ホワイト国から韓国除外、安倍首相のねらいは「けりを付ける」

 

2004年、日本は韓国を「ホワイト国」に指定した。
ホワイト国に指定されると、輸出上の手続きの簡略化などの優遇措置を受けることができる。

そして2019年8月2日、日本は「ホワイト国」から韓国を除外することをきめた。
世耕弘成経産相が記者会見でこう説明している。

「安全保障のための輸出管理制度の適切な運用に必要な見直しをした」
「いわゆる禁輸措置ではない。手続き、輸出管理をしっかりやれば輸出はできる」

手続きをしっかりやれば輸出はできるのだから、これは禁輸でも制裁でもない。
でも、優遇されることが当然となっていた韓国側はこれに衝撃を受けて激怒する。

中央日報の記事(2019年08月02日)

日本、結局レッドライン越えた…「ホワイト国から韓国除外」

朝鮮日報の記事(2019/08/02)

青瓦台「日本のホワイトリスト除外決定に深い遺憾」

 

これが発表された日、レコードチャイナにこんな記事が載っていた。(2019年8月2日)

「日本の最終目標は韓国の経済と軍事をつぶすこと」日系韓国人教授が分析、韓国ネットも賛同

韓国籍を取得して、いまは韓国の大学で教えている保坂祐二教授が日韓関係に触れて、日本政府(安倍政権)の“ねらい”をこう話す。

「南北が平和共存へ進むのを嫌がっている」
「朝鮮半島を日本の影響下に置きたがっており、南北それぞれに影響を与えようとしている。」
「北朝鮮を支援する可能性のある韓国を経済的につぶしてこそ、南北が経済的に成長するのを防くことができるため」

安倍首相は韓国経済をつぶしたあと軍事力も破壊して、朝鮮半島を日本の影響下におくつもりだと保坂教授は分析する。

なるほど。
じゃなくてちょっと待て。

これまで優遇していたのをやめて、韓国を中国やタイなどの「ふつうの国」にしたら、韓国経済はつぶれてしまうのか?
日本が朝鮮半島を影響下に置くことを中国やアメリカが認めるわけない。
国際社会を敵に回して日本にどんなメリットがあるのか?

でも「日本軍国主義論」や「朝鮮半島侵略説」は韓国人の価値観にはピッタリ合う。
だからネット上では、賛同や称賛の声が続々と上がっている。

「今後の韓国の主敵は日本」
「聡明な分析力」
「100年前と同じ。日本がすることはどうして時が流れても変わらないかな」
「韓国経済を苦境に追いやる→国民が文政権を批判するよう仕向ける→親日政権に政権交代→南北関係を緊張させる→半島に戦争が起こるよう誘導」
「保坂教授だけが正確なことを言ってくれる。それなのに(韓国最大野党の)自由韓国党は親日。一体どこの国の国会議員なの?」
「おいおい!日本人が韓国人よりよく分かってるじゃん」

今回日本が韓国をホワイト国から除外したというのは、2004年前の状態にもどっただけ。
このころ韓国経済は崩壊していたのか?
特別扱いがなくなるとつぶれてしまうのなら、そんな経済は根本的におかしい。

 

さて、先ほど「おいおい!日本人が韓国人よりよく分かってるじゃん」とおどろく韓国人がいたけど、そんな日本人の教授よりはるかに冷静で正確な分析をする韓国人の教授がいる。

聖公会大学日本学科の梁起豪(ヤン・ギホ)教授は、いまの安倍首相は「けりを付ける」という考えを持っていると見た。
中央日報の記事(2019年08月02日)

梁起豪聖公会大学教授も「韓国が二度と歴史問題で謝罪と賠償を要求できないように釘を刺すことを自身の外交目標としたものとみられる」と述べた。

「安倍首相、韓国に対し目も耳も塞いだ」…強硬モード長期戦の態勢

 

「も」とあるように、匿名の元外交部当局者も同じ見方をしている。
安倍首相の韓国に対する強硬な姿勢は、慰安婦問題や徴用工問題などの歴史問題に「けりを付ける」というねらいがあるという。

この指摘はきっと正解だ。
安倍首相は平成27年8月14日の談話でこう話していたから。

日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。

内閣総理大臣談話

 

今回のホワイト国からの韓国除外は、「安全保障のための輸出管理制度の適切な運用に必要な見直しをした」ということに尽きる。
でもこの措置には、「韓国との歴史問題は我々の世代で終止符を打つ」というねらいも含まれているだろう。

