はじめの一言
*昭和の日本人が、西洋の影響を強く受けていたことについて
「日本人の眼は今極めて強く西方に向けられているがゆえに、それだけ強く日本人に自国に対する観念が、西欧の批判によって影響されているのである。そしてこの影響の害毒が流す危険はすこぶる大きい(ブルーノ・タウト 昭和)」
「ニッポン (講談社学術文庫)」
今回の内容
・韓国人にとって新羅はどんな国?
・新羅は”日本人の統治する国”
・日本と新羅の関係は?
・韓国人にとって新羅はどんな国?
前回、日本では「王家の血を重視している」ということについて書いた。
それは韓国でも同じ。
「王家の血」をとても大事にしている。
韓国旅行が好きな人なら、新羅ホテルや新羅免税店を耳にしたことがあると思う。
静岡には、新羅という店名の焼き肉屋がある。
韓国人にとって、「新羅(シンラ、しらぎ)」は特別な国。
新羅の都だった慶州は京都のようなところで、韓国を代表的する観光地になっている。
韓国の中学生用の歴史教科書を見れば、新羅が重要視される理由がわかる。
わが民族がなし遂げた最初の統一であり、新しい民族文化をつくり上げる重要なきっかけとなった
「韓国の中学校歴史教科書 (明石書店)」
この当時の朝鮮半島には、百済・高句麗・新羅の三国があった。
7世紀に、新羅がその三国を統一する。
新羅は韓国の歴史上、初となる統一国家となった。
「初の統一国家は重要視される」という見方は他の国も同じ。
中国人は中国史上、初となる統一国家の秦と皇帝・始皇帝を特別視する。
インド人も同じ理由で、マウリヤ朝のアショーカ王を尊敬する。
というわけで、韓国人は新羅を重要視していて誇りにも思っている。
・新羅は”日本人の統治する国”
そんな韓国人が聞いたら、きっと驚くことがある。
実は、「新羅は、日本人が統治する国だった」という説があるのだ。
そのことを書く前に、「倭種」と「倭人」を知っておこう。
「倭(わ)」とは、日本の昔の国名。
卑弥呼がいた時代、日本は「倭」と呼ばれていた。
その倭(日本)にいた人たちが、「倭人」になる。
「倭種」は生活していた場所が違うけれど、民族としては倭人(民族)と同じ。
『三国志』は、倭国の支配圏外の倭人を「倭種」と表現している。それに従えば、脱解は倭人ではなく、倭種だったのだ。ただ、倭種と倭人が民族的に違うわけではない。
「日韓がタブーにする半島の歴史 (室谷 克実)」
住んでいた場所がちがうだけ。
「倭種=倭人」で、両方とも日本人になる。
そのことをふまえて、この文を読んでほしい。
『三国史記』によると、新羅建国時より日本による新羅への軍事的な侵攻が度々記述されている。
多くの場合日本側が勝利を収め、新羅側は食料・金銭・一部領土等を日本に割譲した。また新羅建国の王族の昔氏や朴氏も倭人とされる。また、新羅の重鎮には倭人も登用されていたとされる。「ウィキペディア」
韓国人としては、たぶんここで「おい、ちょっと待て」となる。
韓国ではふつう「古代の日本は後進国で、新羅より格下の国」と考えられているから。
この認識と「多くの場合日本側が勝利を収め、新羅側は食料・金銭・一部領土等を日本に割譲した」の文は矛盾している。
韓国人からしたら、「この記述はおかしい!」となるだろう。
でも、日本人にはこの文に注目してほい。
「新羅建国の王族の昔氏や朴氏も倭人とされる。また、新羅の重鎮には倭人も登用されていたとされる」
つまり、新羅の支配者(王族)の中に「倭人(日本人)」がいたということ。
このことを、もう少し詳しくみていこう。
「脱解(だっかい)」とは、新羅の4代目国王のこと。
つまり新羅とは、二代王の前半の時代から、既に脱解が大輔として国政・軍事を司っていた。
即ち倭種が実権を握っていたー「新羅本紀」を‘素直に’読めば、そういうことになる。「日韓がタブーにする半島の歴史 (室谷 克実)」
