韓国への過剰配慮:日本での国旗掲揚・国歌斉唱をどう思う?

 

いま韓国で、野球の18歳以下のワールドカップがおこなわれている。
戦後最悪といわれるいまの日韓関係をみて、日本高校野球連盟(高野連)はU-18日本代表選手に、「韓国の国民感情に配慮して、日本を前面に出すのはやめようと思っている」という理由で、日の丸と「JAPAN」のロゴを消した無地のシャツを着せることをきめた。
NHKはこれを「異例の対応」と伝える。

でも結果から見たらこの配慮は行き過ぎ。
選手のシャツはすぐに日の丸が入ったものに戻された。
ふり返ってみれば、これは多くの韓国人を不快にさせたし、得した人が見つからない。
誰のための、何のための配慮だったのか。
貝木泥舟ふうに言えば、この件から得るべき教訓は、相手が望まない配慮はありがた迷惑でしかない、ということだ。

いまは日本代表選手の活躍に話題が移っていて、この件はもう一件落着。
ただ、韓国への過剰配慮が原因で、かえって韓国の人たちを不快にしてしまったという例を身近で見たことがある。
それで今回のケースもそれと重なった。
これからそんな不必要な配慮について書いていこうと思う。

 

1990年代後半、学校の入学式や卒業式でおこなわれる国旗掲揚と国歌斉唱に対して、「まるで軍国主義のようだ」「いまの日本憲法の理念にふわしくない」と反対する人たちがいて学校現場は混乱していた。
当時、雑誌やテレビ番組でこの議論がさかんにおこなわれていて、国旗掲揚と国歌斉唱に反対する理由として、「韓国や中国の人たちへの配慮が必要だ」というものがあった。

いや、それって必要なことか?
この意見を耳にして、「日本の学校の卒業式で、日の丸や君が代をなくすことが韓国人や中国人にとって重大なことか?韓国・中国の人たちは本当にそんなことを希望しているのか?」という疑問をもった。

*上の「混乱」については、1999年にこんな痛ましいことがおきている。

当時の校長石川敏浩が自宅で自殺する事件が起こった。その前日までに同年度卒業式における君が代斉唱や日章旗掲揚の実施について同校教職員と揉めていたからである。

国旗・国歌に関する事件

 

それからおよそ10年後、3人の韓国人とご飯を食べる機会があったから、卒業式での国旗・国歌について聞いてみた。
まず彼らは日本でこんな騒ぎがあったことをまったく知らず、校長の自殺については「考えられない」と絶句。
そして「韓国の人たちに配慮するべき」と言う日本人とは逆のことを言う。

「日本の学校の卒業式で、国旗を掲げるのは当たり前のことじゃないですか」
「それは韓国とは関係ないです。日本が決めることですよ」
「普通の韓国人は日本の入学式や卒業式に関心ありません」

旭日旗だったら別の反応をしたと思うけど、日本の学校行事での国旗掲揚・国歌斉唱については全員一致で「問題ありません」。
反対派の理由を聞いたときに感じた疑問は正しかった。
これは過剰配慮で、韓国の人たちには関係ない。

3人の韓国人は国旗や国歌のことより、それをなくす理由に自分たちが利用されたことに不快感をもつ。
「韓国人への配慮」を主張する人もいたけど、実際には韓国人はそんな騒ぎを知らないし、国旗や国歌をなくすことも望んでもいない。
日本に過去の行いに対する反省や謝罪を求めていても、それはこんな形ではない。

反対派も「私が国旗掲揚に反対します」と言えばいいのに、「韓国の人たちが~」という言い方をするのはよくなかった。
自分たちの名前を勝手に使われて、日本での韓国の印象を悪くされたら韓国人も不快になるだろう。
自分が欲することを、相手も欲していると思い込んではいけない。
これはその反面教師だ。

こんなことがあったから、今回の高野連の対応は過剰配慮で、韓国の人たちは日本代表選手の日の丸なんて気にしないと思っていた。
韓国での反応を見ると「ありがた迷惑」という声が多い。

入・卒業式での騒ぎについては、先ほどの校長の自殺のあと「国旗及び国歌に関する法律」が成立したり、国旗に向かって起立して国歌を歌うことは校長の職務命令の範囲内と平成24年に最高裁が認めたこともあり、いまでは沈静化している。

 

 

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3 件のコメント

  • 旭日旗だったらって言うけど、それロンドンオリンピックのサッカー選手の言い訳から始まったもので、それ以前はなんの問題もなかったはずなんだがな。

  • まあ、昔の、共産党主導の代表組織の一つであった、日教組によるおかしな教育の考え方の典型例ですね。高野連の幹部は年寄りが占めているだけに、昭和前半期の風習から抜けられないのでしょう。彼らの主張の変なところは、よく「欧米ではこうしている」と引き合いに出すくせに、国旗・国歌の扱いや自国忠誠・愛国心の教育については、欧米の現状に触れることがないということです。私も子供の頃によく聞きましたよ。判断力が失われつつある高齢者の自分勝手なダブルスタンダードとしか思えない。

  • 学校現場での国旗国歌に反対する層はかなり高齢化しています。
    これはもう時間が解決してくれますよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。