七つの大罪&仏教の三毒「嫉妬心」。SNS時代こそ要注意。

 

「七つの大罪」を知ってますか?

メリオダスさま~」というアニメじゃなくて元祖のほう。
七つの大罪とはキリスト教(おもにカトリック教会)の言葉で、一般的にはこの七つを指す。

高慢(pride)
貪欲(greed)
嫉妬(envy)
怒り(wrath)
色欲(lust)
貪食(gluttony)
怠惰(acedia sloth)

この7つの心が罪というより、こういう負の心は人間に罪を犯しやすくするという意味だ。
高慢、貪欲、怒り、嫉妬は人を狂わせる。
それでカトリック教会は「七つの罪源」と呼んでいる。

くわしいことはここを開いてプリーズ。

七つの大罪

 

キリスト教に七つの大罪があれば、仏教には「三毒」がある。

仏教では、人間の悪や苦しみはこの三毒から生まれると考えられている。

貧(とん)は「貪欲(どんよく)」の貧で、必要以上にものを欲する心。
瞋(しん)は怒りや憎しみ。
癡/痴(ち)は無知(真理を知らない)。

貧と瞋は七つの大罪にもある。

今回ここで取り上げたいのは「嫉妬」の心。
嫉妬は七つの大罪のひとつで、三毒の瞋(しん)に含まれる。
ねたみが憎悪や怒りに変わるのは分かるはず。
洋の東西を問わず、人間はむかしから嫉妬というや毒を持っているのだ。

 

 

前回の記事で、最近のイギリスでは「貧しい人」への配慮が重視されていることを書いた。

高価なコートや文房具を学校に持って来ることを禁止したり、先生が子どもに「週末は何をしたの?」と聞かないようにしたりする動きがある。
くわしいことはこれをどうぞ。

日本・米国・英国での「少数・弱者」への配慮。3つの具体例

 

生徒の間で不平等を感じさせないための配慮だけど、これにも嫉妬が大きく関わっている。
まわりが自分よりいい物を持っていれば、単純に幸せな気分にはなれない。

でも、こんな今のイギリスをこの人はどう思っているのだろう?

 

この人はイギリス初の女性首相(在任: 1979年 – 1990年)、マーガレット・サッチャーさん。
保守的で力強い言動から、「鉄の女(Iron Lady)」と言われた。

サッチャー氏はこんな言葉を残している。

「私はコンセンサスというものは、さほど重要なものであるとは思いません。あれは時間の浪費の原因のようなものですから」

全員や大多数のコンセンサス(同意)を得るには時間や手間がかかる。
日本の場合は「根回し」になるのだろうけど、これは大変で疲れる。
それを「時間のムダ」と切り捨てるのはさすが鉄の女。

サッチャー氏は他にもこんなことを言った。

「金持ちを貧乏にしても、貧乏人が金持ちにはなりません」

まったくそのとおり。
有名人や金持ちを引きずり降ろしても、自分がその地位につくことはない。
嫉妬心から相手を攻撃しても、「勝利」をつかむことはできない。

でも、一瞬の「達成感」を得られることはできる。
成功者をねたんでその足を引っ張ることは、むかしからどこの国でもある。
だから、七つの大罪や三毒なんて言葉が生まれたのだろう。

 

 

21世紀のいまは「嫉妬の時代」だ。

日本経済新聞にこんな記事(2017/1/30)がある。

SNS投稿に「嫉妬」半数超 民間調査

日本で回収された結果を見ると、SNSでムカつくものは次の順であることが分かった。

ワースト1位:「他人が自分より良い人生を送っていることを知った(結婚、子供、旅行、休暇)」(54%)
2位:「迷惑な広告」(48%)
3位:「友達が楽しい休暇の写真を投稿した」(43%)
4位:「自分の投稿に「いいね!」があまり付かなかった」(42%)

迷惑広告より「幸せそうな他人」に不愉快を感じる日本人は多い。
そして約半数の人が「楽しそうな友達」を見るとイヤな気持ちになる。

でも、SNSへ投稿する内容は「自分が楽しいと感じたこと」が断トツでトップだ。
だからSNS時代のいまは、嫉妬を感じる機会がどうしても多くなる。

 

 

かといって、嫉妬をなくすのは普通の人には無理。
でも、その心自体は罪でも悪でもない。

嫉妬は罪の源なのだ。
その心から何かをすると、身を滅ぼしてしまう。
他人をうらやんでいいし、ねたんでもいい。人間だもの。
けど、その気持ちにとりつかれて何かを言ったりやったりすると、罪にも悪にもなる。

金持ちを貧乏にしても、貧乏人が金持ちにはなることはない。
幸せそうな他人が不幸になっても、自分には何も関係ない。
嫉妬心にもとづいて何かをすれば、一瞬スカッとするかもしれないけれど、きっとあとには何も残らない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。