慰安婦問題の真実:韓国と東南アジア、日本観や歴史認識の違い

 

いまでは韓国全土に100体以上ある慰安婦像。
韓国では「平和の少女像」と呼ばれるこの第1号は、2011年12月に日本国大使館前に建てられたものだった。

同大使館前では、元慰安婦に対する日本国政府の謝罪と賠償を求める、毎週水曜日のデモ活動(水曜デモ)が1992年から毎週開催されており、その1000回目を記念して設置された。

慰安婦像・ソウル日本国大使館前

 

このあとアメリカやオーストラリアなど海外にもこの像が広がったのはご存じの通り。
そして日本や現地の人たちともめごとを起こしたのも周知の事実。

日本の抵抗があって、いまでは海外で慰安婦像を建てることがむずかしくなっている。
でも国内では、すでに全国の自治体や学校に設置されているからもう飽和状態だ。

そんな背景があってのことだろうけど、このたび首都ソウルに「実物大」の慰安婦像が登場した。
数の次は大きさか?
この像についてはどっちも正解で、韓中比の少女が手を取り合って立ち、それを慰安婦の女性が見つめるという構図になっている。

朝鮮日報の記事(2019年7月29日)

像は1991年に慰安婦被害の事実を初めて公に証言した故・金学順(キム・ハクスン)さんが韓国・中国・フィリピンの少女を見つめる姿を実物大で表現した。

南山に実物大の慰安婦像設置へ

 

この4体の像が設置された場所は「南山」という有名観光地で、多くの外国人が訪れるところ。
記事でも「観光客が頻繁に行き来する道だ」と強調している。
外国人には韓国の主張、日本人には反省を訴えようとしているらしい。
日本の朝鮮統治を知っている人ならこの時代、南山には「朝鮮神宮」があったことを知っているだろう。
だからここなのだ。
南山に慰安婦像を建てる意義をソウル市の関係者がこう語る。

「日本帝国主義を象徴する空間があった場所に像を立てて、日本帝国主義の犠牲になった方々の魂をいたわり、侮辱をそそぐ空間にしようという意図だ」

首都の公務員がこう語るのが韓国という国。
東京都職員が公の場でこんなことを言うのは考えられない。
日本と韓国では、正義とつつしみの基準が根本的に違うのだ。

 

「日本帝国主義」を象徴する空間だった南山はいま、「反日」を象徴する空間になりつつある。
元ソウル市長で大統領の李明博氏は、この場所でこんな教育をしようと考えていた。

ソウル南山に建設されるユースホステルに日本の修学旅行生を誘致して竹島(韓国名・独島)領有権や日帝(いわゆる「日本帝国主義」の韓国での呼称)の残虐性について学習する機会を設ける計画を考案。

李明博・対日姿勢

日本の首相には100%ない発想。

 

 

「消せば増える」というのはネットの法則で、「建てると真実が遠のく」というのが慰安婦像。
「韓国・中国・フィリピンの少女を見つめる姿を実物大で表現した」というけど、10代前半の少女が慰安婦にされたということはいまだに確認されていない。
頭に描いたことを事実と言ってはいけないし、真実を創作してもいけない。
でも像をつくって設置すると、知識のない外国人が見たら「これが日本軍のしたことか!」ときっとかん違いする。

では、日本軍が実際にしたことはなにか?
慰安婦問題の真実とはなにか?

それを語るには信頼できる資料にもとづくしかない。
歴史でいうなら一次資料だ。
慰安婦問題の一次資料なら、米軍が作成した「Report No. 49: Japanese Prisoners of War Interrogation on Prostitution(日本人戦争捕虜尋問レポート No.49)」がある。

そこで実際にあったことは現在の韓国が主張することと大きく違う。

They lived well because their food and material was not heavily rationed and they had plenty of money with which to purchase desired articles.

 

ビルマ(ミャンマー)にいた慰安婦はたくさんのお金(plenty of money)を持っていて、服・靴・タバコそれに化粧品など好きなものを買うことができた。生活状態は良好だったという。

くわしいことはこの記事をどうぞ。

韓国が伝えない慰安婦の”真実”、実際はどんな生活だったのか?

といっても、「だから慰安婦は楽しく幸せに生活していた」ということでは決してない。
安倍首相が心からのお詫びを表明したように、これからは慰安婦という存在を必要としない世の中をつくっていかないといけない。

 

ソウル市の職員は慰安婦像の設置を「侮辱をそそぐ空間にしようという意図だ」と説明した。
慰安婦像に侮辱という言葉が加わると、フィリピンのドゥテルテ大統領がきょねん記者会見で言った言葉を思い出す。
産経新聞の記事(2018.5.2)

像の建立や撤去は関知しないとした上で「日本の償いは何年も前に始まった。侮辱するのはもうやめよう」などと述べ、公共の場への設置に反対する考えを示した。

比慰安婦像撤去 ドゥテルテ大統領が関係団体説得 事前に日本に約束

 

韓国では像を建てることで侮辱をそそぐ。
でもフィリピンでは侮辱しないために像の設置を認めない。
韓国とは正反対だ。
過去を過去として認識して、政治観問題にしない。
この態度はほかの東南アジア諸国でも共通している。
過去を現在に持ち出し政治問題化し、「道徳的優位」に立って日本に謝罪や賠償を求める国は東南アジアにはない。
個人的にタイ人、インドネシア人、マレーシア人、ベトナム人と付き合いがある。
彼らは日本が好きだし、話をしていて「70年以上まえのことをいま問題にする」という発想がまるでない。
だから日本とアジアはとてもうまくいっている。

 

日本の支援に感謝の気持ちを込めて命名されたカンボジアの「キズナ橋」

紙幣のデザインにもなっている。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

国 「目次」 ①

韓国 「目次」 ②

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近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

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2 件のコメント

  • 昨日ヤフーニュースに載っていました。 フィリピンでもフィリピン慰安婦像を建てようとしていたんだそうですが像が壊されて台座だけになっていたそうです。
    フィリピンは日米戦の戦地でたくさんの犠牲者を出しているので本当なら韓国よりも反日家が多い国のはず。 現在の日比関係で利益を得ている人たちが日韓関係のようにさせまいと機転をきかせたのかなぁと思ってます。 

  • そうなんですね。
    そういう動きはステレス的に行われているから油断できない。
    いまのフィリピン人でむかしの日本の行為に怒っている人はほとんどいません。
    どのフィリピン人に聞いてもそういいます。
    日本との政治トラブルを持ち込まないでほしいと思うでしょうね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。