【反日より親日】日本人が韓国を離れ、台湾に近づく理由

 

ここ数年、日本の学校では「韓国離れ」が進んでいる。
これは修学旅行の話で、渡航先で韓国を選ぶ高校は本当に減った。
代わりに浮上したのが台湾だ。
きょねんの毎日新聞の記事「日本からの修学旅行トップに 10年前の11倍超(2018年1月27日)」によると、アメリカを抜いて台湾が一番人気となっている。

その理由としては、日本から近くて旅費を抑えられることはもちろん、台湾は治安がいいし、日本に好印象を持っているから。
治安や旅費を比べたら韓国も大差ないけど、日本に対する見方は決定的にちがう。
親日と反日のどちらを選ぶかなんて、質問として成立していない。

高校生の訪韓を邪魔するものに、韓国での反日のシンボル・慰安婦像がある。
ソウルの日本大使館前に設置されて以来、この像は全国に建てられて、いまでは100以上もある。
これが日韓の青年交流に暗い影を落としている。
朝日新聞の記事(2017年5月16日)

平沢市青少年文化センター前に少女像が設置されたため、「施設を拠点として高校生の交流を行うことは教育上適切ではない」と判断したという。

「秋田県、高校生の韓国派遣中止 少女像設置など考慮」

 

「政治的に対立しているからいまだからこそ、民間交流は大切にしないといけない」という理屈は、一見もっともなのだけど、あまりに都合が良すぎるのも事実。
修学旅行での「韓台逆転」についてはこの記事をどうぞ。

海外の修学旅行先、台湾が人気No.1。韓国・中国が激減の理由とは。

 

 

いま日本企業の間でも、「韓国離れ」が進んでいる。
企業にとっての問題は慰安婦像ではなくて、徴用工訴訟だ。
1965年に日韓両政府が解決を確認したはずの問題をいままた蒸し返して、韓国最高裁はきょねん日本企業に賠償を命じた。

これをふくめて、ここ数年の韓国の反日が日本企業にどんな影響をあたえたか?

朝鮮日報の記事(2019/07/04)を読むとその一端が見えてくる。

輸出優遇除外:「韓国はどの面下げて日本からの投資を期待してるの?」

釜山のある自治体が数年前から、工場を建ててもらおうと日本の機械部品メーカーに働きかけてきた。
その企業は現地を訪れて見学したり、自治体の担当者と話し合ったりした。
手応えはよく、日本企業からも「韓国が投資先候補1位」という返事をもらっていた。

あとはお祝いのシャンパンを開けるだけ、となったころの今年はじめ、その企業から電話がきて「韓国への投資計画はやめて、台湾に行くことにした」と伝えられる。
理由はこうだ。

「韓国の反日感情のために日本の社員の家族たちが反対している」と説明した。「夫が韓国に行って石を投げつけられたらどうするの」と抗議する日本人社員の妻もいたという。

 

この記事にはこれ以上くわしい理由がないけど、単に利益を考えたら、韓国のほうがよかっただろう。
「投資先候補1位」という返事をもらっていたのだから。
でも社員の家族の思いを考えて、反日よりは親日、韓国より“安全”を選んだのだろう。

反日感情高ぶるいまの韓国では、集団で日本企業のロゴを踏みつけるパフォーマンスを行っている。
その様子を全国放送する国に、魅力を感じる日本企業を探すのはむずかしい。
夫や父親の会社がふみつ踏みつけられるのを、妻や子供が見たらどう思うか?
親としては、子供が学校で楽しく過ごせるか不安になる。

こういうことをする一方で韓国には、日本企業は我々に利益をもたらしてほしいという思いもある。
日本企業に向かってそれを具体的に口にするから、「韓国はどの面下げて日本からの投資を期待してるの?」という記事の見出しができる。

 

 

日本の隣人なら台湾もいる。
韓国に比べると日本人は台湾に対して関心がなくて、ハッキリ言って冷たいと思う。

いま韓国は福島など8県から水産物の輸入を禁止している。
これを不当とみた日本は撤回を求めて世界貿易機関(WTO)に韓国を提訴するも、今年4月、実質的に敗訴してしまう。
この“勝利”にムン大統領は喜びと誇りを爆発させた。

朝日新聞の記事(2019年6月11日)

韓国による東日本8県の水産物の禁輸措置を容認したことに関し、担当した公務員を大統領府の昼食会に招いて、「すごく誇らしい」とねぎらった。

日本の水産物禁輸、喜ぶ韓国大統領 関係悪化に批判も

 

台湾も、福島県をふくむ5県の食品を禁輸としている。
これを問題視した蔡総統は輸入を解禁しようとしたのだけど、きょねん11月、野党「国民党」が提案した反対案が住民投票で可決されてできなかった。
これを申し訳ないと思ったのか、蔡総統はこんなはからいをしてくれた。

産経新聞のコラム「産経抄(2019/07/05)」

そこで蔡政権は、日本酒やみそなど15品目の食品の関税を引き下げる税制の改正案を提案、日本では国会に相当する立法院で可決された。(中略)蔡総統は日本に誠意を示してくれた。反日一辺倒の韓国の大統領とは大違いである。

 

もともと台湾では日本酒の輸入は認められていたから、関税が下げられると、福島の酒などもいまよりもっと台湾に入りやすくなる。
「韓国の大統領とは~」と書いているけど、蔡総統の台湾と文政権の韓国を比較することは不可能。
日本人が台湾に対して関心が少ないというのは、たとえばこのニュースはあまり伝えられていないと思う。
お礼は台湾に行って美食を味わうだけでいい。

台湾なら、「反日感情のために日本の社員の家族たちが反対している」とか「石を投げつけられたらどうするの」といった抗議は出てこない。
日本の学校や企業が韓国を離れて台湾に近づく理由はシンプルで、反日より親日のほうが安心で居心地がいいからだ。

 

台湾へ旅行に行くなら、台中の「宮原眼科」がおすすめ。
日本統治時代の雰囲気をいまに伝えるところで、日本人にとっては初めてなのに懐かしいところ。
*「宮原」というのは統治時代、ここで眼科を開いていた日本人医師の名前。

 

おまけ

大阪出身の韓国の元大統領・李明博氏はこんなことを計画していた。

ソウル南山に建設されるユースホステルに日本の修学旅行生を誘致して竹島(韓国名・独島)領有権や日帝(いわゆる「日本帝国主義」の韓国での呼称)の残虐性について学習する機会を設ける計画を考案。

李明博・対日姿勢

こういうことがあるから韓国離れが進むのだ。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

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近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。