いくらハロウィンだからといっても、何にでも仮装していいわけではない。
フランスでは、よりよって「テロリスト」に仮装した男性が警察に逮捕された。
あったり前だ。
フランス南部トゥールーズ(Toulouse)の警察は1日未明、ハロウィーンの祝いに参加してライフル銃のようなものをちらつかせ、
「アラーアクバル(アラビア語で神は偉大なりの意)」と叫んでいた26歳の男を逮捕した。
ハロウィンであれ何であれ、越えてはいけない「一線」というものがある。
先ほどのことについては、一線を越えたアホな男が捕まってそれで終わり。
フランス国内の問題ですむ。
でも、越えてはいけない一線を越えると、一国の問題ではすまなくなってしまうことがある。
それが、現在進行形で問題となっている「欅坂46のナチス問題」だ。
デーリー・ミラー紙の記事(2016/10/26)では、イギリス人の視点から ナチスと欅坂46の衣装を比較している。
この画像が分かりやすい。
Japanese girl band cause outrage by dressing in NAZI-style outfits
前に、マナーとタブーの違いについて記事を書いた。
マナー違反も良くないことだけど、相手に不快感や嫌悪感を与えてしまうぐらいですむ。
でも、タブーに触れてしまうと相手を激怒してさせてしまう。
そうなったら、相手も黙ってはいない。
当然、自分は批判や抗議を受けることになる。
その規模や影響力が大きければ、そのまま国際問題になってしまう。
「タブーに触れること」と「一線を越えること」は、同じこと。
今の20代の人は知らないだろうけど、1995年に「マルコポーロ事件」という出来事がおきた。
マルコポーロという雑誌が、チスによるホロコーストを否定する記事を載せたことがすべての始まり。
発端は、文藝春秋が発行していた雑誌『マルコポーロ』の1995年2月号に掲載された記事「戦後世界史最大のタブー。ナチ『ガス室』はなかった。」であった。
(ウィキペディア)
ホロコーストというのは、ナチス・ドイツがおこなった史上最大規模の虐殺のこと。
ホロコースト
600万人が殺されたと言われる、ナチス=ドイツによるユダヤ人虐殺のこと。この用語は「旧約聖書」に由来する。ユダヤ人絶滅を目指し、アウシュビッツなど各地の収容所で計画的に虐殺がおこなわれた
(世界史用語集 山川出版)
「ホロコースト(Holocaust)」という言葉は、ここに書いてあるように旧約聖書にある言葉からつくられた造語。
一般の「大虐殺(Genocide)」とは違う。
ここではこれ以上触れないけど、歴史に関心があったらこの違いについて考えてみて。
ナチスドイツによるホロコーストは歴史の事実で、これを否定することは表現の自由を越えている。
雑誌マルコポーロは、越えてはならない「一線」を踏み越えてしまったため、即座にいろいろな団体から抗議を受けた。
雑誌発売を受けて直ちに、アメリカ合衆国のユダヤ人団体とイスラエル大使館が、同誌を発行する文藝春秋社に抗議を開始した。
特にサイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)が内外の企業に対して、週刊文春をはじめとする文藝春秋社発行雑誌全体への広告出稿をボイコットするよう呼びかけた。
(ウィキペディア)
その結果、このマルコポーロという雑誌の廃刊が決まった。
そして、責任者は辞任や解任することとなった。
これが「マルコポーロ事件」。
外国人をお寺に案内すると、「卍」を見て「ナチスのかぎ十字じゃないか!」と驚く人がいる。
まったく違うっちゅうねん。
ネットを見ると、このマルコポーロ事件は「日本出版界最大のタブー」であったと紹介されている。
欧米でのナチスやホロコーストに対する見方は、ふつうの日本人が考えている以上に厳しい。
これを否定したら、「知らなかった」「表現の自由だ」では通用しない。
このマルコポーロ事件は、もう過去におきた出来事。
でも、ナチスやホロコーストのことを知らなかったら、同じような問題を繰り返すかもしれない。
前に、友人のイギリス人に「イギリスでは、修学旅行でどこに行くのか?」ということを聞いてみたことがある。
そのイギリス人の親戚の子は、バスでドイツまで行ったという。
アウシュビッツ強制収容所を見学するために。
ナチスのホロコーストは、ドイツだけの問題ではない。
ヨーロッパの問題でもなくて、人類の問題だ。
日本ではどうだろう?
ボクは中学校・高校の授業で、ほんの少しだけ習った記憶がある。
あれでは足りないなあ、と思う。
ホロコーストとはどんなものであったのかはもちろん、現在のアメリカ人やヨーロッパ人がナチスやホロコーストについてどう考えているのかも知っておく必要がある。
そうしたら、先ほどの「欅坂46のナチス問題」が、なんでここまで大きな国際問題になったのかが分かると思う。
「日本国内のこと」「ハロウィンの衣装だから」では通じない。
マルコポーロ事件では「SWC」というユダヤ人の団体が強い抗議をおこなった。
いま欅坂46に抗議しているのもじつは同じ団体だ。
同一団体からナチスに関する抗議を受けるという、すでに同じ歴史をくり返している。
マルコポーロ事件の場合は雑誌が廃刊になった。
日刊ゲンダイは、「 欅坂46が解散の危機!? 」と報じている。
日刊ゲンダイは、しょっちゅう「日本崩壊!?」と書いているから信頼性には欠けるけど。
欅坂46が今後どうなるかはボクには分からない。
でも、欅坂46が解散するとうのは、決してあり得ない話ではないと思う。
マルコポーロ事件のとき、雑誌が廃刊になるとは思ってもいなかったから。
でもまあ、ボクはアイドルには興味がないから関係ないけどね。
乃木坂46のコンサートよりも、203高地に行ってみたい。
それとは別で、友人のアメリカ人にこの「欅坂46ナチス事件」について聞いてみた。
そのことは次回に。
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