アメリカのSJW:差別に”敏感すぎる人”が起こす問題

 

きのうの記事で「ブラックウォッシュ」されたセーラームーン、肌を黒く塗った黒人のセーラームーンを紹介した。

*このツイートには肌を黒くした黒人のセーラームーンがいたけど、あとでツイートは削除されてしまった。
「人種差別」の批判に耐えられなかったと思われ。

 

日本人からすると、こんなゴリマッチョなセーラームーンは嫌だ。美少女を返せ、といったところだと思う

でもこのツイートへのコメントをみると、日本人の肌を黒くして「黒人にする」という行為には「人種差別だ」といったとても欧米的な批判が多く寄せられている。
欧米の特にアメリカでは、色を塗って人種を変えてしまうということにはすごく厳しい。

だからこんなことをすると「レイシスト」なんて批判されてしまうのだけど、これをどう思うか知り合いのアメリカ人にメールできいてみた。

するとこんな返事が到着。

「Very few people actually think like this. It was probably some extreme SJWs.Most Americans aren’t SJWs, but there are some in colleges. They are usually very young and still learning about life.」

これを人種差別と考える人はごく少数で、それは極端な「SJW」の人たちだろう。
ほとんどのアメリカ人はそうではないけど、若い大学でそういう人たちがいる。

「SJW」ってなんだ?はじめて見たぞ。
調べたら「ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー」 (Social justice warrior、SJW) のことだった。
最後の「s」は“そういう人たち”と複数形にしたのだろう。

「ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー」とは、フェミニズム、人権や人種、文化的多様性など社会でいろんな”進歩的な考え方”を広めようとする人のこと。
「社会的正義を実現するために戦う戦士」という感じか。
むかしは良い意味で使われていたけど、社会的常識からかけ離れた主張をする人もいて、いまでは軽蔑したりバカにしたりするニュアンスで「SJW」という言葉が使われることが多い。

マーティンによれば、もともと肯定的だったこの言葉が圧倒的にネガティヴになったのは2011年前後にTwitter上で侮辱的な使い方をされてからである。アーバン・ディクショナリーに登録されたのもこの年だ。

ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー

 

ただ先ほどのアメリカ人に言わせると、この絵を描いた人間も「stupid」(バカ)とある。

「I think it’s very stupid to change an original work. If they want to have a mulit-racial girls team, they should make an original one themselves.」

原作キャラの肌の色を変えることはとてもバカげている。もしいろんな人種による少女チームを作りたかったら、自分たちでオリジナル・キャラクターを作るべきだ。

「社会的正義」はあいまいな概念だから、同じものでも個人の解釈しだいで善にも悪にもなる。
バカげた主張ややり方では社会の広い共感を呼ぶことはないから、そういう人には冷ややかな視線を送られる。

ジャーナリストだと思うけどスコット・セリスカー氏が「ニュー・リテラリー・ヒストリー」誌でフェミニストのSJWをこう批判した。

「『ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー』はつまり、不合理で、聖人を気取り、先入観にとらわれ、自己権力の拡大に腐心するというステレオタイプ的なフェミニストである」

 

肌の色を変えて黒人やヒスパニックのセーラームーンを描いた人もSJWで、こうやって人種を強調しようとしたという。
先ほどのアメリカ人はそれを本当に愚かと言う。

「People usually do this because they think it “empowers” their race. It’s really stupid.」

あのツイートの絵について、「美少女戦士ではなくなって、むしろ怖い」とボクが感想を書いたら、彼がこんな解説をする。

「That’s why they have “kowai” looks on their faces. These ultra-feminist SJWs don’t want to look cute, they want to be powerful and strong.」

こうしたウルトラ・フェミニストたちは、女性がかわいく見られたくない。パワフルで力強い存在と社会で認識されたいと思うから、あんなに怖いセーラームーンになったという。

そういえば、この絵を描いて拡散する目的について考えてことがなかった。
これは一部のアメリカ人を象徴する見方だと思う。
でもこんなSJWのように、 差別に対して超敏感で過剰に反応する人たちをめぐる問題は日本にもある。

 

 

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アフリカの旅(国)が、こんなにひどいなんて聞いてなかったから。

 

2 件のコメント

  • 「肌の色を変えて絵にする」ことが差別的表現だと言うなら、元々のセーラームーンの原画はどうなんですかね? 少なくとも日本人だったら、あんなに真っ白な顔の人はほとんどいないだろ? 目だって平均よりは大きすぎる。あるいはまた、化粧をして白粉とアイシャドウを塗りたくれば、あんな感じになるかな?
    「パワフルで力強い女性」を良しとする価値観は特に米国ではポピュラーです。てか、ハイウッド映画やTVドラマの登場人物になるような女性はみなそうです。現実社会でもそのような風潮が強くて、「肉体的にも精神的にも強いフェミニスト」が「可愛いお姫様路線の女性」を蔑視する傾向が非常に著しく、あれも一種のいじめ・差別なんじゃないですかね? 他人への価値観の押しつけだ。
    マッチョな女性にへきえきしている欧米人男性は気の毒です。(ま、だからこそ日本人女性は彼等からとてもモテるのですけど。)

  • 敏感肌の人だけでしょう。これを人種差別と批判するのは。
    日本人なら作画崩壊を批判すると思います。
    女の敵は女で、一面的な価値観の押し付けはほかの女性にとって迷惑です。
    「奥さん」が嫌いなフェミニスト女性が「妻さん」と呼ぶことを提唱しましたが、まったく定着しませんでした。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。