はじめの一言
「彼らの勤勉には限りがないし、安息日もなく、仕事がない時に休日をとるだけだ。彼らの鋤による農作業はその地方を一個の美しく整えられた庭園に変え、そこでは一本の雑草も見つからない。(イザベラ・バード 明治時代)」
「逝きし日の面影 平凡社」
今回の内容
・首長族が首を長くしたい理由とは?
・文化と文明
・首長族が首を長くしたい理由とは?
日本でこの首長族(パダワン族)の写真を見たとき、すぐに感じた疑問がこれ。
なんでこの人達は首を長くしようと思ったんだろう?
これにはいくつか説があって、どれが正しいのかは分かっていない。
カヤンが首を長く見せる理由には以下の通り口頭伝承が諸説あるが、どの説も信憑性を欠いており、現代の認識ともズレがある。真実は未解明
(ウィキペディア)
まずは、首長族である本人に聞いてみた。
それが上の写真の人。
彼女に話を聞いたガイドがこう説明する。
「彼女は首輪をつけている理由は、『それが美しく見えるから』と言っています。でももともとは、虎に襲われたとき身を守るためにこの習慣が生まれたとも言っています」
首長族の女性が首輪をつけるようになったのは、「虎から身を守るため」ということらしい。
これはウィキペディアにものっている。
虎伝説1(防具説)…ある日、精霊の怒りに触れたカヤンの村に虎が送り込まれた。虎が女性ばかり喉を噛み千切ったため、女性の喉に保護する輪をはめた。
虎伝説2(儀礼説)…ある日、カヤンの村に虎の群れが襲いかかり、多くの村人が食べられてしまった。
シャーマンは女性に首輪をはめた儀礼を行い、精霊に静まるようお願いした。(ウィキペディア)
首長族の彼女は、「虎から身を守るため」である証拠として、真鍮(しんちゅう)製の輪は首だけではなくて手首や足首にもつけていると話していた。
虎に襲われた場合、手で身を守ろうとする。
そうすると手首を虎に噛まれることになるから、手首にも輪をつける必要があったという。
それは昔の話で、今の彼女たちが生活する範囲に虎はいない。
だから今では、ただ美しく見せるために首輪をつけている。
ウィキペディアには、「虎から身を守るため」という説の他に2つの説をのせている。
抗争説…かつてのカヤンは多くの金を所有していたが、そのことにより諍いが生じ、内部抗争が起こった。金を首にはめることで争いを終結し、以後二度と争いを起こさないという戒めのために着用し続けている。
敗戦説…かつてカヤンは質実剛健な部族であった。しかしある日ビルマ族に破れ、土地を追われた。新しい土地を見つけて定住を決めた時、共に敗走した齢わずか9歳の王女が、黄金に光るバングラデシュ産の“パドゥン樹”を首に巻きつけながら皆の前で、「この屈辱を忘れてはならない」と強く演説を行った。
以後、いつの日にかカヤン族の権威と失地回復を果たすべく、女性は9歳になるとこの王女を見習ってパドゥン樹を模した金色の“真鍮”を首に纏うようになったという。
・文化と文明
首輪をつけることによって首を長く見せるというのは、間違いなくパダワン族の文化になる。
文化
人間の生活様式の全体。人類がみずからの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体。それぞれの民族・地域・社会に固有の文化があり、学習によって伝習されるとともに、相互の交流によって発展してきた。
(デジタル大辞泉の解説)
首輪をつけるというのは、ミャンマーの少数民族でもパダワン族に見られる生活様式だからこれは彼らの文化になる。
ボートを運転してくれたミャンマー人はインダー族で、ガイドはシャン族の人だった。
パダワン族とはちがう民族だから、彼らはこの首輪をしていない。
*タイにもミャンマーから行った首長族がいるけど、細かいところは無視してほしい。
文化というのがある民族や集団に特有のものであることに対して、文明とは民族や宗教をこえて広がるものをいう。
「文明」は人間の知恵が進み、技術が進歩して、生活が便利に快適になる面に重点がある。
(デジタル大辞泉の解説)
自動車、鉄道、パソコンなどは「文化」ではなくて「文明」になる。
これらは、日本や欧米、中東、アフリカなど世界中にあって、「技術が進歩して、生活が便利に快適になる面に重点がある」でしょ?
首輪は生活を便利にすることはないし、パダワン族からインダー族やビルマ族に広がることもない。
だからこれは「文化」になる。
この考えにしたがえば、着物は文化であって文明ではない。
日本人に固有の衣服で、「日本の文化」として世界に広まっている。
パソコンや自動車のように、その国に住む人たちの生活が便利で快適になるから広がっているわけではない。
ただ、文化や文明という言葉にはいろいろな意味がある。
ここで紹介したのはそのなかのひとつだけ。
文化や文明という言葉は複雑で広い意味があるから、これ以上は各自調べてみてちょうだい。
次回は、首輪をつけるというパダワン族の文化を他の人たちはどう見ているのか?について書いていきます。
おまけ
ミャンマーへ旅行に行くなら、カックー遺跡がおススメですよ。
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