人~6億人という世界最大(か最大級)の歌の祭典だ。この大会では、各国代表のアーティストが歌を披露して、その後で参加国が自国以外の国に投票して優勝者を決定する。
このコンテストで、フランスがイギリスのアーティストに投票をしないことは有名らしい。
しかし、相手を「カエル(ローストビーフ)野郎!」と呼んだり、歌のコンテストで相手国に投票しなかったりすることぐらいなら、まぁ大したことはない。
話を聞いているかぎり、英仏の間には、日韓のような慰安婦問題や日本海呼称問題のようなシリアスな問題があって、両国政府がするどく対立する状況にはない。
そのイギリス人は日本に住んでいて、竹島(韓国名:独島)の領有権をめぐって日韓が激しく争っていることを知っている。
英仏にはこんな重大な領土問題はない。しかし、イギリスの場合、遠く離れた「隣国」のアルゼンチンとならそんな対立がある。だから、関係で言うなら、フランスよりもアルゼンチンとのほうが悪いと言う。
イギリスとアルゼンチンは大西洋のフォークランド諸島(アルゼンチン名はマルビナス諸島)の領有権をめぐり、1982年に戦争(フォークランド紛争)をして多数の死傷者を出している。
アルゼンチンとイギリスは遠く離れているけれど、大西洋をはさんだ「隣国」ではある。
戦闘は1990年に終わったが、現在でもアルゼンチンは領有権を主張している。だから、知人が言うには、アルゼンチンとの関係はフランスよりずっと悪く、とくにその話題が出るとシャレにならない。
日韓の関係はイギリス・フランスよりも、イギリス・アルゼンチンの関係に近いのでは?
さらに、英国の「隣国」とにはスコットランドがあり、英国とスコットランドの仲もたいがい悪い。というか、スコットランド人が英国を嫌っている。
2014年にスコットランドで、イギリスから独立するべきかを問う国民投票がおこなわれた。(スコットランド独立住民投票)
このとき、44.7%対55.3%というわずかの差で、スコットランド独立は否決された。しかし、スコットランド人の約5割は、イギリスから独立したいと考えていることが判明した。
だから、スコットランド人に「あなたはイングリッシュ(英国人)ですか?」と聞くと、きっと不機嫌な顔をする。
おまけ
2017年5月、イギリスでテロ事件が発生し、8歳の少女をふくむ22人が亡くなった。
そのすぐ後、イングランドとフランスがサッカーの試合を行った際、試合前にフランス人サポーターがイギリス国歌「ゴッド・セイヴ・ザ・クィーン」を大合唱して、世界的な注目を集めた。
ふだんは仲が悪くても大きな不幸があれば団結できるのは、根底で結び合っている証拠。
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私とゆかしき世界の仲くらい悪いようですね。
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比喩か隠喩か暗喩か
はたまた嫌味か
深い意味のあるジョークか
逆説的に仲が良いということか
私にははかりかねる
これまた面白い
私にも意図がよくわかりません。笑。
いいことねーしなー
好きになる人の気が知れません。