「国民政府を相手とせず」
中国にこう宣言したのは近衛文麿首相。
1938年、蒋介石率いる国民政府にたいして、近衛首相が交渉の打ち切りを発表する。
そのとき首相の口から上の言葉が飛び出した。
くわしいことはここをどうぞ。
韓国・文政権にたいしては、いまの日本政府もそんな気持ちだろう。
今月27日、日韓の防衛当局担当者が約2時間のテレビ会議をおこなった。
議題はもちろん韓国軍のよるレーダー照射問題。
「ウチの自衛隊機がおたくの駆逐艦に射撃用レーダーを照射された」と抗議する日本に対して、「いいえ、そんなことはしてません」と韓国はゆずらない。というか、責任を認めようとしない。
この会議で日本側は証拠となる映像を見せたのだけど、韓国側は主張を変えなかった。
日本と事実を相手に、「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」という韓国のかたくなな姿勢はきっと来年も変わらない。
そんな韓国に愛想をつかした日本政府は、映像を公開して、どちらが正しいか世界に判断してもらうことにした。
朝日新聞の記事(2018年12月28日)
日本政府は日本側の防衛能力を明かさない範囲で映像の公開に踏み切ることにした。政権幹部は28日、「国際社会に判断してもらう」と述べた。
レーダー照射の映像公開へ 乗組員の声など記録 防衛省
いまの日本が相手にしているのは世界だ。
で、肝心の国際社会の反応はどうだろうか?
日本と韓国のどっちを支持しているのだろう?
これからそれを見ていこうと思う。
まずはアメリカ軍の見方。
防衛省が映像を公開する前だけど、「zakzak」にこんな記事(2018.12.28 )があった。
レーダー照射で…米が韓国へ怒りの“警告” 米軍関係者「世界の軍関係者が『韓国が悪い。日本は悪くない』と理解している」
日韓のどちらが悪いかについてアメリカは公式には何も言えないけれど、内心は「韓国軍は何てひどいことをしたのか」「非常識だ」と受けとめている。
取材に応じた米軍関係者はこう話す。
火器管制用レーダーの照射は、戦争の引き金となりかねない危険な行為だ。訓練ならともかく、予告なしの照射はあり得ない。今回の件は、世界の軍関係者が『韓国が悪い。日本は悪くない』と理解している。日本はもっと怒るべきだ
韓国が嫌がっても映像を公開するとか、今回の日本の強い姿勢にはこういう見えない後押しがあったのだ。
「トランプ政権をも相手とせず」となったら、日本は世界の孤児になる。
ちなみに湾岸戦争のあと米英軍は、対空レーダーの照射などを受けるとこれを軍事行動と見なしてイラクに空爆をおこなっている。
「世界の常識」はとても厳しい。
これが今回公開された防衛省の証拠映像。
次に、これを見たイギリスの専門家の意見に耳をかたむけてみよう。
ロンドン大学の戦争研究学部講師パタラーノ博士はツイッターでこんな反応を見せた。
One thought on the side: having flown on a P-3C low altitude flyby, and having been at the receiving end of one, there is nothing threatening about this P-1 passage. Just nothing. Considering the circumstances that is.
— Alessio Patalano (@alessionaval) 2018年12月28日
韓国側は「自衛隊機が低空飛行をおこなった。危険行為をしたのは日本だ」と非難していたけれど、博士は「there is nothing threatening」とそれを否定する。
自衛隊機の飛行で韓国側の脅威となるものはなかったと明言。
「Just nothing」ともう一度言っている。
専門家から見て「Most problematic(最大の問題)」はこれ。
2. Approaches from P-1 were conducted with monitoring of VHF channels with ample opportunity for ROKN vessel to engage P-1 instead of fa FC antenna; 3. Most problematic, ROKN vessel failed to respond to requests of clairification concerning FC antenna use. This is just unusual.
— Alessio Patalano (@alessionaval) 2018年12月28日
日本側がレーダー照射の意図について問い合わせたけど、韓国側は返答しなかった。
この対応が「unusual(異常)」であるという。
専門家はこんな言い訳をどう思うのだろう?
中央日報の記事(2018年12月29日)
「日本乗組員の英語の発音が悪くて」…韓国が哨戒機映像に反論
この前は「電波が弱くて」と言っていたのに…。
付け加えると博士は、自衛隊機は駆逐艦との距離を適切に保っていたと指摘している。
くり返しになるけど、いま日本が相手にしているのは韓国ではなくて世界だ。
そのことは読売新聞の記事(12/28)からもわかる。
世界が見れば「自衛隊主張が本当とわかる映像」
この記事で香田洋二・元海上自衛隊自衛艦隊司令官が「世界の軍事専門家が見れば、自衛隊が本当のことを言っているとわかる映像だ」と太鼓判を押す。
公開された映像を見ると不自然なところはないし、韓国軍が射撃用レーダーを使う必然性がなかったこともわかる。
韓国軍は北朝鮮の漁船を捜索するためにレーダーを使用したと主張していたけど、漁船は駆逐艦の目の前にあるではないか。
韓国が映像公開に反対した理由がよくわかった。
最後に、防衛省が公開した映像に寄せられた世界の声を紹介しようと思う。
・Korea had better apologize to Japan.
韓国は日本に謝るべきだった。
・why rok navy had to lie?
なんで韓国海軍はウソをつかなければならなかったんだ?
・the Pandora’s box has been opened.
パンドラの箱は開かれた。
このへんの反応はこの記事をどうぞ。
動画で英会話 320 レーダー問題で日韓対立、外国人の反応は?
「国際社会に判断してもらう」という日本の賭けは、いまのところ成功しているようだ。
日本はが相手にしているのは、世界だというご指摘はもっともだと思います。
というか、ぶっちゃけ韓国の反応など大した問題ではない。
あの国が自らの非を認めたり、日本に対して謝罪することなどありえないというのは、日本にとってはとうの昔に織り込み済みの話ですからね。
問題は、日韓のトラブルを知った世界が、どちらに正当性があると判断するかということ。
これをジャパンディスカウントならぬコリアディスカウントで、韓国のやり口と同じだと批判する人もいるかもしれませんが、捏造や想像を元にバッシングする韓国と、事実と証拠を元にする日本では大きな違いがあると言えるでしょう。
これにより世界の多くの人が事実を知り、それに基づく判断をするようになればと思います。
「ぶっちゃけ韓国の反応など大した問題ではない」という国民は多いのですけど、それを気にして韓国に過剰な配慮をする人もいます。
防衛省は始め、映像公開には消極的でしたから。
コリアディスカウントとは違いますね。「韓国の評判をおとしめる」という目的が先にあるわけではありませんから。
日本は根拠を提示するだけ、判断は見た人にまかせる。というスタイルです。
ただ世界の人たちに判断してもらうために、こちらも動く必要はあります。
防衛省が公開したYouTube動画のコメント欄では、日本の主張が正しいと日本人が英語でアピールしています。
こういう地道なことが大事と思います。
では、太一郎さんも良い年末をお過ごし下さい。