【文大統領が尊敬する金九】韓国の歴史認識・対日感情の原点

 

「反日大統領」と呼ばれる韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領には、その思想や行動に深く共感し、心から尊敬する人物がいる。

産経新聞の記事(2019.2.26)

文氏は26日の閣議を、最も尊敬する人物という独立活動家、金九(キム・グ)の記念館で特別に招集し、その意義を強調した。

変わらぬ過去志向の文在寅大統領 独立運動称賛

朝鮮の独立運動家で政治家の金九は、文大統領にはきっと心の師と言うべき人。
16代大統領の盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏も金九を尊敬していた。

 

金九

 

金九は日本統治時代、上海の大韓民国臨時政府の主席を務めていた。
戦後アメリカはこの臨時政府を正式な亡命政府として認めなかったから、金九は韓国の初代大統領にはなれなかったけど、そうなってもおかしくない大物政治家だ。

金九の独立運動家の原点は、鴟河浦事件(チハポじけん)にある。
韓国が日本に併合される前の1896年、朝鮮半島の鴟河浦というところで、金九らが土田譲亮という日本人を集団で暴行して殺害し、金品を奪って逃走。
その後、金九は強盗殺人犯として死刑判決を受けたものの、脱獄に成功した。
独立運動家・金九はこうして誕生した。

日韓では価値観も立場も違うから、同じ人物でも評価が正反対になる。
伊藤博文を暗殺した安重根は日本ではテロリストだけど、韓国では国民的英雄だ。
韓国の大統領から尊敬される金九も同じように、日本人の暗殺やテロ行為の指導的な役割を果たしていた。

満州の朴喜光と通じ親日派暗殺、主要公館破壊などを指揮し、韓人愛国団を組織して李奉昌の桜田門事件、尹奉吉の上海天長節爆弾事件を指示した。

金 九

 

李奉昌(イ・ボンチャン)は昭和天皇を暗殺しようとしたテロリスト(義士)。
尹奉吉(ユン・ボンギル)は、複数の日本人を殺傷した1932年(昭和7年)の爆弾テロ事件、上海天長節爆弾事件を起こした人物。

 

テロ決行3日前に撮影された尹奉吉(ユン・ボンギル)

 

韓国では統治時代の日本は絶対悪だから、暗殺でも爆殺でも、どんな行為でも日本にダメージを与えれば義挙として正義のおこないになる。当然、それをした人物は義士だ。
このへんの価値観は日本と韓国では超絶正反対だけど、どちらかに一致させるのは絶対に無理。
なんせ相手は警察庁舎のロビーに、金九の胸像を設置するような国なのだから。

朝鮮日報の記事(2019/08/13)

12日、ソウル市西大門区の警察庁で開かれた白凡・金九(キム・グ)の胸像の除幕式に出席したミン・ガプリョン警察庁長(左から2人目)と警察関係者が挙手の敬礼をしている様子。

金九の胸像、警察庁舎ロビーに

 

金九を敬愛する文大統領は2018年8月15日のスピーチでこう話した。
*訳はコリアン・ポリティクス(The Korean Politics)のもの

わが国民の独立運動は
世界のどの国よりも熾烈でした。
光復は決して外から与えられたものではありません。
先烈たちが死を恐れず共に闘い勝ち取った結果でした。

第73周年光復節慶祝辞

 

国民感情的にはこれで正しいのだけど、歴史的にはこれは事実ではない。
韓国の光復(日本の支配からの解放)は、2発の原子爆弾によって日本が米軍に降伏した結果だ。
日本が戦って負けたのはアメリカであって、韓国とは戦ってもいない。
でもそれは韓国国民の情緒には合っていないから、スピーチで言う内容ではない。

でも文大統領が言ったことは、代表的な先烈の金九と正反対だ。

日本がポツダム宣言を受諾したとき、金九はこう嘆いた。

金九、暗殺の神様といわれ、植民地時代に、独立を求める人びとの希望の星として、尊敬を一心に集めていた人物である。彼は、日本降伏の報に接したとき、天を仰いで長嘆息した。

―韓国軍は、日本軍をうち破ることは一度もできなかった。わたしは、日本軍を撃滅してわが同胞を解放したかった。最後まで、日本軍に制圧されたままの解放なんて、結局、何にもなるまい。
(中略)自力で日帝から解放することもできなかったわが同胞に、とてもそんな力があるとは思えない。

この金九の嘆き。ここに韓国人の対日感情の原点がある。

「韓国の悲劇 小室直樹(カッパ・ビジネス)」

 

韓国の高校歴史教科書も、「自力で日帝から解放することもできなかった」と同じことが書いてある。

しかし、1945年8月15日、日本の無条件降伏によって、韓国光復軍はその年9月に実行しようと準備中だった国内進入計画を実現できずに光復を迎えたのである。

「韓国の歴史 (明石書店)」

日本と戦う前に独立が転がりこんできた。

 

「韓国軍は、日本軍をうち破ることは一度もできなかった。わたしは、日本軍を撃滅してわが同胞を解放したかった。」
「自力で日帝から解放することもできなかった」

評論家の小室直樹氏はこの金九の嘆きを「韓国人の対日感情の原点」と指摘した。
でもその74年後、「光復は決して外から与えられたものではありません。先烈たちが死を恐れず共に闘い勝ち取った結果でした。」と大統領がまったくちがうことを言っている。
しかも金九を誰より尊敬するという大統領が。
ちなみに文大統領は2019年8月15日の演説でも、「金九先生が願っていた文化国家の夢もかなえつつある」と言っている。
金九に心酔しているらしい。

実際の歴史では、韓国は日本と戦って祖国を解放することができなかったけど、現在の韓国の歴史認識では、独立は「先烈たちが死を恐れず闘い勝ち取った結果」になっている。
これは李奉昌(イ・ボンチャン)や尹奉吉(ユン・ボンギル)らによる義挙(テロ行為)のことを言っているのだろう。
それを精神勝利と言うのだけど、でも、もう韓国はこの認識を変えることはできない。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。