【世界から見た日本と天皇と】過去とのきずなを保つ唯一の国

 

大の親日家で、昭和時代の日本を何度もおとずれたフランスの人類学者レヴィ=ストロースは、日いづる国の印象をこう話す。

民族学者、文化人類学者として私が非常に素晴らしいと思うのは、日本が、最も近代的な面もおいても、最も遠い過去との絆を持続し続けていることができるということです

「日本賛辞の至言33選 (ごま書房)」

1993年に勲二等旭日重光章を授与されたレヴィ=ストロース

 

先週10月22日、新天皇が日本と海外に即位を宣明する 「即位礼正殿の儀」が行われた。

イギリスのチャールズ皇太子やミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家最高顧問など、この式典に参列したVIPやテレビを見ていた外国人もレヴィ=ストロースのように、日本は「最も遠い過去との絆を持続し続けている」と思ったかもしれない。
いや、思ってほしい。

週刊ポスト(2019年11月8・15日号)の記事に、海外メディアがこれをどう報じたか書いてある。

即位の礼は世界的なイベントに 海外ではどう伝えられたか

イギリスBBCは「日本の天皇が古式ゆかしく即位を宣言」と電子版のトップニュースで伝えた。
フランス紙フィガロは、安倍首相が行った万歳三唱について「“万歳”とは1万年を意味し、天皇の健康長寿を願うものだ」と説明する。
ドイツのあるコラムニストはこんな感想を述べた。

「今は王族のいないドイツでも、国民は長い歴史を持つ王室に憧れがあり、日本の皇室にも敬意を抱いています。今回の儀式は、日本国内だけではなく、世界各国にも日本の伝統文化が長い歴史に支えられているものだと印象付けた。」

ほかにも平成の天皇(上皇さま)の活動によって、日本から昭和の軍国主義のイメージが消えて平和主義の国という印象が世界に伝わったという。

 

 

上の写真はタイのBTS(まあ電車だ)の駅で見た日本を紹介するポスター。
最先端の技術と古くからの伝統が向かい合っている。
世界から日本を見ると、こんなイメージを持っている人はたくさんいる。

“世界最古の国”といわれる日本の歴史には、中国やヨーロッパのように皇帝や王が倒されて、別の人間が新しい君主になったという革命がない。
だから古代から現在まで、過去とのきずな(天皇家)がずっと続いている。
日本はこの点で世界最古と同時にオンリーワンの国でもある。

 

 

この人物は南北朝時代に後醍醐天皇に仕えていて、世良親王の教育係もしていた貴族で武将でもあった北畠親房(ちかふさ)さん。

高校日本史でならう重要人物だから、知らなかった人はここでおぼえておこう。

北畠親房 1293~1354

後醍醐・後村上天皇に仕えた南朝の重臣。吉野や常陸小田城などで作戦を指揮し、南朝勢力の保持・拡充に努めた

「日本史用語集 (山川出版)」

 

北畠親房は南朝の正統性を主張する「神皇正統記」(じんのうしょうとうき)という歴史書を書いたことでも有名だ。

親房はその中で、日本と外国の違いをこう指摘している。

日神すなわち天照大神がながくその伝統を伝えて君臨している。わが国だけにこのことであって他国にはこのような例はない

 

そういえば先週の即位式の日に、「天照大神」がツイッターのトレンド入りした。
南北朝時代の歴史書にあることばが令和のいまでもよく使われているのだ。
日本の伝統が生き続けている証拠で、過去とのきずなを感じる。

大正時代に来日した天才物理学者・アインシュタインも同じようなことを言っている。

近代日本の発展ほど世界を驚かせたものはない。一系の天皇を戴いていることが、今日の日本をあらしめたのである。私はこのような尊い国が世界に一カ所ぐらいなくてはならないと考えた。

「日本賛辞の33撰 波田野 毅(ごま書房)」

応仁の乱が起きても武家政権(幕府)が生まれても、現在まで天皇の伝統は守られ続けてきた。

 

日本人はコロコロと主義や主張を変えてしまう。
幕末に尊王攘夷を叫んだ数年後には、文明開化を主張する。
鬼畜米英のスローガンは戦後すぐに、民主主義にとって代わられた。
いろいろかえられるのも、不変の存在がいるからこそだ。

ここまで西洋人の視点ばかりだったから、最後はアジア人の意見を紹介しようと思う。
マレーシアのマハティール首相は日本人に向けてこんなエールを送っている。

「日本固有の文化にもっと誇りを持つべきです。(中略)あなた方の文化は、本当に優れているのです。日本の力を忘れていませんか」

*引用は「日本賛辞の33撰 波田野 毅(ごま書房)」から。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。