10月30日、韓国の最高裁判所が韓国政府に強烈な一撃をあたえた。
1965年の日韓請求権協定をひっくり返して最高裁は元徴用の請求権を認め、日本企業(新日本住鉄)に元徴用工1人につき約1000万円の支払いを命じる。
そうか、なるほど。でも待ってほしい。
国内法より国際法のほうが上ってのは、国際社会の常識だ。
53年前の国家の約束を、今の価値観から「なし」にすることができるはずない。
日本が大反発するのは当然で、しなかったら、税金を納める気も失せるわ。
安倍首相は「国際法に照らしてあり得ない判断」と非難して、河野外相は「日韓関係を揺るがす大事件となってしまった」と韓国政府に解決を求めた。
これは韓国の国内問題なのだから、韓国政府が責任を持って対応してくれないと困る。
とはいえ最高裁の判決を支持すれば、韓国政府は日本との関係を失ってしまう。
でも判決を否定すれば、国民の支持を失ってしまう。
どっちもほしい韓国政府はいま、「ハムレット状態」におちいっている。
こんな感じで日本では非難一色だったのだけど、韓国ではどうだったのか?
これから、韓国の市民とマスコミの反応を見ていこう。
まずは韓国市民の反応から。
韓国のマスコミや政府が、国民の意見を無視することはできない。
TBSニュース(10/30)がソウル市民の声を伝えている。
“徴用工訴訟”で韓国最高裁判決、ソウル市民の反応は
一般市民は日本との関係について、直接悩まなくていい。
本音で好きなことを言うことができる。
「植民地時代に強制労働させられた」と主張する韓国人元徴用工に、感情移入する人がほとんどのようだ。
そういう人は当然、最高裁の判決を支持している。
上のニュースで、ソウル市民は「当然な判決だと思います」、「強制労働させて、戦場では先頭に立たせた人々に賠償するのは当然だよ」と、楽観的というか楽韓的だ。
何よりも国民感情が優先されている。
まあ韓国人らしい。
でも、「悪影響が及ばないように、隣国同士が円満に解決してほしいと思います」と日韓関係の悪化を不安視する声もある。
でもそれは、絶滅危惧種に指定していいぐらいの貴重なものだと思う。
さて、韓国のマスコミはどうか?
一言で韓国のマスコミといっても、考え方や立場はそれぞれ違う。
最高裁の判決を支持する国民感情重視の新聞(=日本との関係は軽視)や、判決にはやや否定的で日韓関係を大事に考える新聞がある。
ハンギョレ新聞は意外にも韓国の最高裁を責めていた。
といっても、日本企業に有罪判決を出したことではなくて、判決が遅すぎたことを。
判決を遅らせた関係者は「故人の霊の前に土下座して謝罪しても足りないだろう」と厳しい。
「あまりに遅かった13年目の強制徴用判決(2018-10-31)」の記事のなかで、最高裁の判決を全面的に支持している。
日帝の植民支配と強制動員自体を不法に見る韓国の憲法の価値体系に照らしてみれば当然の判決だ。
国際法を否定した判決を当然とする。
でもこれは韓国の国民感情に合っているから、問題視されないのだろう。
日本政府が国際司法裁判所への提訴を検討していることについては、「日本もまた民主政権なら自重するのが当然だ」と余裕の上から目線。
じゃ、日韓関係はどうするのか?
「政府の賢明な対処が必要な局面だ」と韓国政府に丸投げで、具体策は何も書いていない。
ハンギョレ新聞はどこまでも、国民感情(反日感情)を優先しているのでした。
これは判決が出る前の記事(2018-10-25)だけど、このときからハンギョレ新聞は被害者感情をアピールしていた。
強制徴用者個人の痛みと傷を無視して作った韓日関係の基礎には、大きな亀裂が生じる可能性がある。しかし、個人に犠牲を強要して、国家間の関係のみを強調した関係自体が、どうして正しいことだったと言えようか。
「強制動員と韓日関係」
日本はその痛みを無視していない。
だからそれを認めて、53年前に協定を結んで5億ドルという巨額の経済支援を行ったのだ。
でも韓国政府はそのお金を国の経済発展に使って、徴用工個人には渡さなかった。
「強制徴用者個人の痛みと傷を無視」し「個人に犠牲を強要」したのは韓国政府だ。
だから、賠償金を払うのは韓国政府が筋。
東亜日報も売り上げ重視だった。
反日をあおって、国民感情に迎合する記事を載せている。
くり返しになるけど、日本政府はこの判決が正しいかどうかを、国際社会の場でハッキリしようと考えている。
でも韓国が恐れているのはまさにそれ。
だから日本が国際司法裁判所に提訴することについて、東亜日報は「強硬対応」と非難して、ハンギョレ新聞と同じく日本に自重を求める。
このような対応は過去の過ちに対する反省と謝罪はなく右傾化に進む「危険な普通の国」に対する周辺国の憂慮だけを生むことを自覚しなければならない。
「大法院、不法植民支配下の「強制徴用賠償請求権」を再確認(2018-10-31)」
自重に反省・謝罪・右傾化を加えて日本を説教するという先生ポジション。
こういう態度を「強硬」という。
韓国においては、国民感情こそ至高。
日本も国際法もその下にある。
韓国はそれほど国際司法裁判所を怖がっている。
自分たちの判決に自信がないことの表れだ。
では、東亜日報は日本との関係をどう見ているのか?
関係悪化は避けるべきとして、「葛藤を管理して日本と過去の和解を引き出す韓国政府の外交力が重要な時だ」と、またしても具体策はナッシング。
そんなことを言っても、日本政府は韓国と和解する気はないのに。
でも、どんなに劣勢に立っても、日本を教えさとすという道徳的優位は捨てない。
そのブレない姿勢は韓国らしい。
「生きるべきか死ぬべきか」
そう悩んでいたハムレットは、結局は命を落としてしまった。
韓国が日韓関係を”死亡”させてしまうかどうかは、韓国政府にかかっている。
では次回、日本との関係を重視する韓国のマスコミの反応を書いていきますよ。
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