歴史を大事にするお隣さんは、「歴史を忘れた民族には未来はない」と日本に教えてくれる。
サッカー日韓戦でも、いま行われている日本製品のボイコット運動でもなぜかこのスローガンが登場する。
この言葉が好きというより、これを日本に言いたいらしい。
でも玉に瑕(きず)。
韓国の人たちには忘れっぽいところがある。
この言葉は独立運動家の申采浩(シン・チェホ:1880~1936年)のものといわれているけど、彼の著書にそんな言葉は出てこないのだ。
どうやら後で誰かが創作したらしい。
サッカー日韓戦の横断幕に使われて問題になった「歴史を忘れた民族に未来はない」が申の言葉とされているが、申の著作物に同様の記述は存在しない。
さて韓国紙・朝鮮日報がいまの韓国を、19世紀末ごろの朝鮮になぞらえていた。(2019/06/28)
旧韓末に似た世界情勢、文大統領は高宗と同じ道を歩むのか
旧韓末(朝鮮王朝末期)というと、日中韓の東アジアに欧米列強がやってきたころだ。
圧倒的なパワーを持つ国々を前にした朝鮮は、米中からどちらかの味方になるか迫られる現在の韓国と重なる。
そして朝鮮日報のコラムは日韓のリーダーシップの違いに注目した。
明治の偉人を尊敬する安倍首相は、韓国目線では伊藤博文に見える。「韓国にとっては敵だが、日本で伊藤博文は近代化の元勲として慕われている。」という理由で。
たしかに安倍首相は韓国から敵視されているけど、国内では高い支持率をキープしている。
21世紀の安重根が出てこないか心配になるほどだ。
100年ほど前の伊藤博文が「帝国主義の膨張を主導したように、安倍も『外に延びゆく日本』」を目指しているという。
一方、文大統領のリーダーシップは「安倍とは対照的」と書く。
いまの安倍首相と文大統領は対照的だ。
前者は国際情勢を注視して、後者は国内情勢を重視している。
安倍は国際的な影響力拡大、文大統領は国内の公正、平等を優先する。安倍が外を見つめているのに対し、文大統領の視線は内向きだ。外交路線でも現実的な安倍と理想主義者の文大統領は対照的だ。
内容はいいとして、呼び捨ては失礼だろ。
おまけに書くと、このコラムは安倍首相を「トランプのプードル」と表現している。
この結果、日米関係はかつてないほど良好になったけど、韓米同盟はぎくしゃくしている。
これを「両者のリーダーシップと無関係ではない。」と指摘する。
欧米列強がやって来た19世紀末も、「指導者の力量の差が朝鮮と日本の運命を分けた」という。
*これが安倍首相と文大統領をたとえていることは明白。
伊藤博文など明治のリーダーらは海外に目を向けて欧米に学び、近代化を達成する。
でも、そんな指導者が大韓帝国にはいなかった。
高宗皇帝は内向きで、困難な時代を乗り越えるリーダーシップの持ち主ではなかった。
むしろお荷物。
高宗の狭い世界観と貧弱な国家ビジョンが亡国を呼び込んだ。朝鮮は外国勢力の侵入以前に指導者の無能、無気力、無戦略のせいで自ら崩壊した。
指導者の力量の差が1910年の「亡国(日韓併合)」をまねく。
現在はこの時代に匹敵する乱世だから、ムン政権は国内で敵と戦うのではなくて、韓国を取り巻く国際情勢にもっと目を向けろ。でないとまた日本にやられるぞ。
韓国はもう二度と、「亡国の道」を歩んではいけない。
そうならないよう朝鮮日報は、「文大統領は高宗と同じ道を歩むのか」と忠告をしている。
しているにもかかわらず、当の本人は日本にこんな忠告をしていた。
中央日報の記事(2019年07月11日)
文大統領「日本政府、これ以上行き詰まる道に進まないように」
いまの対応では生ぬるいと考える日本政府はいま、追加措置を検討しているというのに。
文大統領は、「日本政府が政治的目的のために韓国経済に打撃を与える措置を取った」と怒るけど、日本政府はそんなことを一言も言っていないし、韓国を特別扱いするのをやめただけ。
これは安全保障上の理由で、世界貿易機関(WTO)のルールにもとづく対応だ。
「歴史を忘れた民族には未来はない」という言葉をつくったように、他人の言動を都合よく解釈してはいけない。
それは「亡国の道」への第一歩ではないのか。
これは次回でも触れるつもりだけど、日本が心配しているのは朝鮮日報の記事(2019/05/17)に書いてあることだ。
大量破壊兵器(WMD)製造にも使える韓国の戦略物資が、第三国を経由して北朝鮮やイランなどに持ち込まれた可能性もある。
大量破壊兵器に転用可能な戦略物資、韓国からの違法輸出が急増
「これ以上行き詰まる道に進まないように」というのはどっちなのか。
100年後に、「指導者の無能、無気力、無戦略のせいで自ら崩壊した」と書かれるのは誰なのか。
こちらの記事もどうぞ。
> 中央日報の記事(2019年07月11日)文大統領「日本政府、これ以上行き詰まる道に進まないように」
中央日報の記者が文大統領の発言を誤解しているんじゃないでしょうかね?
文大統領「日本政府は、これ以上(我々韓国が)行き詰まる道に進まないように」との意味だと思います。感情的で冷静な文章表現が苦手な人は、一つの文中で、自分も知らないうちに主語が入れ替わってしまうとか、よくある現象です。
それと、日本語として正しいのは「息詰まる」または「生き止まる」のどちらかではないですか?
誤解の可能性はありますが、これ以外に情報がありまんでので、記事の言葉をそのまま使いました。
日本語では「息詰まる」も「行き詰まる」もありますよ。