「文学の神様」と呼ばれていた横光利一が1936年(昭和11年)にヨーロッパへ渡ったとき、ドイツのベルリンの街を歩いてこう感じた。
町の清潔であるのも清潔にせずにはいられぬからだ。ここから思うと、日本の市街はその汚さのために何という豊富な自由さがあることだろう。
「 欧洲紀行 (横光 利一)」
いま日本を訪れるヨーロッパ人の感想はこの逆。
大勢の人が行きかう都会でも路上にゴミがないことに感心して、ゴミ箱がなくて困る。
ただこの時代の日本人がドイツの街のキレイさに感心するのは分かるとしても、日本の不潔をなぜ誇るのか。
横光 利一(明治31年 – 昭和22年)
さっきも書いたけど、いまの日本は清潔な国、マナーのいい国として有名だ。
これは日本の教育の成果で、それは国際社会のいろんな場面で発揮される。
オリンピックやスポーツの国際大会では試合が終わると、日本人サポーターのお掃除タイムがはじまる。
青いポリ袋を持ってスタジアムのゴミを拾う姿は世界中のメディアに紹介されて、いまでは「日本の文化」として確立した。
2018年のサッカーW杯ロシア大会のときには、日本のファンが世界に印象付けて、イギリスのサッカージャーナリスト・マッキンタイヤ氏が「It’s not just part of the football culture but part of Japanese culture」と書いた。
くわしいことはBBCニュース(20 June 2018)をどうぞ。
World Cup: Japan fans impress by cleaning up stadium
でも国内では「掃除もいいけど、選手はまず試合に勝て」という声も多かった。
この日本文化は他の国にも広がって、セネガルやウルグアイのサポーターもスタジアムのゴミを拾っていて多くの海外メディアが賞賛した。
いま日本で開催されているラグビーW杯でもその精神は引き継がれている。
10月3日、アイルランドがロシアに35-0で完勝したあと、アイルランドのファンが立ち上がった。
アイルランドの緑色のジャージを着た人たちが会場に落ちているゴミを拾って空き袋に詰めていく。
イギリス・メディアはこれに拍手をおくる。
THE ANSWERの記事(2019/10/4)
一連の様子を英放送局「ITVラグビー」公式ツイッターが動画付きで公開。アイルランドファンが日本開催の2019ラグビーW杯の精神を受け継ぐ。勝利後、スタジアム清掃を手伝う」とファンに伝えていたが、大会公式ツイッター日本語版も「アイルランド代表のファンがスタンドのゴミ拾い Thank You!」と感謝を示した。
【ラグビーW杯】アイルランドファンもやっていた 勝利後の“客席ゴミ拾い”に反響「美しい光景!!」
100年前とは大違いだ。
いまの日本人なら、「日本の市街はその汚さのために何という豊富な自由さがあることだろう。」という考え方を「民度が低い」と否定するはず。
でも国内では、「そもそもゴミを捨てるな」という人が多かった。
もっともな意見だけど、それを外国人に要求するのは現実的ではない気がする。
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