今日はバレンタインデー。
ということで、今回はそれにちなんだ話をしようと思う。
世界有数のバレンタインデー大国・日本と、ド反対のパキスタンという国について。
まずは、バレンタインデーの由来について。
「バレンタイン」というのは、人の名前。
3世紀のローマに、バレンタインというキリスト教の聖職者がいた。
その時代、ローマの皇帝は「結婚したら男は弱くなる!」と考えて、 兵士が結婚することを禁止してしまった。
でも、バレンタイン司祭はこれに反対する。
皇帝の命令に逆らって、たくさんの兵士を結婚させていた。
当然、皇帝は激怒。
皇帝の怒りに触れたバレンタイン司祭は処刑されてしまった。
この日が西暦270年2月14日で、この日が今のバレンタインデーになったという。
日本では弥生時代の話。
バレンタインデーの由来にはいろんな説がある。
これはその1つ。
ちなみに、「愛の告白」は14世紀ごろからおこなわれるようになったらしい。
「女性が男性にチョコやお菓子をあげる」というバレンタインデーは日本のやり方で、欧米にそんな習慣はない。
この「日本式バレンタインデー」は、1970年代によく行われるようになったという。
「2月14日は、好きな人にチョコをわたそう」というお菓子会社のキャンペーンが成功して、そのまま日本社会に定着した。
これほどの成功例はなかなかない。
だいたいの場合、ブームはブームで終わって、3年後にはだれも覚えていないから。
世間が盛り上がれば、それに背を向ける人も出てくる。
時には、敵意を向ける人もいる。
バレンタインデーに反対する革命的非モテ同盟が「バレンタインデー粉砕デモ2018 in 渋谷」をおこなった。
AFPが記事(2017年2月13日)でこれを報じている。
革非同のメンバーらは「バレンタインデー粉砕!」の横断幕を掲げ、「街中でイチャつくのはテロ行為」などのシュプレヒコールを叫びながら渋谷を練り歩いた。
この記事を見て驚いた。
記事の内容ではなくて、フランスAFP通信がこんなどーでもいいことを世界に発信していることに。
AFPといえば、AP通信、ロイターに次ぐ世界第3位の規模を持つ世界的な通信社だ。
「バレンタインデー粉砕!」
「リア充は爆発しろ!」
「街中でイチャつくのはテロ行為。テロとの戦いを貫徹するぞ!」
約20人がこんなことを叫びながら、渋谷を40分ほど歩く。
これを見た人からは、「うるさい」「かわいそう」「意味が分からない」という声が上がった。
この日、AFPが配信した記事の中で、これが一番くだらない記事だったはず。
でも、こんな小さなことまで伝えるというのは、「日本は意外と世界から注目されている」ということかもしれない。
「革命的非モテ同盟」は日本では例外的な人たちだけど、パキスタンの考え方はこれに近い。
パキスタンってこんな国。
・面積:79.6万平方キロメートル(日本の約2倍)
・人口:1億9,540万人
・首都:イスラマバード
・民族:パンジャブ人,シンド人,パシュトゥーン人,バローチ人
・言語:ウルドゥー語(国語),英語(公用語)
・識字率:60%(10歳以上を対象)
・宗教:イスラム教(国教)
この数字は外務省ホームページのパキスタン・イスラム共和国(Islamic Republic of Pakistan)基礎データから。
イスラーム教が国教(国の宗教)になっている。
これがパキスタンという国の大きな特徴だ。
日本は政教分離の国だから、国教なんてものはない。
これは日本でいえば、憲法がイスラーム法(シャリーア)になっているようなもの。
日本の最高法規は日本国憲法で、これを超えるものはない。
パキスタンの場合、それがイスラーム法になっている。
パキスタンでは、イスラーム教の教えがとても厳しく守られている。
英語が公用語になっているのは、昔ここがイギリスの植民地だったから。
1947年に独立した。
パキスタン共和国独立
イスラーム教徒を中心に、イギリス連邦内の自治領としてインドと分離・独立した。首都はイスラマバード。独立時は、東部(1971年に分離・独立した現バングラデシュ)と西部の2地域にわかれていた。
「世界史用語集 (山川出版)」
今のバングラデシュは以前、パキスタンの一部だった。
そんなイスラムチックなパキスタンで、「バレンタインを禁止する」という判決が裁判所でくだされた。
アメリカCNNのニュース(2017.02.14)から。
パキスタンの首都イスラマバードの裁判所は13日、全土でバレンタインを祝うことを禁止する命令を言い渡した。禁止令は即日発効する。
「バレンタインデー粉砕デモ2018 in 渋谷」はネタだけど、パキスタンはガチだ。
これからパキスタンでこんなことが禁止される。
・バレンタインデーの宣伝をしてはいけない。
・バレンタインデーに関係する商品を売ってはいけない。
・公共の場でバレンタインを祝ってはいけない。
「バレンタインはキリスト教の行事で、欧米の伝統だ。イスラーム教の教えに反する」ということで、市民が裁判所にバレンタインを禁止するよう訴えた。
この感覚からして日本とは異世界。
裁判所がこれを認めたのだから、さすがイスラーム教を国教とするパキスタンだ。
この裁判所がこの訴えを認めたことで、パキスタンで”バレンタイン禁止”が成立してしまった。
「パキスタン全土で禁止する」「禁止令は即日発効する」って、まるでクーデターが勃発したみたい。
でもネットでは、この決定を支持する人がけっこう多い。
・おまえら早くパキスタン行きのチケット獲れ!
・パキスタンでもやってたことにビックリだわ
・日本もパキスタンを見習おう。
・おれ、明日からパキスタン人になるよ
・日本も禁止しろ
・日本で余った恵方巻きを売りさばけ
中にはこんなコメントもあった。
・全部の国が仏教とキリスト教のイベントをごちゃ混ぜにやってる日本みたいな節操のない国になればいい
日本で「バレンタインが全土で即日禁止」なんてことはあり得ない。
でも、パキスタンのことはパキスタン人が決めればいい。
とりあえず「革命的非モテ同盟」のメンバーは、国籍の変更を検討したほうがいい。
おまけ
大阪の通天閣ではバレンタイン企画として、キスをしたら入場料が半額になる「キス割」がおこなわれている。
2009年からスタートして今回で9回目を迎える恒例行事の通天閣バレンタインイベント「チュー天閣2017」”キス割“を今年も開催いたします
必ず口と口でキスをしなければいけない。
ホッペやオデコはダメ。
パキスタンだったら、きっと暴動が起きる。
イスラーム教の国イエメン
アラビックな雰囲気をどうぞ。
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