【目には目を】徴用工訴訟で、日本が韓国資産を差し押さえ

「最悪の韓日関係が奈落に落ちている」

中央日報の社説（2018年11月30日）にそんな言葉があった。

徴用判決への対策、ためらう余裕ない＝韓国

「奈落（ならく）」というのは、古代インドの言葉サンスクリット語「naraka（ナラカ）」を漢字で表したもの。
仏教用語で意味は地獄。または地獄に落ちることをいう。
アニメ「犬夜叉」で知った人も多いと思う。

上の言葉は、いま日韓関係が最悪を更新している、地獄に落ちているという叫びだろう。

光が見えない。

韓国と日本が地獄に落ちていく。
韓国紙がそう警告しているのは、「裁判で勝った被害者が強制執行を通じて日本企業から物質的な補償を受ける場合」だ。

具体的に言えば、日本企業の資産を韓国の原告側が差し押さえてしまうこと。
最高裁で原告側勝訴の判決が出ているから、韓国でこれは可能だ。

そういえばシェイクスピアの劇で、「『これが最悪だ』と言えるうちは、まだ最悪ではない」なんてセリフがあったのを思い出した。
「うわ、最悪だ」と言っているうちはまだいい。
財産の差し押さえが始まったら、本当の地獄が始まる。

でも、敗訴した新日鉄住金や三菱重工業が、韓国にどれだけの資産を持っているのだろう。
報道によると、かなり少ないらしい。

それで原告側は、アメリカなどにある日本企業の資産差し押さえも考えている。
とはいえ、これもその国で裁判を起こさないといけないから、時間や手間はかかる。
しかも韓国以外の国で、原告側が勝訴を得られるかどうかも分からない。

そんなワケで日本企業の資産を差し押さえるといっても、原告側が得られる利益は少なかったりそれができなかったりする可能性が高い。
つまり、現実的にはとてもむずかしいのだ。

それで財産の差し押さえを、日本企業への「脅し」に使おうと考える原告側もいる。

朝日新聞の記事（2018年11月29日）から。

判決確定で原告は、韓国内や第三国で日本企業の財産の差し押さえを申し立てることが可能になり、弁護団はこれをカードとして企業側へ協議に応じるよう圧力を強める方針だ。

日本企業７０社にも賠償判決の流れ確実　元徴用工訴訟

「これから財産差し押さえの手続きに入るぞ。それがイヤなら、協議に応じろ」と日本企業に伝える。
それで日本企業が金を出したとしたら、こっちの方が楽で簡単だ。
まあ、いろいろ考えますわ。

でも、日本側はどうするんだろう？
新日鉄住金と三菱重工業はすでに敗訴している。
他の企業も、これからの裁判でまず間違いなく負ける。
韓国国内では、原告側が財産差し押さえにの手続きに入ってしまったら、日本に打つ手はない。
指をくわえて見ているしかないのだ。
理不尽なことこの上ないし悔しいけど、どうしようもない。

そんなとき出会ったのが、毎日新聞の記事（2018年11月30日）です。

韓国資産差し押さえも　日本が対抗措置検討

韓国側が日本企業の財産を差し押さえるというのなら、対抗措置として、日本政府も国内にある韓国企業の財産を差し押さえるという。

「目には目を歯には歯を」のハンムラビ法典だ。

相手国が国際法に違反する行為をした場合には、これが国連によって認められている。
もちろん複雑な条件があるのだろうけど。
韓国の原告側による財産差し押さえを「国際法違反」ということにすれば、こんな対抗措置がとれるらしい。

でもそれを実現させるためには、越えないといけないハードルは高いしその数も多い。
可能性はゼロではないけど、あまり現実的な方法ではない。
ということで、これは日本による韓国側への「脅し」らしい。

日本にある韓国政府の資産を差し押さえる法整備も必要なため、あくまで韓国による対応を基本路線としつつ韓国側を揺さぶる狙いだ。

韓国資産差し押さえも　日本が対抗措置検討

こんな対抗措置をチラつかせて、韓国政府の具体的な対応を引き出そうとする。
そういうねらいがあるようだ。
というのも韓国政府はまだ徴用工訴訟について、どんな立場をとるのかハッキリ示していない。
そうやって時間だけが過ぎるから、事態はどんどん悪化する。
「日本は歴史の真実を直視しろ」と言うのだから、韓国は現実から目を背けてはいけない。

このニュースにネットの反応は？

・どうせ検討だけで終わる
・検討で済ますなよ、やれ
・きたあああああああああああああ
・>>日本にある韓国政府の資産を差し押さえる法整備も必要なため
これは通常国会の最優先議案だな。
・まーた茶番か
・国内の韓国資産なんてないよｗ
・まだこのときは本当に日本が差し押さえるとは
誰も思っていなかったのである…
・出来るの？
・ヤルヤル詐欺

たとえヤルヤル詐欺でも、こんな対抗措置を検討していてそれを公にしただけでもいい。
一方的に言われるままでいたり「遺憾の意」を表明したりするよりは、ずっと具体的で強気だ。
いま日本が弱気になって韓国のペースにのまれたら、これからの日本人が迷惑する。

まあ、期待しないで見ていることにしよう。
シェイクスピアの劇に「期待はあらゆる苦悩のもと」なんて言葉もあるから。