謝罪や賠償、過去の責任という議論は終わりにして、韓国と日本の関係を「ふつうの国同士の関係」にしたいという思いが安倍首相の頭の中にあると思う。
あれだけ反日感情の強かった中国とも、日本はいま良好な関係を築きつつある。
韓国とも被害国と加害国ではなくて、対等で当たり前の関係になりたいと安倍首相は考えているはずだ。

「日本の最終目標は韓国の経済と軍事をつぶすこと」という架空戦記小説の設定よりは、「けりを付ける」という見方のほうが説得力がある。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

国 「目次」 ①

韓国 「目次」 ②

韓国 「目次」 ③

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

6 件のコメント

  • そういえば、このあいだ韓国の国防部長官が、北朝鮮の「飛翔体」発射について、「今後も挑発が続くようなら北朝鮮「も」敵に包含する」と発表してましたね。
    北朝は敵じゃなかったんだ……。
    完全に韓国の主敵は日本という認識なんでしょうね。

  • とあるニュースサイトのコメント欄でちょこっとコメントした私に「韓国が除外されて手続きに日にちがかかるようなら韓国企業も日本製品のシェアを30%くらいに落として他国製品を買うようにするだろうから日本のメーカーサイドも困ることになる。 日本がダメなら海外に生産拠点を移し生産する。 その結果日本は企業からの税収が落ち込む。」とか丁寧に教えてくれる人がいるんですが、韓国も日本をホワイト国から除外して軍事協定も考慮すると言いだしました。 そうなると日本からすればもはや危険国。 禁輸になりそうですよね。
    メーカーは海外に生産拠点を移すのでしょうか? 
    それにしても韓国はいつまで第二次世界大戦のことを言っているのか。 
    朝鮮半島を日本は戦地にしていません。 それどころか開拓してるし整備もしてる。
    中国には戦地があちこちにあります。 その中国も今や大きな経済圏で力を持ったので南京虐殺はたまに言うけどその他のことは触れないようにしていますよね。
    前に韓国であった事件ですが、80代の男性が酒場で自分の人生で一番良かったのは日帝統治時代。と言ったのを聞いた反日の30くらいの人がその人を撲殺した事件がありました。 愛国無罪ということで無罪になっています。 日本では愛国なんかじゃないと非難していました。 そりゃあ当然ですよね。 統治時代も朝鮮半島内乱もその後の軍事政権下密告時代も知らないしベトナム戦争にも行ってない30の若者にわかるわけがない。
    80の人はすべてを経験した結果その人の人生の中で幸せだったと言っただけなんですから。 
    そんな時代遅れの考えの若者が次の政治家になるかもしれませんよね。
    日本は令和になったことだし、ゴールポストを動かしてばかりで埒が明かない韓国にけりをつけようとしているのかもしれませんね。 たとえメーカーが窮地に立ち税収が減ったとしても!
    長文失礼しました(^^ゞ

  • とくにきのうホワイト国から外したから、いまの韓国政府にとって敵といえば日本になるでしょうね。
    甘利議員が言ってましたが、日本は静観していればいいですよ。感情的になるとこっちも疲れますから。

  • 昨日の文大統領の発言でも「加害者である日本が盗人猛々しく・・・」という発言がありましたね。
    日本は加害者だから、韓国の要求には全て応えなくてはならないという妄想は、いい加減捨ててほしいですね。
    どんな話し合いも合意も協定も、時間と労力の無駄にしかなりません。

  • 「他国製品を買うようにするだろうから日本のメーカーサイドも困ることになる。」という意見は韓国メディアでよく見ますけど、同時に韓国メーカーの話で替えがきかない素材が多くて現実にはむずかしいという意見も紹介されています。メーカーは海外に生産拠点を移す、というのもそう簡単にはいかないでしょう。
    それは不安をあおるだけの無責任な「なるなる論」だと思います。

    80代の男性の件というのはこれですかね?

    95歳男「日本統治よかった」発言で殴り殺される 韓国ネットでは「死んで当然」「正義の審判だ」

    ひどい話です。
    日本に併合される前、朝鮮時代と比べて日本時代はよかったという朝鮮人の人はたくさんいました。
    この人もそう言いたかったかもしれません。
    日本のメーカーは韓国から別の企業に取引先をかえて、結局韓国企業が困ることになると思います。
    世耕経済産業相も日本企業への影響はほとんどないと断言してましたし。

  • 国民受けしか考えてないですね。
    日本を加害者にすれば、国民の敵意を日本に向けることが簡単にできます。
    輸出管理への現実的な対応策はないですから、国民の怒りを日本に向けて、日本を動かすしかないんじゃないですかね?

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。