訪日外国人は「お通し」をどう思う?ぼったくりか日本の文化か

 

最近、日本を旅行した韓国人がインターネットの掲示板にこんな不満を書きこんだ。

「日本の居酒屋に来たんだけど、これってぼったくりなのかな」

この「ぼったくり」とは、「お通し」のこと。

この韓国人は日本の居酒屋で、注文していない物を出され、500円を取られてしまった。
これに納得がいかない。

韓国でもお通しのような料理が出されることがある。
でも、ふつうこれらは無料。
ボクも韓国に行ったとき、食堂でいろいろなおつまみが無料で出て来たときはビックリした。
でもこれには、「使い回しでは?」という疑問があることはたしか。
食べるかどうかは自己責任で。

 

おっと、話がそれた。

とにかく「日本のお通しは、ぼったくりか?」ということについて、こんなコメントが寄せられている。

「日本はもともとそうだよ。お通し価格だね」
「この世にタダなどないのは分かるが、注文してないのにサラっと出しておいてお金をもらうなんて…」
「それが日本の文化。僕らの基準で評価できる問題じゃない」
「ポルトガルもパンみたいなものが出てくるけど、食べたら支払いが必要」

くわしいことはレコードチャイナの記事(2017年10月15日)をどうぞ。

まさか日本でぼったくり?韓国人が居酒屋で困惑

さて、日本人としてお通しをどう思いますか?

 

上の記事に対して、日本のネットではこんな反応があった。

・郷に入れば郷に従えって事
・お通しを疑問に思うのは当たり前
・廃止すべきだよな
・サイゼ最強説
・客を不愉快にさせて何がおもてなしだろうか

・歌舞伎町の居酒屋でバイトしてたけど、外国人来たら(日本人でもお通しキャンセルしようとする客に対しては)「お通しにはテーブルチャージ代が含まれます」とちゃんと説明するように、社員に言われてた。
・俺はお通しは楽しみだけど、いらない人のためにお通しの可否と有料であることは、出す前に客に告げた方がいいと思うわ

 

お通しについては、日本でも「問題アリ」と感じている人は多い。

ためしに「グッドキーワード」で検索したら、こんな画面が出てきた。

 

 

「お通し」には、「いらない」「拒否」「トラブル」といった否定的な言葉がついている。

お通しについては、たくさんの日本人も不満を持っているようだ。
ニューズウィーク誌(2017年03月10日)によると、約95%の日本人がお通しを否定的に見ている。

「お通しは出して欲しい?」という質問に対し、「無料なら出して欲しい」が77%、「無料でもいらない」が17.3%と、実に94.3%が否定的な回答となった。

居酒屋のお通し(=強制的な前菜)には納得できない!?

圧倒的多くの日本人がお通しに抵抗を感じている。
そんなものが「日本の文化」であるはずがない。

 

実際、客にとっては「なくては困る」という物でもない。
店にとって必要なだけ。
これは日本文化ではなくて、「もらう側の論理」でしかない。

こうした空気が社会に広がっているから、最近では、お通しをカットできる居酒屋も増えている。

 

 

日本の「お通し」のシステムは独特で外国人には分かりにくい。

それで前からこれは問題になっていた。

ニューズウィーク誌(2017年03月10日)にはこう書いてある。

システムを理解していない外国人にしてみれば、「頼んでもいない料理になぜ料金を支払わねばならないのか!?」と、不満や憤りを覚えるのも当然だろう。英語のネット掲示板では「お通し」は「Compulsory Appetizers」、つまり「強制的な前菜」と翻訳され、たびたび非難の的となっている。

居酒屋のお通し(=強制的な前菜)には納得できない!?

欧米人だけではなくて、タイ人やインド人などいろいろな外国人に聞いても、お通しの評判は良くない。
話を聞くとこんな意見が多かった。

「『頼んでもいない料理を出して、料金を請求する』というやり方はおかしい。でも、それが日本の居酒屋のシステムだから仕方がない。それがイヤなら行かなかったらいい」

「先にちゃんと説明してくれたら良かった」と言う外国人も多い。

「Compulsory(強制的)」で、客である自分に選択権がないことに抵抗を感じるようだ。

 

インドやエジプトを旅行したときに、レストランで注文していない物を出されて、後からその料金を請求されたことがあった。
でも、このときは支払いを拒否する。

 

インドでオランダ人とご飯を食べに行ったときのこと。

食事が終わってレシートを見たら、「テーブルチャージ」や「税金」と称していろいろな金額を請求されていた。

オランダ人は、「メニューを持ってきてくれ」とインド人の店員に言う。
メニューを見て、「こんなことは、どこにも書いてないじゃないか。私たちは事前に知らされていなかった。だからこれを払う理由はない」と言って、支払いを拒否した。

これにインド人が怒る。
「おまえたちは払わないといけない。これがインドのルールなんだ!」

オランダ人も負けない。
「断る。君たちのやり方はおかしい」

結局、ボクとオランダ人は食べた分だけ払って店を出た。
ホテルへ戻る途中、オランダ人は「事前に説明があったら払ってたよ」と言う。

お通し自体はいい。
大切なことは、「事前にしっかり伝える」ことと「お通しを出すかどうかは、店ではなくて客に決めさせる」ということだろう。

店の説明不足を「これが日本の文化です」では通じない。

 

 

これは外国でもっとも有名なガイドブック「ロンリープラネット」。
京都では、これを持っている外国人を何人も見かけた。

 

 

このガイドブックの中には、「居酒屋」の説明もある。

・赤い提灯や「居酒屋」という漢字があったら、そこが居酒屋だ。
・店に入ったら、テーブル席か座席かを選ぶ。
・焼き鳥や刺身の伝統的な日本料理から西洋料理まで、いろいろな食べ物がある。
・料金はどれだけ飲むかにもよるけど、2500から5000円ぐらい。「fairly inexpensive(けっこう安い)」らしい。

「お通し」の説明があるかと思ったらなかった。
この説明も入れてほしかった。

 

 

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2 件のコメント

  • お通しのことは日本人でも、納得していない人達が殆どであれば、廃止すべきではないでしょうか?

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。