韓国の歴史劇は「ファクション」と呼ばれることがある。
「なにその大魔王的な?」と思った人は、韓流ドラマにくわしい康熙奉さんの説明を読んでみよう。
最近の韓国時代劇は『ファクション』とよく呼ばれます。『ファクト(事実)』と『フィクション(創作)』の融合というわけです。
「朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか(康熙奉)」
事実だけでも空想だけでもない。
そのコラボレーションがファクションになる。
例えば「チャングムの誓い」だ。
歴史資料に記されたチャングムはほんの少ししかない。
でも、わずかな事実に膨大な想像を加えて、54話という長編ドラマをつくってしまった。
そもそも歴史上のチャングムは料理人ではないのに。
それで康熙奉さんは「やはり韓国時代劇は創作力に満ちている」と書く。
もちろんこれは視聴率のため。
視聴率が取れる(=もうかる)という利益が出るのなら、手段は正当化されるのが韓国のお約束なのだ。
それでも、「チャングムの服が透けて、英語の文字の入ったTシャツが見えた」とか「ガスバーナーがあった」というのはデタラメ過ぎるけど。
日本の時代劇では、歴史の正確さが求められる。
もちろん役者の言葉は完全にその時代のものでないし、時代劇が100%事実を描いているわけではない。
でも日本は正確性重視だ。
韓国とは比較にならないほど厳しい時代考証がされている。
視聴率も大事だけど、歴史に忠実であることも欠かせない。
このへんは良い/悪いではなくて、国民性のちがいだろう。
でも、国民受けをねらうファクションは、時代劇だけにしてほしかった。
こんな考え方を日韓の歴史問題に持ちこむから、ますます複雑で解決困難になってしまう。
慰安婦問題や徴用工問題での韓国側の主張には、「事実+想像のファクション」が多い。
だから、感情<事実の日本とぶつかることになる。
これからそのことを見ていこう。
韓国の場合、歴史にもファクションをして、実際に以上に「盛って」しまうところがある。
例えば、慰安婦を韓国では「性奴隷」と呼んでいる。
歴史上、慰安婦という女性はいたけど、慰安婦は慰安婦だ。それ以上ではない。
「日本軍の性奴隷だった」という説には根拠がないから、事実とは言えない。
これは事実に想像の合わせ技、ファクションだ。
でも海外では、これを歴史の真実と信じている人は多い。
以前、知り合いのアメリカ人がメールでこんなことを書いて寄こした。
「Koreans wouldn’t have forced their own women to be sex slaves if they didnt have to.」
「sex slave(性奴隷)」だって。
このアメリカ人は本気でそう信じていた。
「なるほど。で、その根拠はなに?」とメールを返したけど、この人は性奴隷の根拠を示すことはできなかった。
そりゃそうだ。
YouTubeで「comfort women」の動画を開いてコメント欄を見てほしい。
「日本は20万人の朝鮮人女性を強制連行した」
「中学生ほどの少女を誘拐して性奴隷にした」
こんなふうに、ファクションをファクトと誤解している外国人がたくさんいる。
ボクが「その根拠は?」とメッセージを送ると、「ググレカス」みたいなことを言われるからムカつく。
残念ながら、フェイクニュースは広がる一方だ。
サンフランシスコが市の公共物に指定した慰安婦の碑には、「性的に奴隷化された数十万の女性と少女の苦しみ」と刻まれている。
何も知らない外国人がそれを見たら、そのまま事実と信じてしまうだろう。
事実に想像を加えた韓国側の主張を、外国人が真実と思い込んでしまうから、国際世論は韓国寄りになる。
だから、日韓の歴史問題はますます解決から遠のいていく。
たしかに朝鮮人の慰安婦はいた。
でも、そこからここまで話を広めるのだから、「やはり創作力に満ちている」と思うしかない。
韓国料理も見た目が「盛っている」ような。
でも、そんな風潮を心配する韓国人もいる。
中央日報のこの記事(2018年11月02日)を読んでほしい。
韓国名門大学の講師「慰安婦おばあさん、被害を誇張」…論争に
これは別の記事で書くつもりだけど、延世大学という一流大学の講師が、元慰安婦について被害を誇張していると発言した。
具体的には「証言のたびに連れて行かれた年齢と状況が変わる」なんてことを言ったらしい。
「国民感情」という名の絶対皇帝が支配する国で、そんなことを言ったらどうなるのだろう?
慰安婦を性奴隷と呼んだり少女の姿で像をつくったりするのも、そのほうが”効果的”だから。
見る人の同情を誘って注目を浴びやすい。
ハッキリ言えば、ファクションと同じで国民受けをねらっているのだ。
でも先ほど書いたように、日本は厳しい時代考証をする。
事実を重視する日本政府は「少女像」という誤解されやすい呼び方はしないで、「慰安婦像」と呼んでいる。
ドラマならともかく、日韓の歴史問題なら、お互いが事実を大事にしなきゃ。
韓国のこうした主張は慰安婦問題だけじゃない。
ここにきて徴用工問題も「new」で加わった。
これは韓国最大の全国紙・朝鮮日報の紙面。
「強制徴用」の文字がズラリと並んでいる。
でも、これが間違いだと分かった。
韓国の最高裁判所に日本企業を訴えた原告を、韓国メディアは「強制徴用被害者」と呼んでいたのだけど、日本が調べた結果、これが事実ではないと判明する。
それで安倍首相は国会でこう否定した。
「当時の国家総動員法下の国民徴用令において、『募集』、『官斡旋』、そして『徴用』であったが、今回の原告4名は、いずれも『募集』に応じた人たち」
この裁判のすべての原告は強制でも徴用でもない。
日本企業の募集に応じて、朝鮮半島から来た労働者だったのだ。
さらに首相は「『旧朝鮮半島出身労働者』ということで、わたしたちはこの事案を捉えている」と、「徴用工」という表現も正しくないと指摘している。
慰安婦問題で、少女像を慰安婦像に訂正したのと同じだ。
でも、いままでずっと「強制徴用」と報道してきた韓国側がこれを認めるわけない。
走り出した反日バスを人力で止めることは難しい。
韓国メディアは「無理がある」、国民は「安倍首相は一体いくつのうそをつくつもり?」と反発しているとか。
ということで、日本対韓国、ファクト vs ファクションの歴史戦は、これからも続いていくのでした。
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