旅行なら台湾と韓国のどっち?いま日本人に人気の理由

 

日本や韓国の企業が日本人の客に向けて「大正浪漫(ロマン)」という言葉を使ってPRしたところ、韓国側から批判が殺到した。
前回そんな話を書いたせいか、こんな中央社フォーカス台湾の記事(2019/11/27)をみるとほっこりする。

台湾と日本は「心のつながった友人」日本の新駐台代表、就任レセプションで

このほど日本台湾交流協会で日本側の新しい代表が就任した。
日本と台湾には正式な国交がないため、この代表が大使のような仕事をする。

新代表の泉裕泰氏は着任のあいさつで、台湾を自由や民主主義、法の支配といった基本的価値を共有する重要な日本のパートナーと表現して、台湾と日本は「心と心のつながった本当の友人の関係」と話す。

そして日台の深いつながりについてこう言う。

台湾と日本が「地理的、歴史的、文化的に一言では言い表せない密接な結びつきを持っている」と言及。日本統治時代の建築物が現在も多く使用されていることや街の至る所から日本語が聞こえてくることを挙げた。

泉氏は街中に日本のブランドがあふれていることにも親近感を感じるようだ。

 

ゲーム会社が「大正浪漫」と言っただけで、「侵略を美化するな」「戦争犯罪国は恥を知れ」という非難が飛んでくる韓国と台湾では社会に流れる雰囲気がまるで違う。
だから日本のネットを見ても好意的な反応がほとんどだ。

・ポカポカ記事
・はい
基本的価値観を共有してます
・なんの違和感もない言葉だ
・日台友好 ヽ(´ω`)人(´ω`)ノ 万歳
・台湾人が日本から約束を守る大切さを教えてもらったと言ってたなぁ
・台湾大好きですよ。( *・ω・)ノ

 

台湾は韓国以上に日本統治の時代が長かったのに、現在では日本に対する見方が正反対と言っていい。
「嫌韓」はよく聞くけど、「嫌台」という言葉を聞いた記憶がない。
その理由は台湾の人たちが過去を乗り越えて、歴史を現在の問題にして日本と争いを起こさないから。

 

日本に対する韓国と台湾の違いを象徴するのが日本統治のシンボル・総督府庁舎の扱いだ。

上の朝鮮総督府は爆破解体されていまはない。

下の台湾総督府はいまでも大事に保存されて利用されている。

くわしいことはこの記事をどうぞ。

【同じ過去で違う現在】韓国と台湾は日本の統治をどう見る?

 

ここ最近、日本人の間で台湾旅行の人気が上昇している。

その理由はテレビ朝日のニュース(2019年8月6日)の見出しを見るだけでわかる。

反日の韓国やデモ続く香港から次々と 旅行先に異変

大規模な反政府デモが行われているところを避けるのは当然で、反日より親日を選ぶことも日本人の気持ちとして自然。

韓国では総督府の建物など日本統治の遺物を「日帝残滓」(にっていざんし)と憎悪をこめて呼んで破壊するけど、台湾ではそうしたものを保存していまに活かしている。
これが日本人に人気だ。

中央社フォーカス台湾にはこんな記事(2019/09/22)がある。

日本式建築が「鉄道映画館」に=鉄道園区内の旧台鉄施設/台湾・花蓮

かつて日本がつくった建物が「花蓮鉄道電影院」という映画館としてリニューアルする。
この建物はむかし、台湾鉄路管理局(台鉄)の職員が娯楽活動をする施設だった。
「日本式建築ながらも、西洋の影響を受けた装飾が複数施されており、室内にはヒノキの香りが漂う」という素敵な空間で映画を上映する予定だとか。

台湾旅行に行くならここもリストに入れておこう。

 

古い日本の建物を現在の台湾人の美意識や価値観で生まれ変わらせて、観光地として利用する例は他にもある。

中央社フォーカス台湾の記事(2019/11/19)

日本統治時代の庭付き一軒家、おしゃれなレストランカフェに/台北・陽明山

この建物はもともと日本が同化政策を推進する「台北州教化連合会」の拠点だったらしい。
同化政策といえば、台湾人に日本の価値観や考え方を浸透させて日本人にかえるようなもの。
韓国だったら、もうこの世に存在しない建物だ。

「書斎が洋室、寝室や居間が和室の造りで、一部の欄間(らんま)が良好な状態で保存されているほか、日本風の庭園や竹林も残る」というこの日本家屋がおしゃれなカフェになってオープンした。

ここも台湾旅行のリストに入れる必要がある。

日本語を勉強中の台湾人にこのカフェについてきいたらこんな返事がきた。

「こんばんは、私も初めてこのレストランのことを知ります。すごく綺麗なレストランですね。そして、いい雰囲気の感じです。もし機会があったら、行ってみてます。」

うん。もう少し勉強が必要だ。

日本人にとっては「初めてなのになつかしい」と感じられる飲食店が台湾にたくさんある。
日本人観光客向けの情報メディア・台北ナビでも紹介しているから、のぞいてみよう。

こうした風情のある日本家屋は台湾の若者にも人気のようで、休日にはこれらをモチーフに撮影したり、結婚記念写真を撮影する舞台にするカップルの姿も見られます。

青田七六

 

ちなみに韓国ではこんなことをして日本人観光客にアピールすると、国内でぶったたかれてしまう。
日本統治時代の建物などを観光PRビデオに映したら、こんな反応が返ってきた。

中央日報の記事(2019.11.28)
*「ニュートロ」はニューとレトロの合成語。

別のネットユーザーは「韓国観光広報を口実に『日本極右勢力の加害者歴史隠し』目的で制作したものとしか思えない」と強く批判した。

韓国観光公社、「日帝強占期美化映像」批判に「ニュートロを反映した」

 

台湾と日本の関係について交流協会の代表が台湾人に向けたあいさつで、「地理的、歴史的、文化的に一言では言い表せない密接な結びつきを持っている」と話す背景が見えてくる。
いま海外旅行で台湾を選ぶ日本人が増えている理由も。

 

台中にある観光スポット「宮下眼科」もレトロな日本と新しい台湾のいい組み合わせ。

 

 

 

こちらの記事もどうぞ。

台湾 「目次」 ①

台湾 「目次」 ②

台湾人がアニメを見て感じた「日本と台湾の学校との違い」とは?

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。