母国に戻ったドイツ人、恋しいことは「日本のサービス」

 

ことし4月から半年間、日本の大学で勉強していたドイツ人が先月9月に帰国した。
このまえ彼とスカイプで話をしたから、今回はそのことを書いていこうと思う。
そのドイツ人がいま日本について恋しく思っているのは、きめ細やかなサービスだった。

日本のスーパーやコンビニでは店員の「いらっしゃいませ」のあいさつが当たり前だけど、ドイツの店はそうでない。
レジで「ありがとう」ぐらいは言うけど、店に入って来た客にあいさつをするかしないかは店員の気分しだい。
客もそんな接客態度に慣れているから特に気にしない。
「あいさつ・笑顔・お辞儀」という日本のサービス3点セットは、いまでは遠い思い出になってしまった。

*最近、ネットメディアの記事で、ヨーロッパでは店員にあいさつしないで店に入ると不審者と思われるから要注意!というのを見たけど、このドイツ人に言わせると「そんな話は聞いたことがない」。

 

母国に戻った外国人から、「日本のコンビニがなつかしい」と何度か聞いていたから、そのことをたずねてみた。

彼が住んでいるところ(バイエルン州のヒュッセン)にはコンビニがない。
近所のスーパーは8時で営業を終えるし、日曜日はキリスト教(カトリック)の安息日だから、その日はスーパーをはじめいろんな店が一日中閉まっている。
そんな環境で生まれ育ったから、24時間営業のコンビニが必要とは思わない。

家から一番近いところだと、オーストリアのガソリンスタンドに24時間開いている店がある。車を走らせれば15分でそこに行けるけど、面倒だから普通は行かない。
それにそこは、セブンイレブンやファミリーマートとは比較にならないほど品ぞろえがショボい。
日本のコンビニは店員のサービスや品ぞろえがすごいと思う。

 

東ヨーロッパにあるリトアニアでも、隣国のポーランドへ買い物に行く人は多い。
EUのヨーロッパ人にとっては、国境なんてただの県境でしかない。

 

ドイツ南部の都市・フュッセン

 

ドイツに戻ってよかったことは、大好きなシカ料理を食べられたこと。
日本でシカの肉は食べなかったし、このソースはきっと日本にはない。

でも日本のレストランのように、おしぼりは出てこなかった。
それに日本ならタダの水もドイツでは有料で、そのレストランでは1杯200円ぐらいする。
いま考えたら、おしぼりのサービスと水の飲み放題はすごくぜいたくだったと思う。

それとお金を払うとき、日本のレストランやコンビニならトレイを用意しているけど、ドイツのレストランや商店にはそんな気の利いたものはない。
あのトレイもかわいいデザインやおしゃれな形のものがあって、日本人は本当に細かいところまでよく考えると感心する。

 

サービスといえば、ドイツの高速鉄道(日本でいう新幹線)に乗ったときにこんなことがあった。
車掌が携帯電話で話しながら前から歩いてきて、私の隣でとまった思ったら、電話の相手に大声で怒鳴りはじめた。
日本の新幹線なら、スタッフは車内に入ると乗客に深々と頭を下げる。

家族と一緒に生活できるのはいいけど、日本のようなサービスを受けることはヨーロッパでは無理。
いまはまだ日本の感覚が残っていて、いろんなことで不愉快に感じることがあるけどそのうち慣れると思う。
日本にはまた行きたい。
というか絶対に行く。

 

 

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2 件のコメント

  • > ヨーロッパでは店員にあいさつしないで店に入ると不審者と思われるから要注意!

    この話は私も耳にしたことがあります。それも、ヨーロッパだけでなく、米国においても。
    が、その一方で、「そんな話は知らないな」という欧米人の見解も知っています。
    今から考えてみると、これは欧米白人による人種的・民族的な偏見の一端だと思わないでもないですね。
    ガタイの大きい黒人、無表情(=愛想の悪い)なアジア人は、時に怖がられ警戒されることもありますから。

  • そうなんですか。この話は広く知られていそうですね。
    友好的な態度を見せないと不審者と思われるというのは説得力があると思ったのですけど、たしかにこれは人種的偏見が入っているかもしれません。
    このドイツ人が住んでいるヒュッセンは南ドイツの地方都市で人種が入り混じったところではありません。
    そういうところではこんなことは必要ないのかな、とも思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。