2019年4月19日のヤフートップに、そのニュースがきていた。
パイオニアが希望退職者を募集するという。
希望退職のパイオニア(だれよりも早くものごとを始める人)はだれだろう?
ということではなくて、一番下の「アメトーーク」での差別発言だ。
番組中に芸人が話した内容が差別的だったということで、関係するところから非難を受けて、番組はホームページで謝罪した。
問題となったエピソードには、具体的にはこんなものがある。
「いすが机と繋がっている理由は投げられないようにするため」
「窓がガラス素材でない理由は、ガラスだと割る人が多いから」
「トイレットペーパーを職員室に取りに行く理由は、盗まれるから」
芸人がこれを面白おかしく言って笑いをとったものの、あとで笑顔が凍りつく。
西成高校や大阪府教育委員会、さらに部落解放大阪府民共闘会議から抗議をうけ、謝罪を要求される事態に発展。
でも、これらのエピソードは事実より笑い優先したものだから、言い訳はできない。
「事実と異なる内容や差別的な表現がありました」と認め、「視聴者の皆様にも誤った印象を与える結果になりましたことをお詫びいたします」と平謝りだ。
このほかにも番組では、西成地区について「行かない方がいい地域」という発言があって、これが差別的表現と問題視された。
いまは知らないけど、20年ぐらい前なら、大阪出身の友人から同じようなことを何回か聞いたことがある。
「西成区はヤバイって。あそこには近づいたらあかん」ということを、ネタか本気か分からないけど言っていた。
こういう情報にくわえて「西成暴動」の記憶もあったから、正直言ってボクのなかで西成区は「魔界」というイメージが出来上がってしまった。
1990年に第22次暴動が発生した。平成時代に入って日本で起きた最初の暴動事件であった。 1992年の第23次暴動から16年経った2008年、第24次暴動が発生した。
でも、タイムゴーズバイ。
その後、西成区もずいぶん変わったと聞く。
ネットを見ても、「街もきれいになった」「女性一人で泊まれる宿もある」「安いゲストハウスがたくさんあって、外国人バックパッカーの人気が急上昇」といった言葉があって、ちょっとした観光地のようになっていた。
外国人旅行者と交流できるなら、英語の特訓になるしおもしろそうだ。
ということで関西空港発の飛行機を予約したあと、出発日の前日に、西成区の格安ホテルに泊まってみることにした。
結果から書くと、これが大失敗。
西成区といってもすべてが上のような場所ではなくて、ボクが足を運んだ地区は昔ながらの雰囲気を色濃く残すところだった。
つまり、「きれい」「女性一人」「国際交流」とはかけ離れたゾーン。
まず、自動販売機の飲み物を見て、その値段に衝撃をうけた。
自販機のコーヒーが50円、60円、70円というのは他で見たことがない。
さらに街の中を進むと、ホテル1泊800円という東南アジア・プライスもあった。
感覚的に、このときボクがさまよっていたゾーンは、日本より東南アジアの街に近い。
まず物価がそうだ。
さらにそれを上行く、いや、下回るプライスも発見。
これならココイチのカレーと変わらない。
あたりは薄暗いし、人通りも少ない。道にはゴミが落ちていて、変なにおいもただよっている。
明らかにボクが知ってる日本じゃない。
最初はできるだけ安いところに泊まろうと思ったけど、街を歩いたら不安に襲われて、結局一泊1300円のところにした。
で、これがその部屋。
畳二畳の部屋ってあるんですね。
でもって驚いたのは、フロントでカギをもらえなかったこと。
宿泊者にカギをわたすと戻って来なくなるから、もうそういうサービスをしていないという。
サービスってあんた、宿泊客にルーム・キーをわたすのは最低限の義務なのでは?
「夜中に誰かが入って来たら、どうするんですか?」ときいても、「いや~、そんなことないでしょ。ドアのところに荷物を置いとけば?」と超テキトーなことを言いやがる。
それでも交渉の末、2000円のデポジットで部屋のカギをもらうことができた。
こんなホテルはさすがに東南アジアでもなかったぞ。
「銃・刀剣・麻薬等及び覚醒剤の持ち込みや使用禁止」という宿泊規則を見て、カンボジアで泊まった宿を思い出した。
なにゆえ手榴弾を部屋に持ち込む?
部屋に着くと、急に腹が減った。
駅を降りてから今まで緊張の連続で忘れていたけど、まだ夕食を食べてなかった。
フロントでコンビニの場所をきくと、「この時間に出歩くの?それはやめなよ。危ないよ」と言われた。
「一番近くのコンビニに行くだけでも、そんなに危険なんですか?」と言ったら、腕時計やスマートフォンなど貴重品を見せないことと、指定された道を通って行くことを条件にスーパーへ行ことを”許可”された。
*このとき宿の近くにコンビニがなかった。
コンビニまでのルートを書いた地図を指さして、「いい?この道どおり行きなよ。好奇心でわき道に入っちゃダメだよ」といったアドバイスをもらう。
それまで20以上の国や地域に旅行をして、いろんなホテルに泊まったけど、こんなことを言われたのは日本が初めて。
路上にゴミが散乱している光景はタイやマレーシアでよく見た。
周囲に人がいないことを確認してこの一枚を撮った。コワかったから写真はこの一枚だけ。
このときは8月だったけど、歩いていても、暑さを感じる余裕がなかった。
途中、何度かわき道に誘われたけど、中には入らず、パンとお茶を買ってホテルに無事帰還。
このときボクが体験した西成区の感想を率直に言うなら、平均レベルで東南アジア、治安など一部は東南アジアを超えている。
日本人のボクが大阪でこれほどのカルチャーショックを受けるとは思わなかった。
でもそれは、ボクが足を踏み入れたゾーンが間違っていたから。あれはきっと例外的だったのだろう。
西成区でも、外国人バックパッカーや女性が泊まるホテルがあるところなら、きっとこんなことはなかったはず。
「ハハハ、リアリー?」と外国人と楽しく談笑していたと思う。
ということで西成区に泊まるなら、事前確認をしっかりしておこう。
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