【結果は知ってた】最悪の日韓関係がまったく改善しない理由

 

「ゲームは始まる前に決まっていたんだ」なんてセリフは漫画やアニメでよくある。
事前に勝つための用意を十分にしておけば、始まったときには終わっているのだ。
大事なことは正確な予想力と現実的な準備力で、手持ちの兵や武器の数だけに安心していると「そ、そんなバカな…」と悪役が目を丸くして絶句する。

 

さて、ここからは日本と韓国のはなし。
先日、韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相が来日して安倍首相と会談をおこなった。
その目的はただひとつ、「戦後最悪」といわれる日韓関係を改善させるため。

その数日前、韓国の国会議長・文喜相(ムン・ヒサン)氏がこれから韓日の間で、素晴らしいことが起きると予言していた。
くわしいことは中央日報の記事(2019.10.21)をどうぞ。

韓日議員連盟の姜昌一会長「日本の多くの人が李首相を信頼…画期的なことを予想」

アニメの展開で、「これでもう大丈夫だ。なあ、故郷に帰ったらオレと結婚してくれないか?」と言ったキャラクターは大体そのあと死んでしまう。
名前が名前だけに、国会議長のセリフも死亡フラグになりそうな予感はした。

安倍首相と李首相の会談結果はというと、日本の政権トップと韓国のナンバー2が直接会って話をしたということ以外には特に意味も前進もない。
この話し合いの前後で日韓関係はまったく変わっていないのだから。
会談の成果は「話をしたこと」だったというオチ。

でもこれは、始まる前から分かっていた。
いまの関係悪化の最大の原因は韓国の最高裁が日本企業に対して、元徴用工への賠償を命じる判決をくだしたことにある。
この問題は1965年の請求権協定で日韓両政府が、「完全かつ最終的に解決された」と確認していてすでに解決済みのもの。
日本は無償3億ドル、有償2億ドルの巨額の経済支援金をわたし、韓国側はそれを受け取ってこの問題はウィン・ウィンでジ・エンド。
その約束をいまになってひっくり返して、日本企業に賠償を命じることはあり得ない。
国家間の合意を国内法で一方的に否定することは国際法違反なのだけど、韓国政府はこの1年間、それを放置したまま。
韓国政府が動かないと、日本企業は早ければ年内にも資産を現金化されてしまう。

問題というのは、起こした側が解決しないといけない。
もし今回の会談で李首相が国際法違反の状態を打開する解決策を示していたら、会談後、安倍首相と笑顔で握手できたはずだけど、韓国側は一番大事なものを持ってこなかった。
それが事前に判明していたから、今回の会談で日韓関係は何も進展しないことは予想済み。

日本企業が賠償を払うという違法状態はそのままで、李首相はムン大統領の親書を持ってくる。
でも日本政府にとって大事なことは自国の企業を守ることだから、親書はいま必要ではない。
「安倍首相は親書に目をやりもしなかった」と東京新聞にある。
見当違いの誠意を見せるのはむしろ不誠実。

予想力と準備力という以前に、韓国は本気で関係改善を考えていないのではないか?
「日本の多くの人が李首相を信頼…画期的なことを予想」はやっぱりフラグだった。
「そ、そんなバカな…」と国会議長が言ったかどうかは知らないけど。

 

会談の内容もひどかった。
冒頭で安倍首相が韓国最高裁の判決について、「国際法を明確に違反しており、日韓関係の法的基盤を根本から覆している」、「韓国が国と国との約束を順守しなければならない」と李首相に言う。
(きっとこれがこの会談の最大の成果)。

それに対して李首相は答えた内容が中央日報の記事(2019.10.25)にある。

「日本がそうであるように、韓国も1965年韓日基本関係条約と請求権協定を尊重して順守してきており、今後もそのようにするだろう」と答えた。また「今までそうしてきたように、今回も韓日両国が知恵を集めて難関を克服していくことができると信じている」と話した。

日本、安倍-李洛淵会談3時間後に予定になかった記者会見「韓国と認識の違い」

 

日本企業に賠償責任を負わせた状態を日本は「約束違反」と非難しているのに、その状態を黙認したまま韓国側は約束を尊重して順守してきたとシレっとて言う。
李首相は安倍首相を前にして、“ウソをついた”と言っていい。
「これ以上聞いてられない。不毛…」と安倍首相が剣を抜かなったことに李首相は感謝すべきだ。

「今後もそのようにするだろう」というのが韓国側の見解なら、安倍首相とムン大統領のトップ会談はもう必要ない。
お互いが平行線というより、住んでる世界線が違うことを確認するだけだから。

最悪の日韓関係が改善しない理由は韓国側に責任はあるけど自覚がないことと、「そのうち日本はゆずるだろう」という甘い予想のもとに見当違いな準備をしているからだ。
一方的に問題を起こしておいて、「今回も韓日両国が知恵を集めて」という発想は都合がよすぎる。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

2 件のコメント

  • 自分達の側にボールがあることを、まずは自覚することですね。
    これまでと違って、もう、世界へ向けて大きな声を出せば自分たちの主張が認められるという、そんな時代じゃないですから。

  • 韓国の問題は韓国が解決するのが当然です。
    それを促すためにも日本は動かないことが大事ですね。
    「ともに知恵を出し合って」というのは日本にゆずれということですから。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。