はじめの一言
*日本人が少ない物で、質素な生活をしていることについて
「たしかに、これほど厳格であり、またこれほど一般に贅沢さが欠如していることは、すべての人びとにごくわずかな物で生活することを可能ならしめ、各人に行動の自主性を保障している(オールコック 幕末)」
「逝きし日の面影 平凡社」
*オールコックは、「初めて富士山に登った外国人」といわれる。
富士山への登山を行ったが(途中村山三坊に宿泊)、この登頂は記録の残る中では外国人として初めてのことであった
(ウィキペディア)
海外を旅すると、その街に長期滞在している旅行者に出会うことがある。
ベッドの下に自炊用の鍋があるときなどは、「この人は、どのくらいこの街にいるんだろう?」と疑問に思ってしまう。
前回は、そうした人に会って面倒なことになったという話をした。
今回は、ウソ話を広めていた長期滞在者について書いていく。
今回の内容
・わが子の手足を切断する親
・インドの人間だるま
・わが子の手足を切断する親
インドを旅したときには、インド人に同化しているような長期の滞在者をよく見かけた。
それであるとき、宿でおなじ部屋になったインドの長期滞在者からこんな話を聞いた。
「インドの物乞いって、手足がない人が多いだろ?なんでか知ってる?あれは、親が斬り落としているからなんだぜ。インドでは物ごいの数が多すぎるから、なかなかお金をめぐんでもらえない。だから、『かわいそうに!』と同情をひいてお金をもらうために親がわざとそうするんだよ」
「本当ですか?」
「インドの物乞いは親に手足を切断される」という話をきいたのはこのときが初めて驚いた。
「本当だって。インドってそういう国だから」
インドを旅した人なら、これとおなじ話を聞いたことがあるかもしれない。
でも、これ違うから。
デタラメだよ。
先ほどの人が、この話が「本当ではない」と知っていながら話したのかもしれない。
本人もそれが「事実ではない」とは知らなかったかもしれないけど。
こんな話をするバックパッカーには、他にも会ったことがある。
インドという国にしてみたら、それでイメージを悪くされるのだから無責任なバックパッカーによる「風評被害」をうけているようなものだ。
でもこの話には、いくらかの事実はふくまれている。
まったく荒唐無稽の話というわけではなく、少しは根拠がある。
確かにインドでは、手足がない物乞いは多かった。
最近はインドに行ってないから知らないけど。
インドを旅行中、列車の中で両足がないインド人が両手で床をはって移動していたのを見て凍りついたことがある。
街にもそうした「手足がない物乞い」が多くいた。
そこから、だれかが想像をふくらませて先ほどのような都市伝説をつくるのだろう。
でも、この話にはインパクトがある。
この話を聞いて信じてしまったボクも、他のバックパッカーに話してしまったことがある。
「えっ?本当ですか!」
ボクが初めて聞いたときのように、その人もびっくりした顔をする。
そんな反応に手応えを感じてしまって、何人かの旅行者にその話をしてしまった。
今ではインドの評判を落としてしまって、悪いことをしたと思っている。
このインドの都市伝説は、今でもあるのかな?
オルチャの城
今まで書いてきた「インドの物乞いは、親が子どもの手足をわざと切断してしまう」という都市伝説について、マノイ・ジョージというインド人のジャーナリストがこう書いている。
これはしばしばメディアをにぎわす話題だが、「子盗り鬼」のような風説にすぎない。
たしかに、貧しい身体障害者は、生きるために物乞いをせざるをえなくなるが、その障害は世間でいわれているような残酷な仕打ちの結果ではない。「ビジネスマンのためのインド入門 (マノイ・ジョージ)」
このように、肩書や名前をしっかり出して発言しているものを信じるようにしている。
バックパッカーの話は面白いけど、信頼性はひくいから。
それと、インドの物乞いを見てつい「かわいそう」と思ってしまう日本人は多いと思う。
先ほどの著者のこんな言葉も紹介しておく。
物乞いの多くは巧みな演技者であり、すぐれたメークアップ・アーティストだということもいっておこう。
「ビジネスマンのためのインド入門 マノイ・ジョージ)」
インドの物乞いについて、日本人の印象と現地のインド人の印象とでは、かなり違っていると思う。
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