まずはクエスチョン。
「genius」は天才という意味の英単語だけど、「generous」はどんな意味でしょう?
答えは「寛大な・気前のいい・思いやりのある」といった意味。
いい意味ばかりで、モテ男の条件になっている。
では続いて第二問。
日本は世界でどれだけ「generousな国」でしょう?
「The Spectator Index」のツイートを見るとかなりガッカリな結果だった。
Most generous countries, 2018
1. Indonesia
2. Australia
3. NZ4. US
6. UK
12. UAE
15. Canada
16. Nigeria
22. Germany
38. Israel
51. Saudi
68. Italy
72. France
91. Pakistan
110. Russia
114. Mexico
122. Brazil
124. India
128. Japan
131. Turkey
142. China(World Giving Index)
— The Spectator Index (@spectatorindex) September 7, 2019
自慢じゃないけど、日本は世界でわりと評判がいい。
最近も「世界で最も治安のいい都市ランキング」のナンバーワンに東京が選ばれたし、「世界で最も住みやすい都市」の4位は大阪で7位は東京だった。
こんな感じで、いい意味での世界ランキングで日本は上位にいることが多いから、すっかりそれに慣れてしまった。
だから、「generous」(寛容さ・思いやり)という人間性にかかわる調査で、日本が最下位グループに入っているというのは9月で一番の衝撃だ。
でもネットを見ると、多くの日本人がこの結果に納得していた。
・たしかに最近みんなキレやすいよね
・何に寛大なの?
・宗教が幅を利かす国で生きていける自信が無い
・なにされても遺憾しか言わない寛大さがあるやろ
・まあ都合の良いときだけ「絆」とか言って合唱しw内心は自己責任って思ってるような陰湿な国民性だしな
・このランキングにイチャモン付けた瞬間、不寛容である事を証明してしまうという罠
・優先席めぐって大喧嘩始まるってこんなやばい国は世界有数だろよ
・なぜか道路をのそのそ歩いてた亀を助けて
川まで連れてったことなら二度ほどあるんだけど。
いまだに竜宮城からお誘いがないな
「以前に比べて、近ごろの日本人は寛大さや思いやりを失っている」ということは先日のラジオ番組で、自動車学校で働いている人が言っていた。
生徒が路上運転をしていると、後ろからクラクションを鳴らされることがここ10年で増えたという。
個人的にも、日本は「generous」を失っているように見える。
だが待ってほしい。
このランキングに共感や反発をする前に、大事なことを確認しておこう。
自分が思う「寛容さ」とこの調査でいう「寛容さ」は同じものなのか?
このランキングはどんなデータをもとに出されたのか?
海外の世論調査をみるときは、上の2点をおさえたほうがいい。
でないと、壮大なかん違いになってしまうこともあるから。
まず「World Giving Index」(世界寄付指数)というのは、イギリスのチャリティー団体 (Charities Aid Foundation)とアメリカの世論調査企業ギャラップの調査によるものだ。
「世界で最も寛容な国ランキング」は、
・どれだけ人助けをしたか?
・宗教団体や慈善団体などにどれぐらい寄付をしたか?
・どれぐらいボランティア活動をおこなったか?
という点を数値化してランキングにしている。
「Most generous countries, 2018」という言葉を見て、想像したものと実際のものが違っていたら要注意。
上の3つは宗教に結びついていて、宗教の影響が強い国でポイントが高くなりやすいと思う。
だから、日本と中国がかなり低いというのは納得できる。
それに、「日本人は他人に冷たい」というのは昭和の時代も同じ。
【144カ国中142位】昔から他人に冷たい、関わりたくない日本人
「寛容さ」というあいまいな概念を数字に表して正確にランキング化するのはむずかしいから、こうした世論調査や世界での順位に一喜一憂しないほうがいい。
ちなみに「世界で最も頭の良いランキング」で日本はナンバーワンだ。
- Japan
- Switzerland
- China
- United States
- Netherlands
- Russia
- Belgium
- United Kingdom
- Canada
- South Korea
Smartest countries in the world.
これも「smart」の意味や調査方法を確認することが大事だけど、「generous」よりは信頼できると思う。
「寛容さ」「頭の良さ」などという抽象的な評価は、言語によって具体的な中身が異なります。概して、欧米人(あるいはもしかして日本人以外の全ての人々)が言う「寛容さ」や「頭の良さ」は、具体的な行動とか、ペーパーテストで評価できる点数的な能力を意味する傾向が強いみたいです。
本当にそんな尺度で、人間の心の持ちようとか頭の働きが正しく評価ができますかね? あまり気にすることはないんじゃないでしょうか。(そもそも「寛容さ≒思いやり」という前提があまり納得できない。)
ところで、「外国人からの評価を非常に気にする」度合いでは、もしかすると日本人が1位かも???
いや、「自分達のランキングが気になる」度合いでは、韓国人が1位かな?
で、改めてよく考えてみると、その2つの尺度も似ているようで微妙に異なりますね。
もともとあいまいな概念ですから、ランキングをどう理解するかは個人の自由です。
そのまま信じられなくても参考ぐらいにはなります。
外国人の目を気にするランキングなら、日本や韓国はかなり上位でしょうね。