【日本への強烈な敵対感情】ソウル・釜山で戦犯条例が成立

 

韓国でいま「反日種族主義」という本が異例のベストセラーとなっている。
「異例」というのは、この本は慰安婦の強制連行や性奴隷説といった韓国での定説を否定しているから。
もともとこれらの説には根拠がないから、日本ではずっと前に否定されていた。
でも韓国でそれを言うのは自殺行為。
それでもこの本を書いた動機を、主著者であるソウル大学のイ・ヨンフン元教授がFNNのプライムニュース(9/11)でこう話している。

「韓国人は日本に対して強烈な敵対感情を持っている。それは歴史的に受け継いだのだ」

「私たちの未来を遮る反日感情が限界に到達したという危機感でこの本を書くことになった」

*くわしくはここを検索。

『反日種族主義』主著者が初めて語る…韓国の「絶対不変の敵対感情」

韓国人が「強烈な敵対感情」を持っていて、反日感情は「限界に到達した」という事例をこれから紹介しようと思う。

 

まずは先週、韓国の全国紙・朝鮮日報にこんな記事(2019/09/04)があった。

ソウル市「市議会の『日本戦犯企業製品不買』条例案に反対の立場」

韓国の政府機関が約300の日本企業を「戦犯企業」に指定している。
それでムン大統領と同じ与党「共に民主党」のホン議員が、「日本の戦犯企業製品ボイコットを促すソウル市議会条例案」を提出した。
韓国のいう「日本の戦犯企業」は戦犯ではない。
合理的な根拠はないけど、「反日気分」でこう呼んでいるだけ。

首都ソウルの議員が悪意のレッテルを貼って、日本企業の製品を購入しないようボイコットをうながす。
隣人を選べないこの不幸。
東京都議がこんな条例を提出したら、「政治が嫌韓をあおるな!」と大騒ぎになる。

でも、「条例案に反対の立場」とあるように、特定の企業を排除するのは違法の可能性が高いため、ソウル市は反対していたのだ。

市はまず、国際入札を行う時、日本の戦犯企業だという理由で入札資格を制限することは地方契約法違反の可能性が高いと結論付けた。戦犯企業の範囲が株式所有や吸収・合併企業にまで含まれれば韓国の材料メーカーも入ることになり、入札資格が制限される状況が発生すれば地方自治法に違反する可能性もあるとしている。

 

例え違法でも、この条例案は市民感情には合っている。
だから市も全否定はできず、「立法趣旨には共感する」と述べている。
これを言わないと韓国社会で生きていけない。

この条例は法律違反濃厚で、成立したら韓日関係の悪化は避けられない。
そうなるといろいろ面倒くさいから、韓国の外交部(外務省)も条例案制定には否定的でこの動きを懸念していた。

 

でも、「韓国人は日本に対して強烈な敵対感情を持っている」という言葉は真理だったらしい。
条例案はすぐに通ってしまった。しかも満場一致で。

朝鮮日報の記事(2019/09/07)

同条例案は(中略)戦犯企業284社(株式保有、吸収・合併なども含む)で作られた製品を、ソウル市やソウル市教育庁が購入しないことや、こうした文化が形成されるよう市長や市教育監(教育委員会に相当する教育庁のトップ)が努力しなければならないと規定している。

「日本戦犯企業製品購入制限」条例案、ソウル・釜山市議会可決

 

違法性が高い(まず間違いなく違法)にもかかわらず、釜山市でも同じような条例が成立した。
釜山といえば韓国第2の都市だから、東京と大阪で、韓国製品のボイコットをうながす条例ができたようなものだ。

釜山市の場合はこれに加えて、戦犯企業の製品とわかった物には「戦犯企業ステッカー」を貼ることになった。
このことで市は「釜山市民の正しい歴史認識の確立に貢献する」と言うから、もう話し合いは不可能。

 

他と区別するためにステッカーを貼る、という発想で思い出したことがある。
これはかなりの飛躍があるけど、歴史の知識としておぼえておく価値があるから、ここで紹介したい。
第二次世界大戦のさいちゅう、ナチス=ドイツがユダヤ人とそれ以外の人間を区別するため、ユダヤ人には「イエロー・バッジ」をつけさせていた。

 

 

イエロー・バッジについてくわしいことはここをどうぞ。

After the German invasion of Poland in 1939 there were initially different local decrees requiring Jews to wear a distinctive sign under the General Government.

