慰安婦問題の真実:韓国と東南アジア、日本観や歴史認識の違い

 

いまでは韓国全土に100体以上ある慰安婦像。
韓国では「平和の少女像」と呼ばれるこの第1号は、2011年12月に登場した。
毎週水曜日に、日本政府に謝罪と賠償を求めるデモがおこなわれいて、その1000回目を記念して初めて日本大使館前に建てられた。

慰安婦像・ソウル日本国大使館前

韓国内では、すでに全国の自治体や学校に設置されていて、もう“飽和状態”だ。
それで海外へ進出し、アメリカやオーストラリアなど海外にもこの像が建てられ、日本や現地の人たちを巻き込んでさまざまな騒動を巻き起こした。
日本政府がこの動きに目を見張り、阻止しているから、いまでは海外で慰安婦像を建てることがむずかしくなっているらしい。

そんな背景があるためか、このたび首都ソウルに「実物大」の慰安婦像が登場したという。
数の次は大きさを求めたのか?
韓国・中国・フィリピンの少女が手を取り合って立ち、それを慰安婦の女性が見つめるという構図だ。

朝鮮日報の記事(2019年7月29日)

南山に実物大の慰安婦像設置へ

この4体の像が設置された場所は「南山」という有名観光地で、多くの外国人が訪れるところで、記事でも「観光客が頻繁に行き来する道だ」と強調されている。
外国人には韓国側の主張、日本人には反省を訴えているようだ。
日本の朝鮮統治を知っている人ならこの時代、南山には「朝鮮神宮」があったことを知っているだろう。
だからここなのだ。
南山に慰安婦像を建てる意義をソウル市の関係者がこう語る。

「日本帝国主義を象徴する空間があった場所に像を立てて、日本帝国主義の犠牲になった方々の魂をいたわり、侮辱をそそぐ空間にしようという意図だ」

日本だったら、東京都の職員が公の場で「侮辱をそそぐ」なんて言葉を使うことは考えられない。歴史認識について、日韓の価値観は根本的に違うことがわかる。

 

「日本帝国主義」を象徴する空間だった南山はいま、“反日”を象徴する空間になりつつある。
元ソウル市長で大統領も務めた李明博氏は、ここで次のような教育をしようと考えていた。

ソウル南山に建設されるユースホステルに日本の修学旅行生を誘致して竹島(韓国名・独島)領有権や日帝(いわゆる「日本帝国主義」の韓国での呼称)の残虐性について学習する機会を設ける計画を考案。

李明博・対日姿勢

 

日本の首相には、100%ない発想だ。

 

韓国側は、「韓国・中国・フィリピンの少女を見つめる姿を実物大で表現した」と語るけれど、10代前半の少女が慰安婦にされたということはまだ確認されていない。根拠が無いのだ。
しかし、知識のない外国人が像を見たら、「これが日本軍のしたことか!」と誤解する。像を設置することが、“根拠”となってしまうのだ。

 

では、日本軍が実際にしたことを確認していこう。
慰安婦の「真実」それを知るには、信頼できる資料、歴史なら一次資料を参考にすることが一番。
慰安婦問題の一次資料なら、米軍が作成した「Report No. 49: Japanese Prisoners of War Interrogation on Prostitution(日本人戦争捕虜尋問レポート No.49)」がある。

そこで実際にあったことは、現在の韓国が主張することと大きく違う。

They lived well because their food and material was not heavily rationed and they had plenty of money with which to purchase desired articles.

 

ビルマ(ミャンマー)にいた慰安婦はたくさんのお金(plenty of money)を持っていて、服・靴・タバコそれに化粧品など好きなものを買うことができた。生活状態は良好だったという。

くわしいことはこの記事をどうぞ。

韓国が伝えない慰安婦の”真実”、実際はどんな生活だったのか?

といっても、「だから慰安婦は楽しく幸せに生活していた」ということでは決してない。
安倍首相が心からのお詫びを表明したように、日本統治下の韓国で辛い思いをした女性がいたことについては、日本政府も道義的責任を認めている。

 

ソウル市の職員は慰安婦像の設置を「侮辱をそそぐ空間にしようという意図だ」と説明した。
これは、フィリピンで慰安婦像が建てられたことに対し、きょねんドゥテルテ大統領が記者会見で語ったこととまったく違う。

産経新聞の記事(2018.5.2)

像の建立や撤去は関知しないとした上で「日本の償いは何年も前に始まった。侮辱するのはもうやめよう」などと述べ、公共の場への設置に反対する考えを示した。

比慰安婦像撤去 ドゥテルテ大統領が関係団体説得 事前に日本に約束

 

韓国では、像を建てることで侮辱をそそぐことになる。しかし、フィリピンでは、それは日本に対する侮辱になるため、像の設置は認めないという。まさに正反対だ。

過去を過去として認識し、現在の政治問題にはしない。
この態度はほかの東南アジア諸国でも共通している。
個人的にタイ人、インドネシア人、マレーシア人、ベトナム人と付き合いがある。
彼らは日本が好きだし、「70年以上前の過去を蒸し返し、問題化する」という発想がまるでない。
「道徳的優位」に立って日本に謝罪や賠償を求める国は東南アジアにはない。だから、日本とアジアの関係はとても視界良好だ。

 

日本の支援に感謝の気持ちを込めて命名されたカンボジアの「キズナ橋」

 

紙幣のデザインにもなっている。

 

 

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近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

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2 件のコメント

  • 昨日ヤフーニュースに載っていました。 フィリピンでもフィリピン慰安婦像を建てようとしていたんだそうですが像が壊されて台座だけになっていたそうです。
    フィリピンは日米戦の戦地でたくさんの犠牲者を出しているので本当なら韓国よりも反日家が多い国のはず。 現在の日比関係で利益を得ている人たちが日韓関係のようにさせまいと機転をきかせたのかなぁと思ってます。 

  • そうなんですね。
    そういう動きはステレス的に行われているから油断できない。
    いまのフィリピン人でむかしの日本の行為に怒っている人はほとんどいません。
    どのフィリピン人に聞いてもそういいます。
    日本との政治トラブルを持ち込まないでほしいと思うでしょうね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。