【関係最悪の理由】日本と韓国の価値観・見方はこれほど違う

 

ちかごろベトナムでは、日本旅行が大人気だ。
日本政府観光局の発表によると、先月5月に訪日ベトナム人の数は約4万人でこれは過去最高。
日本で働いているベトナム人に話をきくと、日本に来たベトナム人が感動したことなんかをSNSで伝えているのが大きな理由という。
日本では電車やバスが時間通りに運行しているし、人からぼったくられることもない。
日本人に対しては、「誠実で信頼できる」というイメージを持つベトナム人は多い。

ホルホルさせてもらったところで、逆を聞いてみた。
いまベトナム人が拒否感を感じる国はどこか?
もっとハッキリいえばベトナム人が大嫌いな国を聞いたら、「それは中国です」と迷わず即答。
その理由をいくつか聞いたけど、やっぱり中国が南シナ海を“支配”しようとしていることが大きい。
でもそれはこの記事の主題ではないし、中国には中国の論理がある。

この問題に興味のある人は「Global News Asia」の記事(2016年6月11日)を検索して、ブォン・トリ・タンさんの声を聞いてほしい。

90%以上のベトナム人は中国が大嫌い。ベトナムは小さい国だけど中国の横暴は許せません。絶対に認められない。

中国は大嫌いー90%以上のベトナム人「ベトナムフェスティバル・南シナ海の写真展示」

中国の海洋進出には日本も手を焼いている。

 

「ベトナム人は中国が大嫌い」というのは分かるけど、これには少し違和感もある。
ベトナムと中国といえば、共産主義&社会主義の国として知られている(少なくても建前では)。
いまの世界でそんな国は本当にすくない。
政治的、社会的には共通した価値観を持つ同士なのに、なんでここまで相手を嫌うのか。
この点は少し不思議な気がした。

 

 

さて、話は日本と韓国だ。
いま日本では韓国を信頼できない人が約8割もいて、韓国にも日本を信頼できないという人は多い。
現在の両国関係は、ためらわず最悪といっていい。
その最大の原因は、韓国側が日本との大事な約束を2度も破ったことにある。
1965年の日韓請求権協定と2015年の日韓慰安婦合意を事実上、破棄したことで日本は韓国に絶望していまの状態がつくられた。

とはいえ、日本と韓国は経済的には深く結びついている。
日韓が争ったら、どちらも傷ついて敗者になる。
だからそんな愚行は避けないといけない、とかいうきれいごとは無視しよう。
日本と韓国では経済力や国際的な信用が別次元でちがうのだから、苦しむのは韓国のほうだ。

それは向こうも重々承知で、いま韓国は日本の怒りをかなり恐れている。
きょうも中央日報にこんな記事(2019年06月21日)が載っていた。

マグロ・カキなど水産物群、メタノールなど有機化学品群、原子炉・ボイラー・機械類群などが大きな打撃を受けるという結果となった。

日本が韓国製品の関税率30%引き上げれば対日輸出は最大24億ドル減少

 

だから韓国側としては、どうしても日本との関係を改善させたい。それも可及的速やかに。
その最大のチャンスとして期待しているのが来週、大阪でおこなわれるG20サミットだ。
ここで文大統領と安倍首相が話し合って、いまの韓日関係の悪化を食い止めないといけない。
そうでないと、日本による経済制裁のカウントダウンが始まってしまう。
韓国経済だけはどうしても守らないといけない。

でも信用を重んじる日本は、約束を続けて破った文政権をもはや信頼できない。
「約束をするけど、守らない」という相手と話をするのは時間を盗まれることと同じ。
いま日本はG20での日韓首脳会談を見送る方向だ。

それではこまるから韓国はあせる。
東亜日報は社説(2019/06/17)でこう訴えていた。

両首脳が無条件に会って、これまでの不信を払しょくし、関係を改善していく契機にしなければならない。

韓日首脳、大阪G20モメンタムを逃してはならない

 

日韓首脳が会わないといけない理由として、東亜日報はこう書く。

韓国と日本は地政学的に最も近く、自由民主主義と市場経済の価値を共有する隣国だ。

 

それはそうだけど、これは日本と韓国が話し合う理由にはならない。
地理的にはすごく近くて、政治的・社会的な価値観を共有する隣国でも、ベトナムは中国を嫌っている。
ベトナムからは遠いし、政治や社会の考え方もちがうけど、日本を好きな人のほうが圧倒的に多い。
結局、人が信頼するのは人間なのだ。

