関係改善に悩む韓国に日本ができることは「慈悲ある無視」

 

最近の韓国メディアの報道は、こんなものがすごく多い。

中央日報の社説(2019.11.06)

強制徴用問題でよじれた韓日関係は1年が過ぎたにもかかわらず全く改善される兆しが見えない。一日も早く韓日関係を回復しなけければならないという声が高いが、(中略)改善されるどころか、日本企業の所有資産が現金化されれば後戻りできないほど事態が悪化するのは間違いない。

「北朝鮮オールイン」をやめてこそ外交問題が解決される=韓国

 

韓日関係はいま、自信と確信をもって「戦後最悪」と言えるほど悪化していて、それが改善される気配はまるでない。
この認識は日本も同じだ。

でも、「1年が過ぎたにもかかわらず」なんて言っているようでは前に進むワケがない。
これは時間ではなくて、覚悟の問題なのだから。
「強制徴用問題でよじれた」ことが原因ということは韓国側もよく分かっている。
日本との合意(1965年の請求権協定)を韓国側が一方的に破ったことから戦後最悪がスタートした。
だから韓国が約束を守るしか解決の方法はない。
始めた人が終わらせるのは世界の当たり前。
この1年の間、日本は韓国に対して「約束を守ってほしい」とくり返し言ってきたけど、韓国はそれを一貫して拒絶してきた。
そしていまになって、「全く改善される兆しが見えない」とまるでハムレットのように悩む。

 

韓国ムン政権は日本の期待とは真逆のことをする。
失った信頼を回復するという汚名返上ではなくて、我田引水を選択。
ものごとを自分に都合に良いように解釈して、都合の良いように行動する。
ムン大統領は「(日本に)二度と負けない」と話をすり替えて謎の宣戦布告をおこなった。
韓国のマスコミは輸出管理強化を「経済侵略」と言いかえて、国民の反日感情に火を点ける。
全国民的なノージャパン運動が始まるのは時間の問題だった。

読売新聞の社説(2019/09/22)

韓国政府が対日強硬策をアピールし、メディアやネットを通じて反日感情が煽られる。日本旅行の自粛や日本製品の不買運動が韓国で拡大しているのは残念な事態だ。

韓国人客の減少 反日感情の広がりを懸念する

 

ここ数か月、韓国は不買運動をしてきたけど、自国の旅行会社や航空会社に大打撃をあたえて今は下火になっている。
自分の傷をひっかいて痛みに耐えるさまはいろんな意味で痛々しい。

日本製品の不買運動が拡大する韓国と違って、日本はこの間、とても冷静だった。
熱くなる向こうを冷めた目で見ていたと思う。
「そのうち自分に返ってくるゾ」と思った人は多いはず。

 

こんな隣国に日本はどう接していたか?

韓国紙・中央日報は、日本政府は韓国を相手に「助けるな・教えるな・関係を結ぶな」という3つの非公開原則を立てたと報道した。

日本政府まで韓国には「助けない、教えない、関わらない」の三原則?

いまからふり返ってみると、たしかに日本は冷めきった目で韓国を見ていた。
この前の菅官房長官の会見もそうだ。
11月4日にタイのバンコクで安倍首相とムン大統領がことばを交わしたことについて、韓国側は「雰囲気が友好的だった」「両国関係の重要性を確認した」と熱烈歓迎的に報じたけれど、菅長官は「韓国側の発表内容にコメントしない」「韓国側の発表は韓国側に聞いていただきたい」と素っ気ない。

連れない(釣れない)日本の態度に、中央日報は傷心した乙女のような記事を書く。(2019.11.05)

冷たい菅官房長官「韓国の発表は韓国に聞いていただきたい。日本の立場に変わりない」

勝手に期待して勝手に失望する人間を身勝手と言う。

 

でも、これは見方を変えれば、韓国は「助けなくても、教えなくても、関わらなくても」自分で解決できるという信頼の証でもある。
厳しい目というのは、甘えた人間からは冷たく見える。
でもそれは期待の表れでもあるから、そのまなざしは実は温かい。(たぶん)
日本政府はいま韓国に対して「戦略的な無視」をしているという。
それで「冷たい菅官房長官」と韓国はすねるけど、日本が実際にしていることは慈悲ある無視だろう。
相手の依存を断つには、逃げ道をなくすような厳しい対応が有効だから。

「韓日関係は1年が過ぎたにもかかわらず全く改善される兆しが見えない」と悲観しながらチラリとこちら見るのではなくて、韓国は早く覚悟を決めて本気をだしてほしい。
”敵”は日本じゃなくて自分なのだから。
「本気は2020年になったらだす!」でもいいけど、日本企業の資産が現金化されたら本当に手遅れだ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。