はじめの一言
「かつて他のどんな国民も日本人ほど、封建的専横的な政府の下で幸福に生活し繁栄したところはないだろう(オールコック 江戸時代)」
「逝きし日の面影 平凡社」
今回の内容
・東南アジアの「ゆる~い」イスラーム教
・仏像に手を合わせるイスラーム教徒
前回は、イスラーム教の教えが超厳しく守られているサウジアラビアについて書いた。
今回は、そのサウジアラビアと比べると同じイスラーム教でも「ゆる~く」見えてしまう、東南アジアのイスラーム教について書いていきたい。
・東南アジアの「ゆる~い」イスラーム教
東南アジアのインドネシアやマレーシアにも、イスラーム教徒が多く住んでいる。
これらの国では、サウジアラビアほどはイスラーム教の戒律が厳しく守られていない(ように見えてしまう)。
そのことが一番わかるのは、マレーシアに来たサウジアラビア人だろう。
マレーシアを旅していたとき、サウジアラビア人の留学生に会ったことがある。
彼女は大学生で、マレーシアの大学で数学を学んでいた。
彼女がマレーシアに来て一番驚いたのは、「女性が車を運転していること!」だったという。
サウジアラビアでは女性が車を運転することは禁止されていた(2018年からOK)。
もちろんイスラーム教の教えに反するからという理由で。
サウジアラビアからマレーシアに来ると、そこら中でお酒は売っているし女性はジーンズをはいているし、何でも自由に感じるらしい。
確かに、中東と東南アジアのイスラーム教徒では恰好がちがう。
サウジアラビアの下にあるイエメンに行ったときは、女性は目だけしか出していなかった。
けど、マレーシアやインドネシアのイスラーム教徒の女性は、髪を隠しているだけ。髪も隠していない人もいた。
そんな東南アジアでは今、サウジアラビアで禁止された「ポケモンGO」がはやっているらしい。
「マレーシアナビ」によると、マレーシアではこんな感じ。
マレーシアでもコメディアンのハリト・イスカンダル氏、テレビタレントのアズニル・ナワウィ氏などの著名人も「ポケモンGO」を楽しんでいることを公表している。
ただ、イスラーム教に対して厳しい考え方をしている人からは反発がある。
マレーシア各地のイスラム保守派・団体は、イスラム道徳に反するといった理由から「ポケモンGO」を禁止すべきとの声明を次々と発表。
友人にインドネシア人のイスラーム教徒がいる。
彼にきいても、インドネシアではポケモンは偶像崇拝には当たらないから問題はないという。
「要は、崇拝さえしなかったら仏像でもアニメでもいいですよ」ということらしい。
サウジアラビアとはずい分違う。
・仏像に手を合わせるイスラーム教徒
以前、シリアやイエメンといったイスラーム教の教えが厳しく守られている国に旅をしたことがある。
そこでいろいろものを見たり話を聞いたりしたことがあったから、そうした国と比べると、インドネシアはイスラーム教の影響が薄いなあと感じてしまう。
インドネシアだけではなくて東南アジアのイスラーム教は、はっきり言って「ゆるい」と思う。
それでも、先ほど書いたインドネシア人の友人と京都に行って驚いたことがある。
彼と一緒に清水寺に行ったときのこと。
「偶像崇拝が厳禁されているイスラーム教徒が、仏像を見たらどう思んだろう?」
そんな興味があったから、そのことをぜひ彼に聞いてみたいと思っていた。
彼は毎週日曜日にイスラーム教の勉強会に行っていて、他のインドネシア人のイスラーム教徒よりも信仰が深い。
そんな彼と一緒に本堂に行くと、なんと彼は仏像に向かって手を合わせていた。
それを見てびっくりして、「イスラーム教徒が、仏像に手を合わせていいの?」と聞くと、こう言う。
「大丈夫です。日本の文化を尊重しているだけですから。手を合わせましたけど、祈っていません。だから、イスラーム教の教えに反していませんよ」
もちろんイスラーム教では、偶像崇拝は禁止されている。
でも、こういう解釈をすれば仏像に手を合わせことも「異文化を尊重する行為」であって「崇拝」にはならないらしい。
だから、イスラーム教の教えには反していないとなる。
前回書いたけど、サウジアラビアでは雪だるまをつくることもイスラーム教の教えに反しているから禁止しているという。
同じイスラーム教といっても、サウジアラビアとは大違いだ。
やっぱり、東南アジアのイスラーム教は「ゆるい」と感じてしまうなあ。
次回は、同じイスラーム教徒でもこうした大きな違いが生まれた理由について書きます。
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