これはフランスを代表する画家クロード・モネ(1840年 – 1926年)の作品「ラ・ジャポネーズ」。
日本が1867年のパリ万国博覧会に参加したとき、浮世絵など日本の美術作品にヨーロッパの注目が集まり、とくにフランスのパリでは日本ブームが起きた。
モネも「ジャポネズリー(日本趣味)」の影響を受けた一人で、上のような絵を描いている。
その約150年後、2015年にアメリカ・ニューヨークでボストン美術館が着物の試着イベントを行う。
「ラ・ジャポネーズ」の作品の前で着物を着て記念撮影ができるという企画なのだけど、これをやってみたら、「人種差別だ!」「文化盗用だ!」といった批判が殺到。
この絵画の前で「人種差別」「帝国主義」と書かれたプラカードを持って抗議する人たちまで現れた。
でも、人種差別や文化盗用を“された”はずの日本人の反応は正反対で、「アメリカ人が着物を着て記念写真を撮ることがなんで問題になるのか?」と首をかしげる人がほとんどだ。
そもそもこれを、「軍国主義」と非難する発想が日本人にあるだろうか。
くわしことはこの記事をどうぞ。
このときの画像を見ると、プラカードを持って抗議しているアジア人は日本人とは思えない。
でもアメリカ人にはこれが日本人に見えてしまう。
当時、友人のアメリカ人に「なんで日本人はこんなに怒るの?」と質問された。
歌川広重の「名所江戸百景 猿わか町よるの景」とモネの「オンフルールのバヴォール街」
上の「日本文化の盗用」には理解できない日本人がほとんどだったけど、これにはいま多くの日本人が怒っている。
Kimono Solutionwear™. Coming Soon. https://t.co/s8DZ09pKxp. #KimonoBody
Photo by Vanessa Beecroft pic.twitter.com/X0q9YKOwKS
— KIMONO (@kimonobody) 2019年6月25日
アメリカの女優・モデルとして有名なキム・カーダシアン・ウェストさんが、自身がプロデュースする矯正下着のブランド名に「KIMONO」採用した。
自分の名前「キム」に引っかけて「キモノ」にしたという。
すると「日本の伝統衣装である着物を侮辱している」「日本文化の盗用だ」といった批判が殺到。
外国人はもちろん、日本人が「KimOhNo」というハッシュタグを付けて抗議している。
「着物」と「キム」を掛けたのだろう。
*下のツイートは全て日本人のもの。
わたしたちの文化を盗むな。
着物は日本の伝統であり、日本人が誇りにしているもの。
それが完全に誤用されていて悲しい。
日本文化をメチャクチャにしてくれてありがとう!
着物はゆったりした衣服で、身体をきつく締め付ける矯正下着とは正反対だ。
博物館で行う試着イベントと「kimono」のイメージを使って金もうけすることはまったくの別もの。
日本文化に対する知識や理解、何よりも敬意がない。
しかも、すでに「キモノ」の商標登録を行っていて、ほかにも「キモノ・ボディ」「キモノ・インティメーツ」、「キモノ・ワールド」も商標登録の出願をしている。
こうなると今後、日本企業が「Kimono」という名称を使うことができなくなるかもしれない。
イギリスBBCの記事(26 June 2019)で、日本の女子大学(十文字学園女子大学)のシーラ・クリフ教授がこう話している。
Kim Kardashian West’s Kimono underwear meets Japanese backlash
“The [aesthetic] of the kimono is graceful, elegant and gentle. It is not overtly revealing or figure-hugging. It wraps the wearer so they are not exposed,”
着物の美学は優雅さ、エレガント、やさしさにある。肌を見せたりボディーラインが出るものではない。包み込んで見せないようにするものだ。
“If I made a bra and called it a sari… some people would be very annoyed. It shows extreme disrespect… [the Kimono] is an expression of Japanese identity. That word does not belong to Kim Kardashian.”
私がサリーという名称のブラジャーを作ったら…、激怒する人がいるだろう。とんでもなく無礼なことだから。着物は日本人のアイデンティティーを表している。キム・カダーシアンのものではない。
この騒ぎは韓国紙・中央日報も記事(2019年06月27日)にしていた。
ソーシャルメディアでは着物の名前を守るための反カーダシアン運動も広がっている。日本人はハッシュタグ「#KimOhNo」を付けた掲示物を拡散している。
米セレブのキム・カーダシアン、下着ブランド「Kimono」ローンチング…日本人が反発
外国人が日本の着物について知りたくて「kimono」で検索すると、矯正下着をつけた女性の画像が出てくることは当然ありえる。
あとこれはネットで見た意見だけど、商標登録が通ってしまうと「kimono」のつく言葉を使うときは、キム・カーダシアンの許可が必要となるかもしれない。
ということは、下のものはすべてアウト。
いきもの ikimono
かきもの kakimono
しきもの shikimono
すきもの sukimono
はきもの hakimono
まきもの makimono
やきもの yakimono
だからこの文化盗用、商標登録は本当に「キム、やめてくれ!」だ。
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うーん、難しいところだがハッキリ言うと、商標登録してまで下着を売るための商売のネタにはしてほしくないなぁ。ただ、それだけ米国人の間でも Kimono がポピュラーな単語になりつつあることは認めてよいことだと思う。
何しろ下着っていうのがねぇ・・。ただ、下着に対する感覚がまた米国人と日本人では大きな隔たりがあるのですよ。
たとえば、アベンジャーズに出てくるキャプテン・アメリカのパンツを見てごらんなさいな。自国の国旗をいくら愛しているからと言って、それをパンツの柄にまで採用するかね?どう考えても日本人の感覚だと、反日デモで日章旗を焼いたりとか、あるいは店舗の入り口に玄関マットとしてわざわざ敷いて靴で踏みつけたりとか、それらと同レベルの行為に見えてしょうがないのですが。
まあ、アメリカ人ってのはそんな細かいことを気にしないで、自国と星条旗が大好きで、自信満々で、底抜けに楽天的な人々だからなぁ。
他国の文化に対する敬意がないという点でこれはダメですね。
まあ個人の行為ですから、アメリカ人全体とは関係ありませんけど。
パンツのことは分かりませんが、国旗を焼く行為よりはマシな気がしますよ。