「大輔」というのは、「だいすけ」ではない。
新羅にあった地位のこと。
どれぐらい重要な身分かは分からないけど、新羅の支配者層にいることは間違いない。
さらにこの本では、「新羅の王とナンバー2が日本人(倭種・倭人)だった」と書いてある。
脱解による瓢公の大輔起用の結果、出来上がった体制は、王は倭種、ナンバー2は倭人となった。これは「倭種・倭人の統治する国」に他ならない。新羅に《倭・倭体制》が出来上がったのだ。
「日韓がタブーにする半島の歴史 (室谷 克実)」
この著者は、「瓢公(ここう)」という人物は倭人(日本人)だったという。
ウィキペディアにもそう書いてある。
瓠公(ここう、生没年不詳)は、新羅の建国時(紀元前後)に諸王に仕えた重臣。
また金氏王統の始祖となる金閼智を発見する。もとは倭人とされる。
「王は倭種、ナンバー2は倭人となった」ということから、著者は、新羅は「日本人の統治する国に他ならない」としている。
「新羅は、日本人が統治する国だった」
個人的に、それまで「新羅は新羅人(韓国人)の国だ」と思っていたから、これには驚いた。
でも、「新羅は日本人が統治する国」というのは、今の時点は「こういう説もある」というぐらいに思ったほうがいい。
まだ歴史の定説として確定してはいないと思う。
韓国人がこれを聞いたら、どう思うか?
「そんなバカな」と拒否反応をしめすはず。
「新羅はずっと新羅人(韓民族)が支配していた国」と「王家の血」を重要視しているから。
このへんは、韓国人としては受け入れられない部分だろう。
新羅の都だった慶州のお寺
静かで良い雰囲気
・日本と新羅の関係は?
「新羅は日本人が統治する国だった」ということはハッキリ分からないけど、6世紀末の日本人が「日本は新羅より上」と考えていたことはたしかだ。
「詳細 日本史研究(山川出版)」にはこう書いてある。
新羅を従属国として扱おうとする日本との間で時に緊張が生じた
従属国(じゅうぞくこく)といったら家来も同然だから、日本人からそう思われた新羅は大反発。
だから、日本と新羅の関係はうまくいってはいなかった。
この見方には、現代の韓国人も反発するだろう。
でも、当時の日本人がこう考えていたことは事実だから仕方ない。
こうみていくと、英仏では「血」というものを重視していないけど、日韓ではとても重要視されていることが分かる。
この点で、日韓関係と英仏関係は大きくちがう。
以前、記事で「イギリスの国王はフランス人だった」「現在のイギリス王室の最初の王はドイツ出身だった」ということを紹介した。
ヨーロッパでそれは当たり前のことで、誰も気にしない。
「血の違い(純血)を重視しない」ということは、イギリス人とフランス人が互いに親近感をもっているということだろう。
日本人と韓国人は、「王家の血」というものを重視する。
だから、イギリス人とフランス人のような親近感はない。
そういう点からも、「英仏は仲が悪い」といって大したことではない。
兄弟げんかのようなもので、日韓ほど深刻ではない。
こちらの記事もいかがですか?
もともと半島南部は日本人の系統が住んでいたので不思議ではありません。
「新撰姓氏録」によると神武天皇の兄である稲氷命が新羅の祖(朴氏の始祖で初代王の赫居世居西干)
「三国史記」によると新羅の建国時に諸王に仕えた重臣である瓠公は日本人(倭人)
「三国遺事」によると「朴」は辰韓の語で瓠を意味する(朴氏の始祖である赫居世居西干と瓠公は同族とする説がある)
「古事記」「日本書紀」によると赫居世居西干の次男アメノヒボコが日本の但馬国に移住
「三国史記」によると昔氏の始祖で第4代王の脱解尼師今は日本人(多婆那国の出身。多婆那国の場所は日本の但馬あたりという見方がある)
「三国史記」によると新羅三王家の一つ金氏の始祖である金閼智を発掘したのは瓠公(朴氏昔氏瓠公も全て日本人なので金氏も…)
詳細な情報をありがとうございます!
