韓国と日本で「真の和解」なんて不可能な理由

 

韓国紙のハンギョレ新聞で、キム・ヌリという大学教授が「韓日の真の和解」について書いている。(2019-07-29)
このハンギョレ新聞の主張は文大統領の考え方に近い。

[寄稿]韓国と日本、真の和解は可能か

和解したって、数年後には無効にされるしねー。
過去の歴史問題については、1965年の請求権協定で「完全かつ最終的な解決」を確認した。
2015年には慰安婦問題について、「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した。
2つの「最終的」が終わって、2019年に「真の」と言われてもねえ。

この寄稿では、韓日関係が戦後最悪といわれるほど悪化した原因として、1965年の「韓日(請求権)協定」をあげている。
現在の日韓関係はこの合意にもとづいて成立している。
でも、この協定では「韓国と日本が真の和解を果たすのは難しそうだ」ということらしい。
教授はその理由を三つ書いている。

 

1、韓日協定の主導者が歴史的正当性を欠いていたため。

当時の韓国の代表は朴正煕(パク・チョンヒ)大統領。
朴大統領はもともと日本軍将校だったため、被害国の首長の歴史的象徴性や正当性に欠ける。
だからそんな人間が結んだ協定はそもそもが間違いで、重要ではないらしい。

朴大統領の反対側にいる人間、たとえば日本統治に反対していた人を代表者にしたら、この教授的には満足なんだろう。
だったら1960年代にもどって、そういう人間を代表者にして日本との交渉をやり直すしかない。

 

韓日で真の和解が難しい理由その2は、韓日協定は「強要された和解」の産物だったから。

1965年の請求権協定は、冷戦時代のアメリカの「軍事戦略的考慮によって強要されたもの」だった。
だから韓国と日本による「真の和解が作り出した結果物ではなかった」という。

でも、「真の和解」なんて言い出したら、時代によって違うからキリがない。
いま真の和解をしたところで、また50年後に社会の価値観が変わったら、「真」の意味も変わってしまう。
1960年当時は日本も敗戦国で、強く主張できる立場でもなかった。
あの時代にはそれがベストだったのだから、いまさら「強要された」なんて被害者意識からモノを言ってはいけない。

 

真の和解が難しい理由その3は、あの協定は国民の同意に基づいた条約ではなかったから。

じゃあ54年前にもどって、国民の同意を取り付けて日本と交渉したらいい。
その方法がさっぱり分からないけど、まあガンバ。

 

結局、3つの理由すべてを解決するには、現在の価値観を持ったままその時代にもどって歴史を再構成するしかない。
ドラえもんの世界でなら可能だけど、現実には不可能だ。
でもこの教授は、「韓日の対立の究極的解決は過去への回帰ではなく、未来への跳躍を通じてのみ可能だ」という。

文大統領もそうだけど韓国の左派の人たちは、「歴史的正当性」「真の和解」「国民の同意」「未来への跳躍」といった何となくカッコいい言葉をよく使う。
でも、解釈する人しだいで意味か変わってくるから、あいまいで現実感がない。
ただ言ってる本人は何となく気持ちがいい。

では、どうしたら韓国と日本の「真の和解」が成立するのか?
54年前の協定を破棄して、現在の韓国側の価値観で合意を結び直さないといけないらしい。

真の和解が可能になるには、韓日新協定の締結を通じて新たな韓日関係が築かれなければならない。

韓国と日本、真の和解は可能か

 

1965年の合意を2019年に結べるものか。
日韓の真の和解が不可能なのは、韓国の言う「真」は「新」のことだから。
時代や気分が変わるたびに「新」をもとめるからキリがない。
日本が謝罪や反省をしても、次は「真の謝罪」や「真の反省」を要求してくる。
永遠のアップデートだ。

請求権協定では徴用工問題について「支払いは韓国政府でおこなう」と言うから、日本がそれを信じて韓国側に5億ドルをわたしたのに、実際には元徴用工個人にほとんどお金はわたされなかった。
いまになって、「歴史的正当性を欠いていた」、「強要された和解の産物だった」と言っても通じない。

慰安婦合意も「最終的かつ不可逆的な解決」を確認したのに、2、3年したら「あれでは真の解決にはならない」と言いだす。
2019年になると韓国政府は慰安婦財団を解散して、合意を事実上、破棄してしまった。
現在の、つまりその時々の価値観を絶対視して、過去を都合よく再構成しようとする。
その作業に日本を巻き込もうとするから、日本人はもう疲れてしまった。
韓国側が「真の」「新の」と言っている限り、日韓の間で本当の和解が訪れることはない。
いまの日本の国民感情を考えたら、韓国の言う「真」も「心からの」も受け入れる余地はほとんどないのだから。

 

 

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2 件のコメント

  • この教授の言い分だと、韓国は無効な協定を有効であるかのように偽り、日本国民の血税を詐取した事になるんですが。
    朴正煕や軍事政権が勝手にやったという主張も、民主化の時点で国民や国民に選ばれた政権が日本側に全ての資金と資源を返還していない点で、破綻しているとおもうのですが。
    全ての日本人が心から許すまで謝罪と賠償をしてくれるんですかね?
    長文失礼しました。

  • いえいえ。コメントありがとうございます。
    韓国が日本人に謝罪することはないでしょう。というかないです。
    自分を被害国、日本を加害国とする設定を変えることはないでしょうね。
    いまの自分たちの価値観を絶対正義として、過去や現在の問題をそれに合わせようとするから無理があります。
    でも韓国のこういう態度はこれからも続くと思いますよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。