輸出規制は「日韓双方が被害者」?韓国の被害は日本の215倍

 

いま日本が行っている韓国への輸出規制強化について、「これは日韓双方がダメージを負う。だから早くやめるべきだ」という主張をたまに見る。

たとえば日本政府が韓国を「ホワイト国」(輸出手続きを簡単にする特別扱いの国)の指定から外す方針について、聯合ニュースは「日本もかなりの打撃を受ける見通し」と書いている。(2019/07/12)

日本も輸出への依存度が高く、半導体製造用の製品の大半を韓国へ振り向けているため、対韓輸出規制により日本も打撃を受けるのは必至だ。
韓国貿易協会傘下、国際貿易研究院のムン・ビョンギ首席研究員は、日本の措置は韓日両国にマイナス影響を与えると指摘。

貿易低迷も韓国は日本の黒字相手国3位 規制拡大なら日本も打撃

 

これはきょうの中央日報の記事(2019年07月13日)

韓日労総「日本の輸出規制、両国労働者に悪影響」

こういう報道は日本にもある。
毎日新聞の記事(2019年7月5日)

材料を日本に頼る韓国企業だけでなく、取引がある日本企業からも影響を懸念する声が上がっている。

半導体関連品輸出規制 日韓双方に懸念拡大

 

日本と韓国が経済的に深く結びついていることは、日韓の政治・経済に興味のある人なら誰でも知っているだろう。
日本にとって韓国は貿易黒字国の第3位だ。
だから現在のように日本が輸出規制を強化していると、半導体製造で必要な部品がこれまでどおり韓国に運ばれなくなってしまう。
韓国企業が半導体をつくることができなかったら、日本企業にもマイナスの影響がでてくる。
それは分かるけど、問題は「どっちがどれだけ痛い思いをするのか?」ということだ。

 

 

「輸出規制は韓国にダメージをあたえるけど、日本も必ず打撃をうける」と聞くと不安を感じるけど、事実を知って正しく恐れよう。
日本がうける正確な被害の大きさは、最終的には、未来になってからでないと分からない。
だからいまできることは予測だけ。
韓国経済研究院のチョ・ギョンヨプ選任研究委員が中央日報の記事(2019年07月11日)で、韓日双方の影響を予測している。

「侍のように…日本、自ら損失甘受しながら相手を叩く」

チョ氏によると韓国側は、「半導体素材不足分が全体の30%の場合GDP減少は全体の2.2%に達するだろう。不足分が80%に達すればGDP減少が8.6%に達する見通し」ということだ。
それに対して日本は、「日本も輸出規制によりGDP損失が0.04%水準に達するとみられる」という。
これはひとつの見通しだけど、韓国は日本の55倍~215倍のダメージをうけることになる。

でもこれは半導体素材の不足だけ。
これから日本が「ホワイト」からの除外など、別の措置をとったら韓国はどうなるのだろう。
「侍のように…」というのは、日本は自分が痛みをうけても、相手にもっと大きな痛手を負わせるという韓国から見た日本の戦略のこと。
「肉を切らせて骨を切る」と言いたいところだけど、彼我の経済力の差を考えると、日本が感じるのは痛みより”かゆみ”。
とにかくこれが「日本の輸出規制は典型的なサムライ戦略」らしい。

 

デイリー新潮の記事(2019/7/12)でも、日本経済新聞社でソウル特派員をつとめていたジャーナリストの鈴置高史氏が、「産業の実態や変化を調べずに、「大変なことになる」「安倍が悪い」と書くのは無責任極まりないと思います」と指摘していた。

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そもそも日本で製造する部品は韓国企業だけに買ってもらう必要はない。
たとえばことし6月に広島工場を拡張したアメリカのマイクロン社でもいいし、いま岩手県に新工場を建設している東芝メモリ・ホールディングスでもいい。

世界最高レベルの技術力があるのだから、韓国企業にこだわる理由はないのだ。
くわしいことは記事を見てもらうとして、結論として、日本企業は大丈夫のようだ。

韓国の半導体メーカーへの輸出が減ったとしても、その分、増産する日本や米国の半導体メーカーが買ってくれるのだから同じことです。

半導体製造装置は、韓国企業の衰退の代わりに能力を増強する日・米の企業に売れることになります。韓国製半導体のユーザーは日・米メーカーから調達することになるでしょう。

 

輸出規制については「日本からも影響を懸念する声が上がっている」といっても、韓国の専門家に予測では、韓国のうけるダメージは日本の55倍~215倍なのだ。
日韓での被害の大きさには、かすり傷と致命傷ほどの違いがある。
サムライならそれぐらいの痛みは耐えられるはず。
それぐらいのことをして、いまの日韓関係は一度リセットしたほうがいい。

 

 

2017年に「日本軍によって少女が性奴隷にされた」という内容の碑と慰安婦像をサンフランシスコ市が市の公共物に指定したとき、大阪市がその歴史わい曲に抗議して、姉妹都市を解消すると言い出す出来事があった。
このとき反対派は、「アメリカでの日本のイメージ悪化が懸念される」「大阪万博招致に影響が及びかねない」なんて書いて不安をあおっていた。
それでも大阪市は姉妹都市解消を撤回しなかった。

それで結局、アメリカの対日イメージはどうなったかというと、2018年に行われた世論調査の結果で、日本を「信頼できる」と答えた人の割合は過去最高の87%を記録した。

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万博誘致はどうなったかというと、みごと大阪での開催が決定。
2017年に日本のイメージ低下を憂いていた人たちはいま、それを忘れたかのようにまったく別のことを書いている。

今回の輸出規制も鈴置氏が言うように、「『大変なことになる』『安倍が悪い』と書くのは無責任極まりないと思います」という結果に終わるだろう。

もう一度書くけど、マスコミ報道で不安を感じることがあったら、数字や事実を知って正しく恐れよう。

 

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2 件のコメント

  • > 今回の輸出規制も鈴木氏が言うように、→ 「鈴置氏が言うように、」の間違いではないですか?

    > 2017年に日本のイメージ低下を憂いていた人たちはいま、それを忘れたかのようにまったく別のことを書いている。
    ではあるのですが、その人達が残した影響は皆無ではありません。「メディアは嘘を言う」との印象が、社会にまたひとつ蓄積されることとなった。国民は、そのことを決して(完全には)忘れはしません。ボディーブローのように、既存メディア(特に新聞)に対する信頼感にダメージが徐々に蓄積されていき、やがて、誰もその手のメディアを信じなくなってしまうでしょう。メディアが没落する場合は、政治的傾向がどうであろうと、同じ種類のメディアは全部同じように「役立たず」としてみなされてしまいます。
    メディアは、自分自身で早く気付いて、報道姿勢をニュートラルに戻すように改めてほしい。
    団塊の世代の爺様達をはやく全員クビにして、彼らが確立した社の方針を見直しあるいは放棄して、もっと若い人に実権を持たせて、世の中の事実を、真にニュートラルな目で報道できるようになってほしい。

    日本のメディアが、社会からぞんざいな扱いを受けるようになってしまうことを、私はとても危惧しています。

  • おっしゃるとおり、「鈴置氏」の間違いでした。
    ご指摘ありがとうございます。

    メディアのなかには、「言いっぱなし」というものもあります。
    不安をあおって自分の望む方向に世論を誘導しようとする。
    でも、「可能性の指摘」としてその言説の責任はとらない。
    数年後に検証して、どのメディアの言っていることが正確か確認することが大事と思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。