安倍首相の韓国に対する見方は、中央日報のコラム(2019年06月03日)を読むと見えてくる。

彼は安倍と2013年にゴルフをしながら「韓国を重視せよ」と助言した。すると安倍は「私は中国を信頼する。中国は一度決めれば確実に守る」と言った。

なぜ日本は「いっそ韓国はいないことにしよう」というのか

 

6年後のいま、このとき安倍首相の言葉を聞いていた人たちは、「最近の韓日関係を見ると安倍の言うことが正しいのでは」と話しているという。
日本にとって中国は韓国より遠いし、自由民主主義と市場経済の価値感を共有していない。
でも、日中関係はかなりうまくいっている。
日本にとって大事なのは位地や政治的な価値観より、「一度決めれば確実に守る」という人としての態度だ。
まあ中国もたいがいアレだけど、少なくとも、日中関係の土台となるような重要な約束を破るような真似はしていない。

 

韓国側(東亜日報)はこんなことも書いている。

日本としては、G20を開いたものの、最も近い国の首脳と会談しない事態は、国際社会が見ても困惑することだ。

 

そんな国際社会は存在しないから心配するな。
各国にとって大事なことは自国の利益で、困惑するのは韓国だけだ。

東亜日報の社説を読んでも、これは韓国全体でいえるのだけど、自分たちが約束を守って信頼を回復するという見方がない。だからうまくいかない。
隣国や共通の価値感をアピールするより先に、自分の言ったことを守ったほうがいい。
「信なくば立たず」で、国家の関係も「一度決めれば確実に守る」という態度がないと成り立たない。

でも、韓国は日本にはゆずれない。
ちょっと前に日本で流行った「謝ったら死んでしまう病気」にかかっているらしい。
文政権寄りのハンギョレ新聞はきのう、社説(2019-06-20)で日本をこう非難していた。

すべての責任を請求権協定に任せて、知らぬ存ぜぬの態度では、両国関係のいかなる未来志向的発展も期待しがたい。

韓国政府の「韓日企業がともに徴用被害を救済」提案に注目する

合意や協定を本当に軽く考えている。

 

信頼を裏切っては開き直り、約束を破った側が守った側に上からものを言う。
そんなことをしているから、観艦式でハブられた。

産経新聞の記事(2019.6.21)

米国など友好国の海軍も「祝賀航行部隊」として招待する。今年は中国も参加する方向だが、昨年12月の自衛隊機への火器管制レーダー照射問題を受け、韓国の招待は見送る方針だ。

10月観艦式、首相「いずも」乗艦へ 防衛力アピール

招待するのは日本の友好国だけでいい。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

国 「目次」 ①

韓国 「目次」 ②

韓国 「目次」 ③

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

2 件のコメント

  • 1,000年以上も繰り返されてきた侵略、防衛、そして独立運動の歴史が実際にあるから、20世紀になってからの国家の経済運営体制や一時的な同盟関係だけで中国に対するベトナムの不信感・悪感情が消失することはありません。2国とも隣接した大陸内の国であり、特に一方は「自分達以外は野蛮人だ」と公言してはばからない(これまで常にそうだった)、あの中華思想に染まった本家ですからね。

    一方、半島国家と列島国家との関係は、彼らの経験してきた歴史とは全然違います。反日感情を掻き立てることで政権支持率を高めようとしている、さらにはウソ捏造を教科書にまで記載して子供に教え込んでいる、そんな彼ら自身に原因があるのだから困ったところで自業自得。助けてほしけりゃ反省し謝罪しに来い(無理だろうけど)。

  • ベトナムと韓国の大きなちがいに、独立を戦って勝ち取ったことの有無があります。
    ベトナムはフランスと戦って独立を達成しましたが、韓国はそれができませんでした。日本がアメリカに降伏したことで独立が回復しましたから。
    ベトナム人には自分の力で独立したという自負心がありますが、韓国人はそれができなかった悔しさがいまの反日の原因になっています。
    迷惑な話ですが。台湾人から話を聞くと韓国人とのちがいを思わざるをえません。
    なお、ここに載せられるようコメントを一部かえさせてもらいました。いまは表現の厳しい時代ですから。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。