はじめの一言
「もしも花を愛する国民性が、人間の文化生活の高さを証明するものとすれば、日本の低い階層の人びとは、イギリスの同じ階級の人達に比べると、ずっと優って見える(ロバート・フォーチュン 幕末)」
「日本絶賛語録 小学館」
最近、「沈没」というテーマで記事を書いている。
バックパッカーがよく使う旅の言葉で、こんな意味。
沈没
長期間の海外個人旅行をしているバックパッカーなどが、旅行の本来の目的である観光を中断し、一つの街への滞在を目的としてしまうことを「沈没」と呼ぶ。 (ウィキペディア)
旅行者が、旅の途中で気に入った街に長期で滞在することを「沈没する」と言う。
今までの旅で、そうした沈没者に何人も会ったことがある。
多くは、ごくふつうの旅行者か良い人。
でも、迷惑な沈没者もいた。
今回は、そんな長期滞在者について書いていきたい。
・迷惑な沈没者
まわりに迷惑をかけない範囲だったら、好きなだけ沈没していればいい。
好きなときに起きて、食べたいときに食べて、寝たいときに寝る。
ある意味、毎日が夏休みで夢のような毎日だ。
そんな竜宮城での日々を過ごしていて、いざ現世(日本)に戻ったときに、どうなったとしてもそれは本人の責任。
自分がしたことが自分に返ってくるのはあたり前だけど、自分がしたことで他人に迷惑をかけるようなことはマズイ。
でも、そんな沈没者もいた。
インドに、ヒンドゥー教の聖地「バラナシ」という街がある。
初めてのインド旅で、ボクもここを訪れた。
このバラナシには、旅行者も見学できる火葬場があって、長澤まさみが泳いだというガンガー(ガンジス河)もある。
さあ、長澤まさみを探せ!
って、いるか!
野良牛も歩いていていて、道のいたるところにフンが落ちている。
牛のフンはないけど、写真には道のど真ん中で寝ている人がいる。
バラナシには、日本人のインドのイメージが凝縮(ぎょうしゅく)されていて、ここでしかないような魅力がある。
そのためか、ここで泊った宿には長期滞在している沈没者が何人かいた。
彼らはバラナシに魅かれて、そこにずっといたのかもしれない。
そうすると「なんとなく、居心地が良いからズルズルと長居してしまった」というタイプの沈没とはちょっと違うかな。
まあ、そんな細かいことはいいや。
この宿で、バラナシに数か月いるという沈没者に会った。
年は30歳ぐらいで、髪とひげは伸ばし放題。
日焼けして真っ黒な肌をしている。
細い体に短パンにTシャツというラフなかっこうで、ベッドの上で本を読んでいた。
その人に始めにされたことが、言葉の訂正。
ボクが使っていた言葉は間違っていたらしく、正しい言葉を使うようにとご指導をいただいた。
さあ、次の文から間違った言葉を見つけてみよう。
「ここからガンジス河には、どうやって行ったらいいですか?」
すると、「ガンジス河という言い方は、やめな」という。
「『ガンジス河』はイギリス人の英語の発音だから、地元のインド人が呼ぶ『ガンガー』という言い方をしな」
はあ。
ちょっといい方がイヤだな。
でも確かに、「現地のものは、その土地の発音でいう」というのは正しいことだし、礼儀にかなっている。
ちょっと話がそれる。ごめんよ。
「現地のものは、現地の言葉で呼ぶ」ということは、世界的な風潮でもある。
たとえば、昔は「エアーズロック」と呼ばれていたオーストラリアの巨大な岩は、現在では「ウルル」と呼ばれている。
「ウルル」とは、原住民のアボリジニーの言葉だ。
ちなみに、「エアーズロック」はイギリス人・ヘンリー・エアーズ(南オーストラリア植民地首相)の名前にちなんでつけられている。
まあ、そんなことをいったら「シドニー」や「キャンベル」もイギリス人にちなんでつけられた都市名だけどね。
でもそう言っていたくせに、その沈没者はコルカタを「カルカッタ」と呼んでいた。
「カルカッタ」は、イギリス人が言った英語の発音だ。
彼の「現地化の法則」にしたがったら、「コルカタ」と言わないといけないはずなのに。
さらに、その沈没者はネパールの話をしていたときに、「エベレスト」とも言っていた。
「エベレスト」というのは、「ジョージ・エベレスト」というイギリス人にちなんでつけられた名称だぞ。
ぜんぜん、現地の呼び方じゃないじゃん。
でも、「エベレストを現地の呼び方で言う」となるとこれは難しい。
チベットでは、「チョモランマ」と呼んでいる。
ネパールでは、「サガルマータ(世界の頂上)」と呼んでいる。
チベット側の呼び方で呼べばいいか?
ネパール側の呼び方にすればいいか?
まあ、どっちでもいいか。
こんな言葉のご指導の後、ガンジ・・、いや、ガンガーまでの行き方を教えてもらった。
こんな感じでちょっとくせがある沈没者。
水や物を買って部屋に戻ってきた旅行者には、「それいくらした?」ときく。
そして、彼が思っていた金額より高い値段で買ったと知ると文句を言う。
「それ、ボラれてるよ。そういう値段で買うから、それが日本人料金になるんだよな。困るんだよなあ」
そんな、子どものようなことを言う。
まあ、この人を3歳の幼児だと思えばそんなに気にはならない。
でもこれぐらいなら、ちょっと面倒くさいぐらいですむ。
個人的に、すごくありがた迷惑だったのが、ボクがバラナシから出るときに彼がしたこと。
それは次回に。
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