Yellow badge・Nazi Germany and Axis Powers

 

これはホロコースト(ユダヤ人虐殺)につながったものだから「戦犯企業ステッカー」とは次元がちがうけど、敵意をもって印をつけるという発想には共通するところがある。

 

イエロー・バッジ(星のバッジ)をつけたユダヤ人が連行されている。(1944年10月)

 

話を現代の韓国に戻す。
釜山の暴走はこれだけではない。
市議会は別の条例を一部改正して、「歴史的事件を記念するための像」に認められた造形物は路上設置を許可することにした。
これによって、いままで違法状態にあった日本総領事館前の慰安婦像が合法化される見通しだ。
先に違法行為をして、あとから法を変えて合法にさせる。
近代国家ではそれをデタラメというのだけど、この国では正義と呼ばれている。

 

首都ソウルや釜山のような大都市が特定の国の製品のボイコットをうながすなんてことは、普通じゃありえない。
でも、「日本への強烈な敵対感情」が議会にも市民にあれば不可能が可能になる。
「戦犯企業ステッカーを貼る」という差別的行為も、「釜山市民の正しい歴史認識の確立に貢献する」と正当化されてしまうのだ。

いま韓国で起こっていることを見ると、「私たちの未来を遮る反日感情が限界に到達したという危機感でこの本を書くことになった」というイ・ヨンフン元ソウル大学教授の決意がよくわかる。
本当の意味で、「正しい歴史認識の確立に貢献する」のはこういう人だ。

 

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こちらの記事もどうぞ。

国 「目次」 ①

韓国 「目次」 ②

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近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

4 件のコメント

  • うーん、うーん、これは困った
    韓国嫌い、とか、日本より韓国の損益が大きい、とか威張っても、実際は日本にとっても大きな貿易相手国だし、互いに部品供給してるわけで…
    日本は倒れないにしても、韓国が倒れたら、日本も多大な影響を受けるわけで…
    何より、そんなステッカーを厳密に適用させたら、韓国製品全てが該当しちゃうよ
    韓国製品は製造過程と特許分野で必ず日本製品を通過してるよ
    うーん、韓国は何を考えてるんだろう
    てことで、「限界に到達した」わけですね
    このまま二国間鎖国になりそうですね
    韓国旅行に行きたいと言ってる妻と娘の希望は叶いそうにないです

  • 噂の曹国氏が「反吐が出る」と言った本ですね。
    こういう本が広まるのは今後の論争や議論を理性的、論理的に行う第一歩だとおもいますが、政府高官が特定の本を名指しでこんな風に誹謗する辺り、やっぱり韓国なんだな、と思います。

  • 日本製品の定義がむずかしいですよね。
    日本製の部品が入っている物や、日本企業だけど韓国の工場で韓国人がつくった物もふくまれるのか?
    韓国は何をやっているのかあ、という感じです。
    でもソウルと釜山がはじめたら、他の自治体にもこの動きが広がる予感がします。
    この記事で紹介した「反日種族主義」という本ですが、きょうの読売新聞に「反日批判本、韓国でヒット…日本を悪とみなす通説覆す」という記事がありました。
    一方的な思想ではなくて、根拠にもとづく歴史に関心が広がってくれることを期待してます。

  • 「反吐が出る」「売国」と非難して意見表示を封じ込める風潮は韓国にはあります。
    でも、事実にもとづかないものは事実ではありません。
    事実以外にもとづくものは歴史でもありません。
    この本が韓国社会にどんな影響をあたえるか楽しみです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。