「新撰姓氏録」なんて初めて知りました。
古代の朝鮮半島にいた日本人に興味があるので、ぜひ、うかがいたいことがあります。
・「三国史記」によると新羅の建国時に諸王に仕えた重臣である瓠公は日本人(倭人)
瓠公は倭人ではなくて「倭種」だったと記憶してますが、「倭人」でいいのですか?
・朴氏昔氏瓠公も全て日本人なので
「朴氏のルーツは日本人かも」ということで、前に「朴槿恵大統領の先祖は日本人だった?」という記事を書いたことがあります。
朴氏が日本人だというのは、断定しても大丈夫なんでしょうか?
三国史記は記述があいまいで難しいと聞いたのですが。
ご存知でしたら、教えてください。
> 瓠公は倭人ではなくて「倭種」だったと記憶してますが、「倭人」でいいのですか?
狭義では「倭人=倭国人」ですからね。
出身国が判らない場合は倭種と言ったほうが良いのかも知れませんが、
半島人から見れば、倭国人も多婆那国人も大差ないので倭人で問題ないのでしょう。
> 朴氏が日本人だというのは、断定しても大丈夫なんでしょうか?
状況証拠的に考えて朴氏だけが日本人では無いと言うのは無理があると思います。
なお現在の韓国人は、北方系の民族がかなり流入しているので新羅人の血はかなり薄まってます。
また韓国は5大姓(金、李、朴、崔、鄭)だけで人口の54%になります。
もともとは王族や両班たちの由緒ある姓だったのですが、
1909年の民籍法の施行により誰もが姓を持てるようになり、
これらの姓に人気が集中してしまったのです。
だから5大姓には賎民出身が多いのです。
なので朴と名乗っていても先祖が日本人とは断定できません。
> この当時、朝鮮半島には、百済・高句麗・新羅の3つの国があった。
高句麗は朝鮮半島の歴史と言えますが、
民族的には満州族の歴史になるので
満州族を吸収合併した中国は、
高句麗、渤海は中国の地方政権に過ぎないと主張しています。
コメントありがとうございます。
そうですね。確かに、視点をどこに置くかで見方が決まってきます。
韓国から見たら、「倭種」も「倭人」も大差はありませんね。
姓についても、実際の先祖の姓と一致しているかはあやしいですね。
友人の韓国人も「朝鮮戦争で族譜がなくなったから、戦後新しい族譜を
つくったときに、由緒ある一族に変えてしまった人も多い」と話していました。
今の朴氏も「朝鮮戦争後に生まれた朴氏」も多いのでしょうね。
高句麗については、ボクも「朝鮮の歴史」と習いました。
でも、ボクが会った多くの中国人は「中国の地方史」と、とらえていて高句麗人を「中国の少数民族」
と認識していました。
韓国で問題になっている「東北工程」ですけど。
まあ、どっちが正しいかはボクには分かりませんけどね。
それにしても、すばらしい知識で感服しました。
いろいろ考える良いきっかけにもなりました。
また、何かお気がつきのことがありましたら、コメントください。
西洋もかなり血筋重視してますよ。
王家の血筋をあまりにも重要視していたため兄弟婚、親近婚を繰り返し、そのため精神病を患てましたから。
もちろん西洋でも、王位継承では血筋を重視します。
ただ、日本ほど純血にこだわりません。
どちらがいいという話ではないですけどね。
日本の天皇が韓国系かもしれませんよ
こういうこと書くのはどうかな
島国にいきなり人間が産まれるわけないし、韓国の血をひいた日本人だらけ。
それを言ったら人類のルーツはアフリカの猿でしょうね。
猿と人類の共通祖先は猿ではありません。あくまでも猿に似た生物です。生物学的には結構大事な違いなので、覚えておいて頂けると幸いです。
いま調べてみあたら人間の先祖は猿ではなくて、、200万年~300万年前のアフリカにいたアウストラロピテクス・アファレンシスという人類だそうですね。
覚えておきます。
いや、日本人の祖先は別に韓国人だけではないです。海洋系、大陸系、果てはアラブ、ユダヤまであらゆる部族民族がより集まり先住民と共にヤマトを建国しました。