なんだかんだ言って、日本と中国は持ちつ持たれつ。
たがいに協力したり支え合ったりして、いまがある。
古代、日本は中国(唐)から学んで国を発展させた。
近代、中国は明治日本から学んで国を変えようとした。
不幸な過去や反日はあったけど、これからは仲良くしていきましょう。
今回はそんな記事です。
去年、ベトナムを訪問した安倍首相は、現地で習近平国家主席と会談をおこなった。
このとき習主席は、日中関係について、とても積極的な発言をしている。
「最近,日中間で相互に前向きな動きが増えている」
「こうした良い流れを捉え,より多くの決意と努力により,引き続き共に前進していきたい」
この言葉に安倍首相は、「日中新時代」で答える。
「日中の相互理解を深め,新たな時代の日中関係の基礎を作りたい」
ことし5月に習主席が訪日したときも、安倍首相と会談を行った。
ここでも両首脳は、友好と協力を確認し合う。
このとき安倍首相は、日中は競争するよりも協調するほうが、お互いのメリットの方が大きいと述べて、「日中は今日、この日をもって協調の時代に入った」と言う。
くわしいことは産経新聞の記事(2018.5.10)をどうぞ。
これからの日本と中国は、両首脳のこの言葉に沿って動き出すはず。
もちろん、すべての日中問題が解決することはないし、いろんな摩擦は起こるけど。
でも、全体としては、日中は友好と協調の方向に進むと思う。
それに、いまの中国は以前の中国ではない。
現在の中国にも反日感情はあるけれど、反日暴動があった2012年の中国とは明らかにちがう。
新しい中国とは、新しい関係を築いくべきだ。
「新しい中国」と書いたのは、去年こんなことがあったから。
2017年の12月に、中国で「南京事件80周年追悼式典」がおこなわれた。
この式典に出席した習主席は、一度も日本批判をしなかった。
中国人にとって南京事件は、一番許せない日本軍による蛮行だ。
だから、その場で習主席が日本を強烈に非難してもおかしくない。
むしろそれが当然。
でも、習主席は沈黙を守り続けた。
これによって日中のマスコミは、習主席の日中関係改善にかける思いは「本気」と受けとめたという。
レコードチャイナの記事(2017年12月16日)
式典の様子を日本メディアは「出席した習近平国家主席が演説しないことが分かると、会場を訪れた国内外の記者らからざわめきが起こった」と報道。「関係改善のメッセージだ。政協主席が講話を発表したことが物語っている」と解説する当局者もいたという。
何も言わないことで、伝えている。
習主席が日本との友好を尊重する意志を持っているのだから、日本もこの声に応えたほうがいい。
日中友好を考えたとき、「この人を抜いちゃダメでしょっ」という中国人がいる。
黄遵憲(こう じゅんけん:1848年 – 1905年)という、清朝末期の詩人であり外交官でもあった人。
明治の日本にやって来て、自分の目で人や社会を見ることで、黄遵憲は「日本には中国が学ぶべきものがある」と思うにいたる。
それで彼は日本を理解しようとつとめ、中国に「本当の日本の姿」を伝えた。
そんな中国人は黄さんが初めて。
多くの日本人の知己を得ており、文化交流を促進している。単なる知日家ではなく、日中友好を近代最初に唱えた人でもある。
いまの中国は以前のような反日路線をとっていない。
黄遵憲のように日本に学んで、それを中国の発展にいかそうとしている。
日本にとっても、これから日本が豊かになるためには、中国との協力は欠かせない。
中国を無視できるほど、いまの日本に力はないのだから。
新しい中国とは、新しい関係を築いていくべき。
安倍首相が言ったように、中国と競争するより協調するほうが、日本のメリットは大きい。
なんだかんだ言って、日本と中国は持ちつ持たれつなんだから。
おまけ
黄遵憲は康有為(こうゆうい)や梁啓超(りょうけいちょう)にも影響をあたえた。
この2人は高校世界史で習う重要人物だから、知っておいて損はない。
日清戦争で清が敗北し、康有為は大きな衝撃を受け、清の政治体制や社会を変えようとした(戊戌の変法)。
しかし、西太后らにその動きをつぶされ(戊戌の政変)、命をねらわれた康有為は日本に亡命する。
梁啓超は康有為の弟子で、康有為と一緒に日本へ逃げてきた。
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