明治~令和の日本人:来日外国人が驚く「清潔と礼儀」

 

日本を訪れる外国人は昔から「清潔」と「礼儀」というキーワードを口にする。
たとえば明治時代の日本に住んでいたアメリカ人モースはこう記した。

衣服の簡素、家庭の整理、周囲の清潔、自然及びすべての自然物に対する愛、あっさりして魅力に富む芸術、挙動の礼儀正しさ、・・・、これ等は恵まれた階級の人々ばかりでなく、最も貧しい人々持っている特質である

「逝し日の面影 (渡辺 京二) 平凡社」

 

昭和の日本を訪れたドイツ人の建築家ブルーノ・タウトはこうだ。

ヨーロッパ人が多く場合東洋という概念と結びつけて考えるような不潔さを持たぬ東洋的な情景を現出している。特に都会の内で、人々が各自の店先で道路を清掃し、絶えず水を打ち、なおその上、簾(すだれ)などで自動車の埃(ほこり)を防いでいるのは、実に驚嘆に値する

「逝し日の面影 平凡社」

 

清掃は他人への配慮や敬意を示すためにも行うから、清潔と礼儀の2つは深く結びついている。
これには神道の「常に清浄にしている」という価値観が日本人に影響をあたえてきたと思う。

 

ブルーノ・タウト

1933年(昭和8年)に来日して、その後3年半滞在した。
桂離宮を世界に広めたのはタウトと言われる。

日光東照宮に出かけて、その過剰な装飾を嫌ったタウトは日記に「建築の堕落だ」とまで書いて罵倒した。後にタウトが桂離宮や伊勢神宮を皇室芸術と呼んで持ち上げ、東照宮を将軍芸術と呼んで嫌悪する下地はこの時にできた。

ブルーノ・タウト ニッポン

 

さて、時は流れて令和の日本。
いまでも日本の「清潔」と「礼儀」に感動する外国人はたくさんいる。
ラグビーW杯のために来日したオーストラリアのラジオ局パーソナリティのジョーンズ氏は「日本から学ぶべきことが多い」と話す。

THE ANSWERの記事(2019/10/01)

ジョーンズ氏は「感銘的なテクノロジーはさておき、2つのことが個人的に際立っている。清潔さ、礼儀正しさです」と言い、親切さ、文化的な部分など「オーストラリア人が学ぶべきことは多い」と語ったという。

日本は「学ぶべきこと多い」と豪メディア感銘 元日本代表「住むべき最高の場所だ」

 

オーストラリア出身の元日本代表クレイグ氏も日本の美しさに触れて、「とてもモダンで、同時にかなり伝統的でもある。本当に住むべき最高の場所です。みんな行った方がいいです」と話したという。

 

外国人の感動は日本人にも伝播する。

 

日本人のスポーツ観戦といば、試合終了後の「お掃除」が有名だ。
サッカーW杯でもオリンピックでも、青いビニール袋を持ってスタジアムのゴミを拾う日本人の姿は各国のメディアに紹介されて世界的に賞賛を浴びた。
もちろん日本の選手も試合後にロッカーをピッカピカにする。

そんな姿がラグビーの各国代表チームにも影響をあたえた。

 

まあ、これはこれでとても素晴らしいことなのだけど、日本人サポーターや選手の掃除ではなくて、試合で世界を驚かせてほしい。
ラグビーW杯でアイルランドを撃破したような奇跡がいつか普通になるといいなあ。

 

カタールで行われた2019サッカー・アジア大会では、日本はロッカーを完璧に掃除したうえでアラビア語・日本語・英語のメッセージを残した。

素晴らしいことだけど、個人的にはそれより大会で優秀してほしかった。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。